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学習する組織への実践的手引き/『チームレジリエンス』をご恵投いただきました

私たちの組織の中には、いつも何かしらの問題が起きている。
例えば、売上が思ったように上がらない、といったような問題もあれば、若手の退職が続いている、といったような問題もある。
これらの問題は、複雑な因果が組み合わさって起きている。
だからこそ、私たちは何らかの問題が起きた時、その問題に「対処」するだけではなく、しっかりと問題から「学習」をしなくてはならない。

しかし、「学習」と口で言うのは簡単だが、実際にはこれほど難しいことはない。私たちの組織は、どれだけ頑張って学ぼうとしても学べないという「学習障害」を抱えているからだ。

ではその障害の正体は何か?
それは、端的に言えば「視野の狭さ」だ。「私の仕事はここからここまで」という範囲的な狭さであり、「私の仕事の成果はいつまで」という期間的な狭さにある。
問題を「自分の限られた領域で」「短期的な」形で視野を狭く定義すればするほど、その問題は解決しやすくなる。
しかし、それは単に問題を自分の視界の外へと押し出しているにすぎない。

そして、そのように視野の狭い人たちが集まった集団は、多くの問題解決が活発になされ、その一方でチームとしての問題は複雑化・深刻化していくというパラドックスに陥る。

ではこの問題をどう克服すべきなのか?
それは、可能な限り視野を広げて問題を捉え、そして問題を拙速に解決するのではなく、問題から学ぶ意識を持たなくてはならない。

未読ではあるが、MIMIGURIの安斎さんからご恵投いただいた『チームレジリエンス』には、まさにその知恵が書かれているのだと思う。

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この本の背骨になっているフレームは、
1.課題を定めて対処する
2.困難から学ぶ
3.被害を最小化する

という3つの視点だが、これはまさに組織としての学習障害を克服していくプロセスのように感じる。

かのピーター・センゲが書いた名著『学習する組織』には、本書の第1章にはこのような一節がある。

本書で紹介されるツールや考えは、独立した、互いに関連のない力で世界が創られているという思い込みを打ち砕くためのものだ。この思い込みを捨てるとき、「学習する組織」を築き上げることができる。

世界は相互のつながりをより深め、ビジネスはより複雑で動的になっていくので、仕事はさらに「学習に満ちた」ものにならなければならない。

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そう。起きている問題は私たちが想像している以上に相互に関連している。
だからこそ、私たちのアプローチは「学習に満ちた」ものにする必要があるのだ。

この本は、過去の先人たちの研究成果に基づき、その具体的な手法を提示してくれている(という印象を持った)。

頑張っているけど、なぜか似たような課題にいつもぶつかっているような組織は、この本からたくさんのヒントを得られるはずだ。

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