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松の木・偽

実家の裏庭に一本の松の木がある。
その松には大きな瘤があるのだが、
僕にはそれがこちらを睨み付ける顔に見えて、
小さな頃は本当に怖かった。
久々の里帰りで初めて裏庭の松を見た娘が、
幼い日の僕と同じようにそれを怖がるので、
遺伝でもするのだろうかと少し笑いながら、
「大丈夫。何でもないよ。」
と瘤を撫でてみせる。
「痛っ」
指先に痛みが走る。
小指の爪が剥がれ、瘤の辺りに張り付いていた。
松の瘤は笑っているように見えた。

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