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ドイツ:イースターのパン(オスターフラーデン)

コロナ渦が始まり行動制限が続いた頃。外にも行けず、何もかも近所で過ごす日々が続いていた。そんな時、世界に沢山ある祝祭日を調べて、興味を持った国の食事をその祭日に合わせて作るということをやっていた。気持ちだけでも海外旅行をしているつもりになって気分転換を行っていた。


コロナ二年目の春のことだ。イースターの時期の読書会で読んだ本がたまたまドイツ系の人たちが書いたイースターにまつわる本が多く、その年はドイツのイースターに興味を持った。卵やウサギといった復活や豊穣などの復活祭を象徴する品々を見ていくうちに、ドイツではイースターの時期に食べるパン菓子があると知った。


カソリックの割合が多い国では、旧約聖書の脱エジプト記にちなんで、「イーストで膨らませるパンを焼く時間がないほど」急いでエジプトを脱出しなければならなかったというエピソードにちなんで、「平たいパン」を焼く、という風習があるそうだ。多くはイーストを入れずに平たく伸ばして焼くそうで、ユダヤ教徒の多い地域でも「脱エジプト記」にちなんでイースト発酵を行わない平たいパンを食べる風習があるという。ドイツは北部はプロテスタント系の人が多く、南部はカソリック系の人が多く住んでいるそうだ。


キリスト教、とくにカソリック系の国ではイースターの時期に食べるパンがあると言う。形は様々でレシピも少しずつ違う。理由は定かではないのだが、各国のレシピで大まかに共通するのはなぜか「レーズンパン」が多い、という事だった。ざっくり調べた限りではドイツやイタリア、イギリスなので作られるイースターのパンは、ほぼレーズンが入っているパンが多かった。キリスト教ではブドウ酒がキリストの血を表すと言われるが、もしかしてその象徴的な意味合いを干しブドウに託しているのかとも想像してみたが、そのあたりは定かではない。


そしてドイツのイースターのパンのレシピを探していた時、「オースターフラーデン」というパンのレシピに行き当たった。「平たいパン」という名前のこのパンは、イースターの時期の定番のパンということだ。


レシピはmotomoneさんのブログに掲載されていたものを使った。motomoneさんは、ドイツ在住の日本人のパティシエの方で、小さい頃ご両親と一緒にドイツへ行かれ、学校を卒業された後製菓専門学校で勉強しながら個人経営のパン屋で職業訓練を行い、三年後にパティシエの資格を所得されたそう。その後お仕事をしながら調理師免許を所得され、その後パティシエのマイスターの資格を所得するためにケルンのマイスター専門学校へ通われ、無事マイスターの資格を取られたという努力家の人のようだ。ドイツでマイスターの資格を取得するのは非常に困難で、経験値と高い技術が求められると聞いたことがある。moomoneさんもお店で実践をつみながらコツコツとキャリアを伸ばされてきたようだ。


参考にしたオースターフラーデンのレシピはこちら


ブログを見ながら作ったオースターフラーデンは、名前の通りに平たく伸ばしてみたものの、イーストの発酵が良すぎたせいか結局オーブンの中で膨らんでしまい、丸っこいパンに仕上がった。

しかし味はとても良かった。卵がたっぷり入ってしっとりしたパンで、軽い甘さと卵の香りがとてもやさしいパンだった。通常は飾りとしてお砂糖やアーモンドをまぶすそうだが、スーパーでそれらしき材料が見当たらなかったため、その時は泣く泣くあきらめた。


イースターの時期には、おそらく卵型やウサギ型をしたチョコレート菓子などが恐らくお店で手に入ると思うのだが、外出の制限がかかっていたコロナ渦では、パン作りが良い気分転換になった。オースターフラーデンをドイツで食べたことが無いので、自分で作ったものがドイツで食べられるものと全く同じかどうか定かではない。しかし、作っている間、心はドイツにいる気分にさせていただいた。


ドイツにはイースターの時期に食べるパンはまだ種類が沢山あるようだ。

ドイツ大使館が発信しているライフスタイルガイドでは、オースターフラーデンの他、オースターブロート、ツォクなどの菓子パンがあるそうだ。


イースターは移動祝祭日なので、その時期に合わせて海外旅行をするのはなかなか難しい事もあるかもしれないが、コロナが収束して安全に海外旅行ができるようになったら、ぜひドイツを訪れて、パン屋さんで美味しいイースターのパンを買って食べてみたい。そんな気分にもなれた一日だった。

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