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絵本っていいよね、の話。

妹に会ってきた。妹はわりと近くに住んでいるのだが、結婚して、今第一子を妊娠中だ。

マンションのエントランスまで降りてきてくれた妹は、ずいぶん目立つようになってきたお腹を抱えながら、私と母を先導して階段を上っていく。私ははらはらしながら、「今妹が足を滑らせて階段から落ちたら、すぐ下にいる私が意地でも受け止めなければ。でも後ろには母がいるから、落ちるわけにもいかないな」と考えを巡らせ、無駄に体幹に力を入れた。

妹のパートナーは私と同い年の男性で、ものすごく丁寧で、気遣いのできる素晴らしい人だ。のんびりしたいであろう連休最終日に、姑と小姑が家にやってきても、不機嫌になるどころか、かいがいしくお茶を入れ、桃を剥いてくれた。よいご縁があってよかったなと思う。

お腹の子が出てきたら、私は折にふれて貢物を差し出す甘々な伯母になることうけあいなのだが、今日は妹に、絵本をプレゼントしてもよいかとたずねたところ、快く了承してくれた。子供の頃家に大量の絵本があり、私も妹もそれらにうずもれるようにして育ったのだ。あんな絵本があったよね、あの児童書は良かったよねなんて、しばし盛り上がった。

それにしても、ちょっと考えるだけでも、贈りたい絵本が大量にある。ただでさえ本は場所を取るし、とりわけ絵本というものは、電子書籍に替えられるようなものではない。分厚い表紙、紙の質感。本そのものの重み。どんな匂いがするのか。飛び出る仕掛けがある本だってある。子供の頃こそ、本は紙で体験すべきだと思う。やはり本棚から用意すべきだろうか。とにかく、今思いつく贈りたい絵本、もとい私が子供の頃に好きだった絵本をメモしておこう。

①はらぺこあおむし

ド定番だと思うけれどこれは外せない。青虫がいろんな色の食べ物を食べてカラフルになっていくさまと、最後に蝶に姿を変えて飛び立つ様が美しい。おなじエリック・カール作品では、「パパ、お月さまとって!」も好き。


②これはのみのぴこ

これもド定番。これは のみの ぴこの すんでいる ねこの ごえもんの しっぽ ふんずけた あきらくんの…と、文章が途切れずにつながっていくおもしろみ。音読した時のリズムのよさ。


③めっきらもっきらどおんどん

絵本のなかに出てくる食べ物って、なんだかすごく美味しそうだった。おばけみたいな、妖怪みたいな存在と出会う話なんだけど、色とりどりに光るやわらかいおもちみたいなおやつをもらうのだ。あれ、一度食べてみたいと未だに思っている。


④おしいれのぼうけん

たぶんこれも定番。ちょっと怖いので、年長さんくらいになってからかな。ところで、今のご時世にお仕置きのために押入れに閉じ込めるって、下手すると虐待を疑われかねない。


⑤カングル・ワングルのぼうし

この本、絵が独特で、とってもきれい。クランペティの木って、本当にあるの?カングル・ワングルって何もの?ふらふら鳥ってなに?と母に質問しまくって困らせた覚えがある。ちょっと神秘的な雰囲気がたまらない。


⑥ふたりはともだち

がまくんとかえるくんのやつ。子供の頃、「ガマガエルはカエルのなかまなのに、「がまくん」と「かえるくん」なんて、なんか変だな」なんて思っていた。彼らの不思議な、絶妙にとぼけた感じの会話が好き。


まだまだあるんだけど、記憶がふんわりしていたりしてちょっとあれなのでこのくらいにしておく。赤ちゃんのうちは、いないいないばあとか、ねないこだれだとかのほうがいいのかな。夢はふくらむばかりだ。小学生くらいになったら、児童書もいい。かいけつゾロリとか、ロッタちゃんのおひっこしとか。でも本よりボールが友達になるかもしれないから、そうなったら私はスポーツを勉強してサッカーボールを贈ろう。バスケットボールでもピンポン玉でもいいけれど。虫取りが好きなら虫かごと網を。天体観測が好きなら望遠鏡を。もう最終的には現金でもいい、妹に預けるから。とにかく今は母子ともに無事に生まれてくることを祈っている。早く顔が見たいなあ。

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