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見えないものをカタチにするワークショップday7:「カンブリアンゲーム」 〜イメージの樹を育てる〜

カンブリアンゲームとは、システムアーティストの安斎利洋さん、メディアアーティストの中村理恵子さんが企画開発を行ったパブリックドメインのゲームです。
カンブリアン・ゲームは、ひとりひとりのアイデアがほかの人のアイデアを巻き込みながら変化し、ひとりではとうてい思いつかないような多様なアイデアを生み出していくゲームです。人と人とが影響しあいながら豊かなミームを育てていく過程を、カンブリアン・ゲームの小さい宇宙の中で体験することができます。
今回は全員でゲームをやってみることにしました。

ワークショップのレシピ

(1)インプット動画を見る 
・カンブリアンゲーム
http://cambrian.jp/postit/index.htm
・カンブリアンゲームとクラウドの無意識
https://www.ieice.org/publications/conferences/bin/pdf_link.php?fname=A-6-4.pdf&year=2017&ConfCd=F&id=FIT0000012944&lang=J
・連画
http://renga.com/rengaarc/気楽な日曜日-carefree-sunday/
・カンブリアンゲーム 動画
https://www.youtube.com/watch?v=_3sCeghbZGQ

(2)カンブリアン・ゲームのやり方を確認する
【用意するもの】
模造紙、正方形のふせん、フェルトペン
【遊び方】(カンブリアンゲームサイトより)
・プレイヤーの順番を決める。
・始めの一人は、種となる絵を台紙の中央に貼る。
・次の人は、台紙にある絵をもとに、その絵になんらかの「関連」のある次の絵を描き、もと絵の傍らに貼る。ふたつの絵を結ぶ矢印を、台紙に書き入れる。これを「絵を付ける」と呼ぶ。
・順次、参加者は絵を付けていく。ただし、ひとつの絵に付けられる絵は2つまでとする。
・空間が埋まったら、ゲームを終える。最後に全体を撮影する。

作業中の様子

最初はGYROのGから。
順番を決めて描いた絵を貼っていきます。
スピーディにイメージを膨らませていくのは難しいです。


完成版GYRO流カンブリアンゲーム


↑                                完成版
↓ 作業中のタイムラプス動画


ワークショップの振り返り

基本的に、このワークショップでは、自分の内面と向き合うことを大切にし、みんなで楽しむことを主な目的としているので、評価はしないルールとしています。
しかし、今回、やっている最中は楽しかったのですが、「爆発」と言えるような化学作用にまで至らなかったことが反省点として残りました。また、既存のワークショップを活用したので、ファシリテーションを適切に行えていなかったのではないか、ということが気になっていました。
そこで、カンブリアンゲームの開発者である安斎さんにアドバイスをいただこうと考えました。以前、大学の授業を通じて安斎さんにお目にかかったことがあったため、厚かましいと思いつつメッセージをお送りしたところ、とても丁寧なコメントをいただきました。
以下にその内容を引用します。

安原から安斎さんへのメッセージ

前々からワークショップでカンブリアンゲームをやってみたいなと思っておりましたが、サイトを拝見してパブリックドメインということを知り、やりかたがよくわからないながら、とにかくやってみよう!ということで、説明ページやYoutubeなどを見て実施してみました。
ただ、やっているときは楽しかったのですが、結果を見返してみて、もう少し広がり(爆発)がほしかったように思います。デザイナーが取り組んだにしては、頭がかたい感じのような。。
これはおそらく、私のファシリテーションのしかたに問題があったように思います。もし何かアドバイスをいただけたら幸いです。

広がりが足りない要因(なのかどうかわかりませんが)として、自分なりに考えているのは以下の点です。
・1時間という時間制限をつけたため、じっくり考えずにとにかくその場の思いつきで描いていったので、練りが足りなかった?
・模造紙の範囲におさまるようにしたので、ツリーとしての派生がうまくできていない?
・「関連」について、特に制限をつけなかったが、どうしても意味的な関連にとらわれがちになり、柔軟な発想ができなかったかも。多少制限してもよかった?

安斎さんからのコメント

カンブリアンゲームは、付箋でやってもオンラインでやっても、場ごとに異なる相互作用が起こり、予測のできない特徴をそれぞれの場に作り出す作用があるようです。それはカンブリアンゲームを最初に東大安田講堂でやったときにも確認していて、不思議な現象だと思っていました。同じメンバーでやっても、別な方向に流れたりします。
おそらく、協調して空気を作り出そうとする気持ちと、逆に突出して空気を破ろうとする気持ちをメンバーそれぞれがあわせもっているためではないか、というのが僕のとりあえずの仮説です。いずれにしても、カンブリアンゲームは不安定なシステムで、だからこそ創発的な爆発が起こりうるのでしょう。
写真をつなぐカンブリアンゲームで、2005年ごろいろいろルールの実験をしました。たとえば必ず何かに見立てる「星座作用」とか、テキストとして俳句をつけるとか、街中の「トロルを探せ」などなど。しかし、あるところから制約を付けるより、遊びが連衆の間から生まれるようになりました。あるスレッドがどんどん物語を作ったり、色彩の遊びが始まったり、遠い枝同士の対話を故意に作ったり。
空気を作りすぎても、破りすぎても面白さは減少するので、そこをコントロールしようとあれこれ工夫をするのですが、ルールを作ってもなかなかうまくいかず、その塩梅の面白さをメンバーが暗黙に共有するコンテキストや導入を考えるのが本筋だと思っています。

リフレクション

このゲームの奥深さを感じる貴重なメッセージをいただくことができ、とてもありがたく思います。ジャイロならどんな塩梅の面白さが生み出せるのかあらためて考えてみたいです。ルールの中で進めることを意識しすぎていましたが、もっと自由に遊び心を持って「実験する」気持ちで取り組んでもいいのだと感じました。
メンバーの関わりのなかから生まれる、予想外のイメージを楽しむことができるような機会を、ぜひまた作りたいと思います。


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