6歳娘を見送る私の表情は、あのときの祖母と同じかもしれない
今年の4月から、娘は小学生になります。
幼稚園に入園した日が、ついこの間のことのようです。
幼稚園に入園する前は、こちらのnoteを書きました。
読み返すと恥ずかしくなってしまう内容ですが「あのときは、こんなことを考えていたなぁ」と思い出せるため、あえて編集はしていません。
せっかくなので娘が小学校に入学する前にも、noteを書こうと決めていました。
以前のように、また少しだけ私の独り言にお付き合いいただけますか?
最近の娘の様子
「お母さん、小学校の休み時間は何をしてればいいの?お絵かきとか外遊びとかするの?おもちゃはあるの?」
娘は、小学校生活に関する質問をしてきます。
「給食は残してもいいの?」
「保健室は、どんなときに行くの?怪我したら誰に言うの?」
「休み時間が終わったよって、誰か教えてくれるの?」
幼稚園で小学校のおおまかな様子を教えてもらっている最中のため、細かい疑問がでてくるようです。「小学校は〜」と、私が知っていることを教えてあげます。
納得したような不安を感じているような、なんとも言えない表情をする娘。きっと新生活への気持ちは、楽しみと不安が半分ずつなのでしょう。
私が小学一年生だった頃
私は小さな頃、祖父母に育てられていました。昼夜問わず働く両親のかわりに、祖父母が私の面倒を見てくれていたのです。そのため専業主婦だった祖母とは、多くの時間を一緒に過ごしました。
今になって思いますが、忙しい両親のかわりに私の面倒を見てくれていた祖母も、さまざまな思いを抱えていたのかもしれません。
とにかく祖母は心配性でした。
私が小学一年生になり、歩いて学校へ行くときのことです。
祖母に「車に気をつけて」「人通りの少ない道は通らないんだよ」「暗くなるまで遊んでないでね」などと言われました。
そして「振り返らないで行きなさい」と。
振り返らないでと言われると、つい振り返ってしまうのが子どもというものです。
歩きながら振り返って祖母を見ると、手を振ってくれています。何度も何度も振り返ってしまう私。
祖母は、いつまでも私を見送ってくれていました。
「そんなに心配しなくても大丈夫なのに」
「もうひとりでも平気だよ!」
そう思っていました。
祖母は私が何歳になっても「信号を見て道路を渡るんだよ」「風邪引くから、この服を着なさい」「お友達とは仲良くね」と気にかけてくれました。
そのたびに「もう、分かってるよ!心配しすぎ!」と思う私。150cmもない祖母の身長を追い越す頃には、反抗的な態度をとったこともありました。
娘に対する私の心の声
ここからは、誰にも言えない私の心の声をつぶやきます。
ちょっと長くなります。
そして恥ずかしいので、読みたい方だけ読んでください……。
それでは、娘に対する私の心の声です。
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道路を歩くときは、はじっこを歩いてっていつも言ってるのに!
車が来ないか見てから、道路を渡るんだよ!ほんとに分かってる?
自分で荷物を持って歩くんだよ!
歩くの飽きるってなによ……。
お散歩のときに急に走るけど、危ないって何度も言ってるでしょ!!!
ほんとに歩いて小学校に行けるのぉ?
自分で持ち物を確認してって言ってるのに、また忘れてる。小学生になったら自分でするんだよ!
なんでも「できない」って、すぐに諦めないで……。
こんなんで宿題や勉強とかできるのかなぁ。
あいさつは、しっかりー!
いろんなお友達と話せるようになってー!
モジモジしてたら、お友達にいじめられちゃうかもしれないよ……。
せっかく幼稚園で仲良くなったお友達に、そんな態度とって……もう!
お友達に合わせるだけじゃなくて、自分の気持ちも言っていいんだよ!
クラスに馴染めなかったらどうしよう、学校行きたくないって言う?
幼稚園より人数少ない環境になるけど大丈夫かな。
小学校でお友達はできるのかな、大丈夫かな……。
ピンクのランドセルを選んだのは良いけど、変なこと言われないかな……。
好き嫌いしないで、なんでも食べないと!
小学校は幼稚園の給食とは違うんだよ!!
幼稚園ではそれでいいかもしれないけど、小学校はね……
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育てる立場
今なら、祖母の気持ちも分かる気がします。娘には、あまり言わないようにしていますが、とにかく心配は尽きません。
不思議ですね。
幼稚園に入園する前は、自分から子どもが離れ始めていることを感じて、寂しいと思う気持ちのほうが強かったのに。
娘とは赤ちゃんの頃から毎日一緒に過ごし、たくさんの「初めて」や「思い出」を共有してきました。でも今では幼稚園での様子やお友達とのかかわりなど、私が知らないことも増えています。
小学生になるときは、もっと寂しい気持ちがあるのかなと思っていましたが違いました。
悲しい思いをしてほしくない。
傷ついてほしくない。
いつも楽しく過ごしてほしい。
今の私は、娘の幸せばかりを願っています。
もっと若い頃の私は、子どもとの接し方が分かりませんでした。どちらかというと子どもは苦手と思っていたタイプです。
娘のおかげで、新しい感情を知りました。
「ばあちゃん、昔こんな気持ちだったの?」
「反抗してごめんね、ひどいこと言ってごめんね」
今さら思っても祖母と話すことは、もうできません。
「もぞこくてなぁ」
私の祖母はよく「学校に行くときに振り返られると、もぞこくてなぁ」と悲しげな顔で言っていました。もぞこいは方言ですが、標準語で表すのは難しい言葉です。
気の毒、不憫という意味で使うこともありますが、愛しい、かわいい、かわいそう……などの意味でも使われます。でも、それ以外の意味も含まれているような不思議な言葉です。
まさに、今の私の感情にぴったり。
祖母が言っていた「もぞこい」は、私を大切に思う気持ちや心配する気持ちも混じった言葉だったのだなと、真新しいランドセルを背負って嬉しそうにしている娘を見ながら思います。
通学路
娘が小学校へ行くために通る道は、ヨチヨチ歩きの頃から私と手を繋いで歩いていた道。
公園脇の一本道。
どんぐりやクルミを拾った道。
幼稚園へ行くために車で通った道です。
今度から私は「いってらっしゃい!」と、娘を見送ります。
娘は小さな体に大きなランドセルを背負って、期待と不安が混じった表情をしながら、上級生と歩いて行くことでしょう。
しっかり前を向いて、振り返らずに。
娘を見送る私の表情は、たぶん、あのときの祖母と同じかもしれません。
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