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問題への対処法~原因の追及と心理的安全性の重要性

何かトラブルが起きたとき、最初になにを考えますか?

■問題発生時の初期対応

とっさに浮かんでくるのは「どうすればこのトラブルを解決できるか」ではないでしょうか。僕はそうです。同じように思い浮かぶ人が多いのではないかと思います。

しかし、そこで解決策が思い浮かぶことはほとんどないでしょう。この時点で解決策がわかるなら、そもそもたいしたトラブルではないのだとも言えます。

ですから次に考えるのは、トラブルの原因です。原因が特定できれば対処の仕方も考えられるようになるからです。時に応急処置が必要な場合もあるでしょうが、その処置が終われば、原因の特定に進むはずです。

原因は複数考えられるのが普通です。たとえば、お腹が痛いという症状に対してなにも調べもせず「原因は食あたりだ」と診断したら、ヤブ医者だと言われるのがオチです。盲腸かもしれないし、感染性胃腸炎かもしれない。潰瘍やもっと重篤な癌の可能性もあります。原因によって治療法も変わってくるから、安易な決めつけはできないはずです。

■早まった原因特定と問題解決

ところが日常では、ビジネスの場面では、われわれはこれをやりがちです。最初に思いついたことが原因であると決めつけてしまうのです。

思いついたことを仮説として検証していければ良いでしょう。検証した結果、違うとなればまた別な原因を探し始められるからです。しかし、往々にして、最初に思いついた仮説に固執して、それをもって目の前の事象を解決しようとし、右往左往してしまうのです。

当然、本来の原因ではないので問題は解決されません。解決されない状態が続くとどうなるか。よくあるパターンは、原因そのものではなく、原因となることをしたと推定される責任者探し(犯人捜し)を始めます。犯人と推定した人を吊し上げることに注力し始めるのです。

■機械が止まった原因は?

かなり昔のことですが、こんな経験をしました。ある機械が動かなくなりました。どうやっても動いてくれません。その機械はかなり古いもので、新製品と交換する予定になっていました。とはいえ、まだ新製品が届くのに時間があり、動いてくれないと現場は困る状況でした。

2,3思いついた方法を試してみるのですがやはり動かない。するとある人が「これは保守契約を切ったから動かなくなったのだ」と言い出しました。

近々、廃棄する予定だったので、保守契約を更新していなかったのです。その場にいた人たちも「そうに違いない」と同調します。そして、保守契約を更新しないと決めた担当者が悪い、という話になりその人が糾弾されることになりました。

実際はどうだったかと言えば、古い機械なのに荒っぽい使い方をしたために、部品が破損して動かなくなったのでした。ちょっと考えればわかるのですが、保守契約を切ったから動かなくなることは普通、考えられません。保守契約は故障をしたときに無料で対処してくれるなどの取り決めの話で、それを切ったからと言って遠隔操作で動かなくするなんてメーカーがあるわけがない。

結局、メーカーを呼んで部品を交換してもらったら動き出しました。もちろん、保守契約を切っていましたから、けっこうな額の修理代を支払う羽目にはなりました。もし、保守契約を更新しないと決めた担当者が糾弾されるとしたら、機械が動かなくなったことではなく、保守契約を切ったことで高い修理代がかかってしまったことでしょう。

■組織文化と問題の処理

この事例、ちょっと考えればおかしいと思うでしょう。しかし、渦中にいると冷静な判断ができなくなっている場合があります。とにかく早く解決しなくては、という焦りが冷静さを失わせます。さらに言えば、とにかく原因は自分ではない、「自分は悪くない」と言いたいがために、とにかくなにか原因を決めつけてしまいたい、誰か別な人の責任であるとしてしまいたい、という心理が働くこともあるのでないかと思います。

ここまで来ると組織文化の問題に突き当たります。日頃からトラブルが起きると、犯人捜しをして責任追及することをしていれば、誰もが「悪いのは自分じゃない」と言いたくなるのも無理のないことです。

トラブルの原因追及は、誰の責任かという話と切り分けていかないと、余分な心理が働いて真の原因追及の目を曇らせてしまいます。渦中にいるとなかなか冷静になれないのは、僕自身の過去の経験からわからなくはない。だからこそ、コンサルタントとしては一歩引いて冷静な目で対処したいと思うのです。

■経営者の役割と行動の模範

さらに言えば、普段から「心理的安全性」のある組織文化を醸成するよう、務めないといけないと思います。「心理的安全性」のある組織文化は、経営者の態度に大きく左右されるでしょうから、それもコンサルタントの仕事だろ、と考えています。
*心理的安全性のある組織・・・・・・「効果的なチームとは何か」を知る

そして最終的には、いまのところ、以下のような振る舞いを経営者にお願いするのが一番だと考えています。


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