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入浴中・偽

まだ暗い早朝に、
電気を点けず半身浴をするのが好きだ。
辺りの騒音もなく、
およそ何の気配もない中で、
自らもじっと気配を消して辺りに溶け込む。
夢か現か、何処までが自分かわからぬまま、
すりガラス越しに段々と日が差してくるのが良い。
ふと、差し込む光が遮られた。
「覗き」かと身構える。
窓の外には行列のような人影が右から左へと進んでいく。
風呂の窓の辺りは防犯用に音の鳴る砂利が敷き詰められている。
それは五分続いた。

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