「友達」と思うことが、怖かった

大好きなお店が、半年ほど前に近所に移転してきた。
オーナーさんとは数年来の知り合いで、会えばよく喋るし、何ならめちゃくちゃイジられるし、たまに一緒に飲んだりすることもある。というか、よく人生相談に乗ってもらっている…。

お店の人と客、にしては会話がラフすぎるせいか、周りから「友達?」とか「どういう関係?」と聞かれることがある。確かに仲良くしてもらってるとは思うけど、客は客だし、友達って言うのはおこがましいよなぁと、いつも答えに窮していた。

この前お店に行った時に、いつものように喋っていて、移転してからすごい話題だね、(私が)前から知ってたって話すと「知り合い?」ってよく聞かれるよ〜、なんて話していたら

「ツレって言うとけ!」

と言われた。

これが、めちゃくちゃ嬉しかった。
この人、私のこと友達だと思ってくれてたんだ!仲良いと思ってたの私だけじゃないんだ!って。

私は、誰かのことを「友達」と称することが苦手だ。
友達だと思っていないわけでは決してない。「私の中では知り合い以上に仲の良い存在だと思っているけど、この人にはもっと仲の良い人がいるだろうから私ごときが友達とか言っていいものか…?」という気持ちになってしまうから、なかなか「友達」と言いづらい、というのが正確かもしれない。人から自分が「友達」と思われる自信がないというか。

なのでオーナーさんのことも、自分としては仲良いと思ってるけどそう言っていいんだろうか?そもそも知り合いヅラしていいのか?なんて思って、「知り合い?」と聞かれても「うん」とは答えられず、知り合った経緯を話すという非常にまどろっこしいことをしていた。だから、この人が友達だと思ってくれていたことがすごく嬉しかった。

そしてもうひとつ。

私も関西に来て初めて知ったのだけど、関西の人が言う「ツレ」は友達のこと。(関東圏だと、恋人とか配偶者を指すことが多いみたい。)
でも、しばらく過ごすうちに、必ずしも「友達=ツレ」というわけではなく、この2つの言葉を使い分けていることに気づいた。
正確な定義は(あるかどうかも)わからないし、個人差もあると思うけれど、友達の中でも昔から付き合いがあるとか、めちゃくちゃ仲良いとか、身内みたいなもの、くらいの人を「ツレ」と呼んでいる印象を受けた。幼馴染とも親友ともまたニュアンスが違う。「身内」がいちばんしっくりくるかな?
とにかく、生まれも育ちも関西ではなく、仕事の都合で引っ越してきただけの私にとって、
「ツレ」という言葉は縁遠いもので、他所者である自分に向けられることはないと思っていた。

だから「ツレ」と言われて、友達だと思われていただけでも嬉しいのに、その上「他所者じゃないよ」と言われたような気がした。
それが嬉しくて嬉しくて。あ、私ここにいて良いんだ、みたいな気持ちになって、少し肩の力が抜けた。

自己肯定感が低いというのは本当に厄介だ。あれこれ難しく考えすぎていたなと思う。
別に人との関係性を無理矢理どこかしらにカテゴライズする必要はないと思うし、そういう「名前のない関係」は嫌いではないのだけれど、仲良いとか、友達だと思う気持ちを抑え込んだり、おこがましいと思ったりすることはないんじゃないか。
「私はあなたのことを友達だと思っているよ」というのは、素直に思っても、伝えても良いのかもしれない。

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