RAW現像ソフトをかいつまむ①Capture One Pro
“写真に命を吹き込みましょう”
このキャッチコピーは素敵だ。
Capture OneのWebページのトップにあるキャッチコピーだ。
ただ、私としては、撮影の瞬間、写真に魂が宿ると思う。
上記Webページで、2023/10/1現在、大きな字で書いてあるのは下記の4つ。完全にUXに振っている。
自由に移動できるデザイン
完全な写真ワークフロー
Capture One をすべてナビゲート
Capture One を複数のデバイスで無料でお試しいただけます
では、どんな機能があるの?
ということで、無償30日間のトライアルを開始した。
インストール
試用ボタンを押すとログインもしくはユーザ登録が必要だが、その辺りの手続きは特にハマらなかったため文量を節約する。
LUMIX DC-S5の画像でトライアル
使用する画像はこちら。
何の変哲もないただの机の上である。
白飛びを抑えるために意図的にアンダーにしたが、ハイライト部分の処理はRAW現像ソフトによって違いが出そうなところだ。我ながら良いサンプルを用意できた。
ということで、やってみた。
取り込み、何もせずに出力
まずは、RAWファイルを取り込んですぐにExport。
人間の目はいい加減なので、若干の違いがある程度に見えるが、(2023/10/31追記。若干の違いしかないように見えるということは、Capture OneはRAWデータを読み込んだ後に、勝手に何らかの処理をしている、ということになる)Open CVとPythonで二枚の画像の差分を色付けしてみたところ、ハイライトとシャドウの一部以外全然違う結果になった。LUMIXのボディ内現像とCapture One(素の)現像パラメータが異なるからだと思う。このような比較は不毛なのでやめておく。
お試し調整
私は昭和晩年の生まれなので、デジタル写真でもちょっとフィルムっぽさを演出したい。よってフィルムプリントのような演出を二種類と、定番のTeal Orange、Black Orangeを作成。
安易にフィルムプリントのような、と言ってみたが、かなりしっかり研究しないとフィルムっぽさは出せないと改めて痛感。このサンプルでは粒状効果は使っていない。Black Orangeはそれっぽくなった気がする。
Leica M Typ 240の画像でトライアル
取り込み、何もせずに出力
まずは、RAWファイルを取り込んですぐにExport。
全然違う画像が出てきた。ホワイトバランスやらシャドウやら全部違う。
お試し調整
先ほどと同じく、フィルム風演出、Teal Orange、Black Orangeをトライ。
やってみて面白かったのは、LUMIXに比べてLeicaのRAW現像ではパラメータを色々と弄ると簡単にバランスが崩壊してしまう。LUMIXのRAWファイルの方が“編集しろ”が多い気がする。これは何故なのか?を探るのも面白そう。
所感
“え、動作めちゃくちゃ軽快!!!”
“え、説明書要らないじゃん!!!”
正直な気持ちがこれ。Capture Oneは操作していてテンションが上がる(特にLUMIXのRAWファイルを扱っているとき)。
ユーザビリティと品質が高次元で融合している。
チュートリアルや使い方説明サイト、動画など一切見ずに殆どノーストレスで作業を進められた。気に入ったパラメータセットができれば、それをStyleとして書き出し(カスタムスタイルの保存)もできた。言うこと無し。
なお、今回、局所的な補正ツールなど細かい処理のツールがあるのか分からなかったので、それは使っていない。
その他気に入ったところを挙げると、まずは、初回起動時にツール群やサムネイルの配置を選べる。これは良心的。
そして、これが嬉しい機能。スライダーを用いて編集前後を比較できる。この機能はFull ViewとSplit Viewで切り替えることができるので、Full Viewのモードでは全画面切り替えでも編集前後を比較できる。
評価
Capture One Proは正直なところかなり気に入った。
しかし、ここで高得点をつけてしまうと他のツールが更に良かった場合に差を付けられなくなる。スポーツでも採点競技では最初に出てくる選手の採点は辛口になりがちだ。
但し、最初であるが故に基準になる利点もある。
というわけで、何者でもないド素人が寸評などと偉そうなことを書く。
(ド素人と言いつつ、以前少しRAW現像経験有り。)
使いやすさ★★★★☆
説明を読まずにどれくらい操作できるか?の指標。ファイルの取り込みに関する部分が直感的とは言えない点と、局所編集ツールや作成したパラメータをまるまるコピーして別のファイルにも適用する、というような(NikonのCapture NX-Dにはあった)機能が見つからなかったので一点減点。
仕上がり ★★★★☆
意図通りの写真を作れるか?の指標。解像感が損なわれることなく、雰囲気の作り込みや粒状効果等も含め、やりたいことをかなり高水準でできた。
操作性 ★★★★☆
乱暴に言えば変な癖は無いか?の指標。トーンカーブは調整し易く、スライダーの操作や数値入力、それにカラーホイール(?)で調整する箇所も、操作に対する効果の線形性というか直結感がある。但し、かすみ除去を強めにかけると局所的にコントラストがきつくなる場合もあった。
動作安定性★★★★★
乱暴に言えばソフトが重くないか?の指標。素晴らしい。操作に対しサクサク動く。なお私のPCはAMD Ryzen™ 9 5900HX モバイル・プロセッサーと Radeon™ グラフィックスを搭載している。
コスパ ★★★★☆
対価に見合う体験をできるか?の指標。これは判断が難しい。私にとっては今備わっている機能で既に十分で、仮にバージョンアップがあっても不要と思える。しかし今回実施した編集項目はかなりベーシックな部類だと思うので、これだけの為に¥50,000以上払うのか?というと、他のソフトと比較して品質に対する満足感を得られないと判断できない。金額の観点では、時々30%オフキャンペーンをやっているようだ。そのようなメールが届いた。
なお、Lightroomのサブスクは48か月目にCapture One Proの買い切り額を上回る。
RAW現像例
Capture One Proで色々試した履歴として残しておく。
スポット修正などは一切行わず、露出関連、トーンカーブや色味、周辺減光効果、粒状効果のみでRAW現像した。彼岸花多め。
当たり前だが表示するディスプレイによっては諧調性が出ないので、もしCapture Oneが気になる方はそこそこ以上のディスプレイを使ってみていただければと思う。
Capture Oneの無料トライアルはあと3週間ほど残っているが、次は、Lightroomを7日間、無料トライアルしてみよう。
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