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サイボウズとゆめみの広報が語った!企業が理念を実現するために広報ができること

※このnoteは #PRLT (Lightning Text) Advent Calendar2023 12月11日(月)の記事です。

福太郎がリスペクトしてるPRパーソンの人生観や働き方を紹介していく企画「この広報さんがすごい!!」第4回目のゲストはこの人🥳!!!!

ゲスト:ウラタコウジ氏(@ura_cy

横浜市出身。明治大学卒。2013年から電通PRコンサルティングでプランナーとしてBtoCメーカーや官公庁など多種多様なクライアント業務をサポート。2022年7月からサイボウズ広報部に勤務。チームワークあふれる社会をつくることを目指して広報業務に携わる傍ら、複業PRプランナーとしても活動。2023年7月には株式会社ATARU PRを設立し、主にPRコンサルティング事業を手掛ける。主な受賞:「2021アジア・パシフィックSABREアワード」ゴールドSABRE など


聞き手:福ちゃん(
@fukutaro_yumemi

福ちゃん(株式会社ゆめみ 執行役員CCO)ゆめみでコーポレート広報&採用広報を担当。ゆめみ入社以前は井之上パブリックリレーションズなど2社のPR会社で延べ10年間PRコンサルタントとしてキャリアを積む。日本パブリックリレーションズ協会認定PRプランナー。福岡生まれ神戸育ち東京在住。趣味は美活、カラオケ。特技は5歳児未満の子どもの相手をすること。日本人初のメンズ美容家としてギュンギュン王国内閣美容大臣を兼任。愛称は福ちゃん💛

福太郎:PR会社で10年経験を積んでインハウス広報に転身して、業界の意識やスキルのレベルを高めていこうっていう発信を継続しているアタシが一目置いてる広報賢者。それが、ウラタコウジ氏です。

ーーふたりはどうやって出会ったんですか?お互いの第一印象は?

福太郎:今年の2月に開催されたPR TIEMSのイベントで名刺交換したのが初対面。新卒で電通PRに入社してみっちり10年経験を積んだという経歴がつよい!またひとり骨太なプレイヤーが降臨してきたなという印象だった。

ウラタコウジ(以下、ウラタ):交流会の会場で、ふだんXで見ているとおりのギュンギュンなテンションの福ちゃんがいて。「これがいわゆるギュンギュンか〜」と感心してたら、気がついたらツーショット写真を撮られていて「あぁ自分もギュンギュン王国の国民になったんだ」と思いました(笑)。

ーーお互いの会社をどう見てる?

福太郎:コウちゃんからサイボウズ広報の名刺をもらって「お!」ってなった。実はゆめみのPR戦略を立てているなかで発信が上手な企業としてべンチマークしていたのがサイボウズだったんだよね。そこに骨太広報がジョインしたことを知ってこれはすごいことになるぞ、と思った。

ウラタ:福ちゃんを通じてゆめみという会社を見ていて、自分たちと通底しているところがあると思ってたんです。自律分散型組織を作ろうとしているところはサイボウズとも共通していて、かねてからシンパシーを感じていました。

福太郎:うんうん、お互いにリスペクトし合うスタンスいいねぇ。組織のあり方だけじゃなくて、発信においても参考にさせてもらってる。透明性を大切にしながらスポークスパーソンの多様性を広げている点も素晴らしくて。そういったことを大切にする人を増やしていこうという動きが目に見えるし。あと、青野社長自ら「かつて自分のせいでブラック企業になってしまって、離職率を上げてしまった」という過去の失敗談なんかを包み隠さずさらけ出す姿勢が素晴らしいよね。誠実さを感じずにはいられない。

ーーウラタさんはどういうキャリアなんですか?転職の動機は?

ウラタ:新卒からPR会社で9年、もうまもなく10年のタイミング、というところで、サイボウズを転職エージェントに紹介されました。10年くらい前はまだオウンドメディアをやっている会社なんてほとんどない中で、自ら発信する情報がたくさんあって。2012年くらいに働き方改革の分野でかなりバズってたりもして、PRの業務の中で、面白い仕掛けが話題になってる企業であることも知っていて気になってました。

ーー他の選択肢はありましたか?

ウラタ:他にも選択肢はあったけど、内定をもらったタイミングでサイボウズに決めました。従業員の複業もOKで多様性を認める文化が根底にあって、マルチなキャリアを叶えられるとおもったことが大きいです。すぐに個人事業主として届け出を出し、複業をしながら勤めることに。PR会社時代から、働くスタンスとして複業的に働いている感覚は当時からあったので、やってることのコアはあまり変わらなかったですね。

福太郎:コウちゃんとアタシはPR会社出身のインハウス広報という共通点があるよね!アタシの場合はPR会社から事業会社に移った際にミッションや環境変化に戸惑いもあったし、組織に受け入れてもらえたと実感できるのに時間かかって苦労したのよね~(涙)。コウちゃんはどうだった?

ウラタ:自分が順応できたかはわかんないけど、入社して3ヶ月経ったときにメンターの先輩社員から「あれ、まだ3ヶ月しかいないんだっけ?」と言われたくらいには馴染めてたんじゃないかな。一応、入社前に本を読んで文化を学んだりとか、入社したらしたで社内の全情報がオープンになっていて、飛び交っている情報量も圧倒的に多かった。どういうふうに発信してるかを吸収して、習うより慣れろを体感しながらやっていった結果、早く馴染めたと思う。

福太郎:さすがの順応力!尊敬!アタシはあらゆるアクションがことごとく裏目に出て、受容感を実感できるまで1年半かかった(涙)。入社初日の自己紹介で「みなさーーん!ギュンギュンですかーーー!!??」と全力挨拶をかましてZoom越しに約300人が無言で固まって。。という逆風スタートから始まり、畑違いのエンジニア組織にフルリモート環境で代表のリファラル採用、さらにはギュンギュンキャラ全開(!)ということも重なってか、当初は現場メンバーから一定の距離を置かれてお手並み拝見感をひしひしと感じた(主観)。。
(その経緯については後日noteで公開予定…予定!)

ウラタ:わぁ!それは(どちらも)大変だ(笑)。ひとり目広報だということもあるし、組織の規模的にも新たに入る人へのまなざしが鋭くなりそう。転職者の人数がそれなりにいたらお手並み拝見とはなりにくいはず。見定めスタンスが強くなっちゃうよね。

ーー福ちゃんに聞きたいんだけど、広報コミュニティとかでよく話題になる悩みってどういうものがあるの?

福太郎:たとえば「経営陣との関係性」とか。広報というものへの役割に対する理解が乏しい、もしくは、詳しすぎてやりづらいパターンもあるよね。他には、ひとり広報のつらみKPIどうするか問題メディアとの関係構築機会が限定的、みたいなことが多いね。

ウラタ:あるある、どれも共感するなぁ。それ以外には規模の大きな組織だと縦割りの問題が出てくる。いわゆる「あなたの仕事じゃありません問題」というのもあって。自由に活動できないというか。経営陣との関わりでいえば、結局どうしたいのかをグリップして進めていくには勇気がいるんですよね。広報はアウトプットを担いがちなポジションでもあるので、積極的に関与していかないと難しい。わかりやすい例でいうと、メディアの露出を取らなきゃいけない、というミッションが課されたとして、何でもいいという訳ではなく、どの部分をメディアに切り取ってもらえばいいか?というあたりのバランスは本当に難しくて。世の中に情報発信されないことも含め、どこに自分たちのWILLをおいてアクションを続けていけるかは大切ですね。

ーー辛かった時期ってありますか?

ウラタ:じつは、新人時代ペーペーのときにミスを隠す癖があって(笑)。学生時代、サークルの代表とかしてて鼻が高くなってたのかな。有能スタンスでいたんです。隠蔽したり、嘘の報告をしたり、黙ってたり。新卒1〜2年目の頃なんかは「怒られたくないからミスを隠す」ようにしてたので、毎日怒られてた。人は、起きた事象に対してよりも言い訳や隠蔽などに怒るのだ、ということを学びました。その後、「ミスは率先して報告する」。人為的だったとしても「仕組みで再発を防止する」ということを心がけています。「怒りの感情」が何かを生み出すことはあまりないと思っています。

ーーそういう感覚の元となる体験はありますか?

ウラタ:メディアプロモーターのポジションで入社して(毎日怒られて)、2年目の終わりにプランナー兼・営業としてジョブローテーションしたんだけど、異動先で「失敗を早く報告したほうがうまくいく」という成功体験があった。当時の上司が懐が深くて、ミスを叱責するのでなく「どうやってそれを解決したのか考えたほうがいいよね」と一緒に考えてくれる人だった。その時に、煙が出る前に報告して信頼関係を築くことが大事だと気づくことができた。

ーー福ちゃんも共感しますか。

福太郎:共感するなぁ。ゆめみも「Bad News Fast」を徹底してやっていこうとしている。実は6年前にゆめみのCTOが逮捕された事件があって、その当時、隠蔽しようとしたことが発覚して大炎上して、会社のレピュテーションやメンバーのモチベーションも低下。離職率も24%にもなってしまい、それが透明性を徹底するきっかけとなって、いまはオープンな会社になったんだよね。現在は直近3年間の離職率は平均4.1%まで回復。

ウラタ:うんうん。衝撃的な事件がないと、組織って変わらないところもあって。失敗から学ぶことはたくさんあると思うし、情報をクリアにオープンにするとか、失敗するという前提にたって、いろいろと考える。長期的にみるとやったほうがいいことはたくさんあるよね。

福太郎:うん。それで、ゆめみには社内Slackに「Bad News Fast」チャンネルを作って、些細なことで悪いかもと思うことは各自が自発的に報告する文化を育んでる。「そんな些細なことも?」ということも含めてとにかくすぐに気軽に報告する。例えば「面接に寝坊して5分遅刻してしまいました」とか。感覚を浸透させるために組織としてトレーニングをしている感じ。「謝罪と改善案は不要」もルール。事実だけを伝える。そして、その報告には『共有ありがとうございます』と、代表のれいっちから送ることも徹底されている。

ウラタ:その文化は本当に素晴らしいと思います!改善案をセットにすると、急にハードルがあがってしまうから、事実を事実のままにとらえるのって本当に大切で。サイボウズでも、事実と解釈を分けて考える文化があります。「いまの報告って解釈が含まれているよね?」っていう言葉が日常的に飛び交います。

福太郎:いや~、サイボウズの文化も素晴らしいね。やっぱり日々の鍛錬の積み重ねが大切ってことを改めて感じるなぁ。

ウラタ:サイボウズはパーパス経営がすぐれてると言われることもあるけれど、実際に『それってそもそも、パーパスに基づいた判断なのか?』というやりとりが日常から飛び交っています。形だけの、いわゆる「言わされてるパーパス」じゃなくて、実現しようとするためにあるものだと考えているんですね。体現している人が社内でマジョリティになっていかないと。トップ自身が『理念を実現するためにこの会社がある』と言っているくらいなので。

福太郎:良いリーダーやねぇ。ゆめみもトップが率先して体現してる社風という共通点があって、代表のれいっちは「ゆめみは吉本興業のような組織を目指そう!」とガチで言ってるのよ!『精神年齢5才児のふるまいを意図的にできる組織になろう』って真面目に話してる(笑)。どうしても年齢や経験を重ねるとかっこつけたりしたくなるじゃない。でも、権威性が高い人ほど道化になるべきなんだよね。ゆめみの場合、ふざけた発信が叩かれちゃうと安心してふざけられないので代表がいちばんふざけきることで心理的安全性を担保してる。「僕のことはもはやあほっちと呼んでいいよ〜」とか定期的に言ってる(笑)。

ウラタ:れいっち面白すぎる(笑)

ーー今の話を聞いていかがですか。

ウラタ:ゆめみはちょっと極端かもしれないけど企業のあり方として面白いよね~。さらに、大企業に目を向けると、日清食品なんかでも、スローガンに「おいしい、のその先へ。」と標榜していて。おいしいという言葉は食品メーカーとして当たり前で差別化が難しいので、おいしいに加えて面白いと思われよう、という意図がありますよね。だから、社内では、それっておもしろいのか?を常々考えている。代理店が提案したものを超えてくるものを社内で練ってくる、いかにこだわってパーセプションを獲得できるか、という姿勢がすごくて、各ブランドのコミュニケーションにも表れていますよね。

ーーウラタさんはこれからどうしていきたいですか?

ウラタ:スタンスとしては、競争じゃなくて、共創したい。「自分だけ、自社だけ、人から愛されて、以上」となるようにはしたくないというか。みんながハッピーになればいいと思ってます。「サイボウズの広報が言ってるけど、うちでもできるんじゃない?」とか、自分たちが変わる上での踏み台というか、きっかけにしてもらえたらいいなとか考えながら情報発信をしています。

ーーご自身が経営されている会社(ATARU PR)のほうでも、こうしたい、というのはありますか?

社員をたくさん雇って大きくしよう、というイメージはあんまりないですね。同じように自由な働き方をしている仲間たちとチームを組んで、ギルド的にわちゃわちゃと集まって仕事をして、よかったなって言いながら飯を食らう、みたいなのを楽しいと思ったりしています。

福太郎:ATARU PRって企業というより「場」のようなもののようだね。

ウラタ:そうそう。会社って「理念を共有する組織」の呼び名という気がしてます。良い会社をつくりたいというよりは、こういう世界にいると自分が嬉しくなる、ということのために、会社というツールを使ったほうが効率的だ、というくらいの意識ですね。

福太郎:エモい!!

ーーそろそろ時間です。ありがとうございました!

福太郎:早い!あっという間!全然まだ話し足りない!!けど今日はコウちゃんの価値観を深掘りするトークができて有益だった!夢をありがギュン!また語り合おうね!

ウラタ:こちらこそありがギュン!うん、また是非!!


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