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(詩)十七の君へ

毎日が目まぐるしくて
細部に気を使えなくて
友達からは「鈍感」と言われ
気が付かないうちに人が離れて行って。

どうして生きているのかなんて
自分がどうして鈍感だなんて
考える間もなく忙しい日々が過ぎて行って。
明日が見えづらくなることもあって。

将来の事なんて漠然とし過ぎていて
自分が何者になるのかぼんやりとしか分からなかった。

大好きな友達
あと一歩で近づけた恋
ただじゃれあっていただけでも幸せだった瞬間

それでも不器用な自分に自信が無くて
前に一歩出る勇気が無かった。

そんな十七の人に声をかけるとしたら

二十代はまだまだ助走の期間で
三十代はより厚く経験を積めて
四十代はまだチャレンジのきく年頃で

何にもすることが無いと嘆いていても
厚く壁が立ちふさがり、何もできないと嘆いていても

歳を重ねるうちにやることは否が応でも増え
厚い壁も気が付けば別の壁が立ちはだかり

気が付けば出来ることと出来ない事が
見えるようになってくるから

五十代はこれまでの経験の集大成を見るために突っ走るのみ。

だから十七のあなたが今どんなに辛くとも
十年,二十年と経ってみると
生きる場所も変わり、出来なかったことが出来るようになり

思いがけない人との出会いで
最悪の事態と最愛の人との出会いを経験させてもらい

もしかして人生は思いっきり生きるに値するかもしれないと
思える時が来て

きらきらした経験なんて,十七で出来なくても
もっと光り輝く経験がこれから待ち受けているから

どうか十七の一年の一瞬一瞬を大切にして。

どんなに退屈に身を沈めていても
どんなに酷いと思うようなことがあっても
どんなに過酷な事に出会ってしまったとしても

それを覆すような出会いがきっとあるから

それがどんなに先の事であっても
いつかはかたくなな心がほぐれる日が来るから

生きていて

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