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事業計画についての一考察


最近の僕がどんな風に目標をつくっているかを書いてみました。実はこれが、経営計画を立てるときの考え方と基本は同じだと考えるようになりました。勤務先、支援先の経営計画の策定に関わるときは、この考え方をベースにしています。
次回、忘れていなければこのテーマで書きます。

3月にアップした記事で上記のようなことを書いておきながら、コロナ禍に紛れてほったらかしにしていました。ということで、今回、少し補足してみます。

■目標と計画

目標と計画は別物である、と考えていない人が多いらしいことに最近気付きました。つまり目標すなわち計画と考える人が多いということです。

知り合いの会社の話です。3カ年計画を作りました。初年度の売上目標が10億円、2年目が11億円、最終年度は12億円としてスタートしました。結果、初年度は9億円、2年目が8億円の売り上げでした。さて、最終年度はどうしたか。結論からいえば、12億円の目標のままでした。「一度決めた目標は安易に下げない」ということでした。

気分はわかります。意気込みを理解できます。しかし、現実的なのかどうか。抜本的な対策を講じ、戦術の変更を示して社員に徹底させる。そうしたことがないままこれを課される社員はたまったものではないと思います。
さらに問題なのが、目標=計画であることです。現実的とは言えない目標数字に基づいて作られた「計画」はなんの意味もありません。どころか、害悪ですらあります。12億円の売り上げで使える経費をそのままに、現実の売り上げが下がれば、赤字まっしぐらです。

きちんと目標と計画をすりあわせるべきだと思いますが、少なくとも「目標と計画は別」と考えて計画を立てる必要があります。
営業部は心意気として12億円の売上目標を維持するけれども、現実の経営は8億円で回るように計画する。結果的に12億円売り上げられたらその分利益が増えるから、問題ないよね、で着地させられます。
少なくとも僕は、そうアドバイスするようにしています。

■新規事業への取り組み

新規事業に取り組むとき、100%成功させないといけないと思っている経営者が多いように感じています。それは無理です、と伝えると、敗北主義者のように言われることもありました(苦笑)

新規事業の成功率は5%程度だという研究結果があります。良く見積もっても10%がいいところだと思います。

「成功させなくてはいけない」
という想いは、2つのまずい方向に向かいがちです。

ひとつは、最初から多額の投資をしてしまうことです。失敗すると会社が傾くような投資を計画してしまう経営者もいます(もし事前に知れば、必死に止めます)

もちろん、絶対に失敗できない大きなチャレンジも時にはあるでしょう。しかし、そんなものは人生に1、2回あれば十分です。いま、成功していると言われる起業家たちの足跡を見て、そんなチャレンジを連続的に行ってきた人はいないはずです。

もう一つは、失敗できないとの想いが強すぎて、結果なにもチャレンジしないパターンです。日本ではこれが受け入れられやすい。難しいことは先送りすれば、短期的には現状維持できるからです。しかし、長期的に見れば-長期がどの程度の長さから業種によりますが-衰退していかざるを得なくなります。

■戦術は受け身である

結局、自分(たち)が思った通りにことは運ばないと考えておかなくてはいけないのです。計画はあくまで自分の都合で考えているものです。しかし、周囲の状況は常に変わりゆくものですから、それにあわせて変わって当たり前です。

簡単に変えてはいけないものは、理念やミッション-目的-であって、それを実現するための戦術、計画-手段-まで変えてはいけないと頑なに考えると逆に、理念の達成は遠のきます。守るべきものは何か。手段を守って目的が達成できなければ本末転倒です。

手段と目的をはき違えることは起こりがちです。目的達成のために、環境に応じて手段は変化させる必要がある。これは、企業であれ個人であれ、肝に銘じる必要があると思っています。

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