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🐾自己紹介(?)

私はとことん運が悪い。

バスや電車で変な人に絡まれるのはしょっちゅうだし、大切なものをなくしたり、車に轢かれかけたりするのなんかも日常茶飯事だ。
こんなのはまだまだ序の口。

極めつけは、今まで合格ラインに届いていた第一志望の大学が急に倍率が上がって見事に落ちてしまったことだ。
これにはさすがに参った。
母からは「受かると言ったじゃない」と怒号が飛んでくるし、親戚からは嘲笑されてさらに参った。
私は前世でどんな大罪を犯したのだろうか。

そんな、いつも大事なところでへまをする私には
幼いころからある願望がある。
それは...


「猫になりたい」


というものだ。
はは、馬鹿馬鹿しいだろう。うん、私もそう思う。
現実味がなさすぎる。頭の中がお花畑なのか?
18の女が未だにこんなことを考えているのだ。

しかし、
上手に生きることも、消えてしまうこともできない臆病な私が悩んで、自分を傷つけて、たくさん遠回りをして、ようやくたどり着いたのが「猫になる」というなんとも阿呆な考えだった。

〇自分の好きなことをし、好きなことを想う。
〇なるべく考えずに気ままに。

このエッセイはそんな私のほんの一部を記録する。
私の生きた証として残しておこう。
文章を書くのは下手なので、温かい目で見ていただけるとありがたい。

🐾夢と現

受験から数週間後…

大きなスーツケースとともに電車に揺られている。
見覚えのある景色から初めての景色に移っていくのをみながら、

「こんな私でもきっと、
キラキラキャンパスライフを過ごせる…!
バイトは書店やレトロなカフェなんかでして、
休日には友達と遊んで、ディズニーにも沢山いって、
ネイルに、メイクに…。やっと芋女から脱出できる…!」

とこれからの生活に胸を躍らせていた。


_____が、
そんな甘ったるい期待を抱いていた私を今すぐにでも殴りたい。

そもそも授業だけで一日が終わってしまう。予習・復習をしなければならない。知り合ったばかりの人に気を使ってコミュニケーションをとらないと。ああ、急いでバイトを探さないと食べ物がない。教科書を買い、免許を取るお金を振り込むと、あっという間に春休みに必死に稼いだお金は溶けた。

まだ電気代や水道代が今月に請求されるのか。
気づけば、寝ても覚めてもお金や食事、洗濯などの時間の使い方を心配していた。きらきらしている女子大生など夢のまた夢ではないか。
インスタグラムのストーリ―をのぞくと私が思い描いていた「大学生」を楽しむ高校時代のクラスメイトがそこにいた。

どこで間違えたのだろう。
これからこの生活をどう楽しめばいいんだろう。
不安が頭を埋め尽くす中、私は眠りについた。

🐾我会烏猫

大学の授業が終わり、最寄りの駅から下宿先まで
歩いて帰る。幸せそうな声、匂いのする商店街を
抜けて角を曲がる。

その先には先ほどとは真逆の景色。
誰も住んでおらず荒れ果てた庭。
修理されることのない屋根。
ただひたすらに青い青い草のにおいで苦しくなる。

しばらく歩いていくと何やらまあるいふわふわした塊が落ちているのを見つけた。
近づくとその塊は猫に変身して私を見つめる。
黒猫だ。しかもかなり不細工。

「君、かなり人慣れしてるんだね。
  怖くないのかい?」
と話しかけてみると、ニャーと不細工な声で返事をした。

「黒猫は魔女の召使だの、横切ると不吉だの、
見た目であれこれ言われて可哀想ねえ。」

憐れみを込めた声でいう。

「ねえ、君は私にどんな面白いことを見せてくれるの?」

こんな日常では面白くない。ジブリ映画みたいになにか非日常的なことが起きないかという期待を込めて、しゃべりもしない黒猫にひたすら話しかける。
当然返事もなく、面白くなくなったので
(自分勝手すぎる)離れようとすると、
先ほどまで動かなかった黒猫が素早く動き、
例の廃墟の中に入っていった。

あまりにも急なことに驚いてフリーズしていると
「こないの?面白いもの見せてやるのに」
と言わんばかりの表情で玄関前の柵からこちらを覗いている。

「気になるけどね、人の家にはさすがに入れないの。猫じゃあるまいし。

また、別の場所探してきてくれる?」

そう残してその場から離れた。


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