RAW現像ソフトをかいつまむ⑤Luminar Neo
写真の未来を見つけよう
何だか少しくすぐったくなるようなキャッチコピーだ。嫌いではない。
「近日リリース予定のジェネ変換機能を確保しよう」という言葉が躍っている(2023/11/10現在)。個人的には、過去にLuminar 3を使ったことがあり、本来そこに無かった景色を付け足すジェネ(ジェネレート?)機能はCGを作っている感覚になり好きになれなかった。Luminarはどちらかというとこのような付け足し機能に力を入れている印象である。
私の考えでは、良い写真は足で稼ぐものであり、自分はそうでありたい。
次に目に入る言葉は「使いやすいソフトで高度な仕上がり」。
確かに以前Luminar 3を使った時は、特筆すべき苦労は無かった気がする。
次に書かれているのは、「Luminar Neoがあなたにとって最高の写真編集ソフトである6つの理由」。
使いやすい
AI搭載
編集ツール
あらゆるプラットフォームで使用可能
多様なプリセット
継続的な改善
どの項目も私の心をときめかせることは出来なかったが、もしかしてうっかり自分にピッタリなツールになっているかもしれないので、無償7日間のトライアルを開始する。
インストール
いくつかのページを辿ると、インストーラをダウンロード出来る。
Webページ上の説明ではダウンロードのリンクが送付されることになっているが、実際にはメールアドレスを入力し「ダウンロードリンクを取得する」を押下するだけでインストーラをダウンロード出来る(メールでもダウンロードリンクを受信していたので、Webページの表記は偽りではない)。
インストール自体はスムーズに進むが、これまで試したツールのなかで一番インストールに時間がかかった気がする。また、初回起動時にユーザ登録が必要である。これは後々面倒くさそうだ。
LUMIX DC-S5の画像でトライアル
使用する画像はこれまでも使用してきたものを用いる。
取り込み、何もせずに出力
まずは、RAWファイルを取り込んですぐに書き出し。
前回の記事で述べたように、この比較はあまり意味を成さない。まあこんなものかな、という印象。あまり意味を成さないと言いつつ続けているのは、各RAW現像ツールで得た「RAWファイルを取り込んですぐに書き出し」画像を並べて見ることには何かしら意味を見出せそうだ、と感じるからである。
お試し調整
いつものようにフィルム風、Teal Orange風、Black Orange風の現像を試みた。パラメータの調整自由度は高そうだ。
Leica M Typ 240の画像でトライアル
使用する画像はこれまでも使用してきたサンプル画像なので省略する。
取り込み、何もせずに出力
例によって、RAWファイルを取り込んですぐにExport。
これまでに試してきたツールと同じく、差分が現れた。
お試し調整
例によって、三パターンの現像をトライ。
もはや何を以て「Film風」としているのか、自分でも意味が分からなくなった。自分が思うFilm風、というのをいつか纏める機会を作ってみよう。言語化は思考の整理に繋がる。
所感
Luminar NeoのUIは以前使っていたLuminar 3とはだいぶ異なる気がする。とはいえ以前使っていたのは3年程前。人の記憶は当てにならない。
さて、まずこのソフトを起動し編集画面を開くと、左側ペインにレイヤ、中央ペインに現像中の画像、右側ペインが「ツール」タブと「編集」タブに分かれている(デフォルトでは「ツール」タブが有効)。
この画面で最初に目に留まったのが、ツールの多さだ。
多いとはいえ、先述の通りAI機能は使わないつもりなので、基本的には(文字通り)エッセンシャルに分類されたツールしか使わないと感じた。
エッセンシャルに分類されていないツールで「良いな」と思ったのは、部分的に適用可能な覆い焼き。部分補正ツールの類は他のRAW現像ツールにもあるが、「たまたま」この機能を弄ってみて、「たまたま」薄明かりの演出という着想を得たが、なかなか妖しい雰囲気を作れる気がする。便利だな、と思う反面、こういった雰囲気作りも本来、写真を撮る本人が、撮影前にシーンを構築し、計算してライティングによる演出をすべきだと思う。偶発性より再現性が望ましいと感じるのはエンジニアの性なのか。
そんなLuminar Neoだが、戸惑いを感じることもあった。「ツール」タブの中で、あるパラメータを調整した後別のパラメータを調整し、再度前者のパラメータを開くとデフォルト値になっているのだ。
調整したパラメータとその値は、というと、調整した順番に「編集」タブにスタックされる。もう少し言えば、数値を調整した後デフォルトに戻したものもデフォルトの値のままスタックされる。
「編集」タブはユーザの調整履歴が分かり易いが、このタブの中で(一度調整したパラメータの再調整を企図し)ツールをクリックすると、中央ペインの画像はその調整時点までロールバックされてしまう。直前までの調整結果を見ながら再度パラメータを調整するには、「ツール」タブで初期値が与えられたパラメータを変更することになる。
評価
Luminar Neoは、豊富なツール群を駆使し様にに演出出来るが、独特な癖もある印象を受けた。また、Luminar Neoを愛用している方に喧嘩を売るつもりは毛頭無いが、現像していてテンションが上がらない。個人の感覚に依存するところが大きいと思うが、このツールで現像パラメータを調整していても、自分が思う綺麗な色が出ない。他の現像ソフトと比べ発色の良さを感じられなかった気がする。
使いやすさ★★★☆☆
設計に他のRAW現像ソフトには無い操作系統がある。慣れれば慣れる程「ツール」タブと「編集」タブを行ったり来たりするというのはストレスを感じるようになる、と思う。
仕上がり ★★★☆☆
何となく、全体的に色が「浮かび上がってこない」ように感じる。これは単なる思い違いかもしれないが、現像中はそのように感じた。後日、全て見比べてみたいと思う(なので後日スコアを修正する可能性有)。
操作性 ★★★☆☆
編集Before/Afterの差分確認ツールのスライダーの可動範囲に制約があり、左右両端まで動かせないことが気になった。また、パラメータを調整すると、SILKYPIXほどではないが一瞬の遅れがある(DxO PhotoLab並み)のも気になった。
動作安定性★★★☆☆
粒状効果(フィルムグレイン)を付加するときに、程度により若干フリーズするような動きをした点が気になった。
コスパ ★★★☆☆
¥59,980のところが、今は¥26,980になっている。定価の価格であれば、Capture Oneの方が使いやすいし色も綺麗な印象だし、Luminarは定期的に値下げもしくは過去バージョンの無料配布をするイメージが付いてしまった。
RAW現像例
全体的に、RAWデータに記録された色を引き出し切ることが出来なかった気がするが、イメージの具現化という点では問題が無い場合もある。
これにて、元々想定していたRAW現像ツールはこれで全て試用した。
そんな中で、引用記事に対しコメントで教えていただいたPhoto Directorを試してみたい。
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