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ストレスチェックと、フールプルーフと、犯罪機会論

最近、離職率抑止でハラスメント研修や、ワークキャリア研修をさせていただく機会が増えた。
リスペクトトレーニングのように、お互いの尊厳を体感しながらかみしめ直してもらうような、ワークも行う。

で、本題。
最近は、セルフレジや、無人販売所ができるなど「性善説への見直し×DX」がサービスとして加速している気がする。もちろん、事業の上では「省コストとしてのDX導入」だとして。
いや、加速していた気がした。そんな中で、餃子の無人販売店で頻繁に窃盗が起こったり、一定の人の中にはそうした隙をついた行動がやはり起こっている。やっぱりね、という気持ちもあるが「性悪説」というよりは、やはり人間の心理って「性善説でありたい」「性悪説は仕方がない」という両翼によって、複雑な感情や選択が人生で生まれているのだと感じる。

ちょうど、ストレスチェックが社会に導入されるタイミングで、私は企業の人事部にいた。導入にむけては、専門家の話を聞きに行ったり、厚労省の説明を聞きに行ったり、かなり学習した。
当時はその効果については、結局企業にとっては完全匿名なので、高ストレス者で医師の面接を経るなどして社内調整が必要という場合を除き、ストレスがあると分かっても何も対策が取れないことなど、効果について疑問の声が多く上がっていたが、結果として「1次予防」に対して企業の意識が高まり、「ストレス」が社員にとって身近になったのは良かったと感じる。

この1次予防=メンタルダウンの前に気づいて、ストレスを抱え込まない方向へもっていく、という考え方は、結局、大切なのだ。

エンジニアとして7年働いていた時期がある。その頃に意識していたフールプルーフという考え方によく似ている。
フールプルーフ=人間はミスをする生き物であるととらえ、もしミスを未然に防げる設計にしておくこと、をいう。
犯罪を減らすために犯罪機会論で考えるというのも同じだ。
犯罪機会論=犯罪を未然に防ぐように、お店や現場の環境を整えて起こしづらくすること、をいう。
ちなみに、犯罪原因論は、犯行動機をとらえることをいう。

最近のトレンドで行くと「とりあえず性善説で設計しても人間は割と悪いことをしない。もしされたらその時に考える」という志向に行きがちだけれれど、これはこれで、無責任に感じる。
なぜなら、例えば人が見えるところに財布を置いておくような、相手が良からぬ思いを抱いてしまいかねない環境を創っておいて「ああ、あなたはやる人なのね」と、つい盗んだ相手に全責任を負わせる感覚だ。
たしかに、盗んだ人が100%悪い。
けれど、そういう心理になるかもしれない、と感じるのであれば、できるかぎりこちらもそれを考えないで済むように、環境を創る必要がある。
ビジネスの世界だと、契約書などがあるので、とても便利だ。

一方でメンタルヘルスは、もっと、企業や社会からの能動的なかかわりで、企業に負担を一方的に追わせずに済む、個人がメンタルヘルスに向き合える仕組みを考えられたらと感じる。
私は研修で、自分へのストレスの向き合い方を、アンガーマネジメント、ストレスコーピング、マインドフルネスなど、その人それぞれにあった形を選択してもらったり、ワークで選んでもらうことがある。

「問題」を考える上では、未然で解消する仕組み、を、その仕組みをつくるすべての人に意識してほしい。

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