〈小説〉スカートとズボンの話 #2
そうだ、パパの雑誌に載っているかもしれない。
パパの鞄には、いつもおじさん向けの週刊誌が入っている。それなら、もっとわかりやすく書いているかもしれない。わたしは忍び足で玄関に行って、パパの鞄からそっと週刊誌を抜き取って部屋に持ち込む。開くと早速、記事を見つけた。
次のページをめくると、知らない女優が素っ裸でポーズを取っている。
ふーん、これがヘアヌードなんだ。わたしは2秒だけじっと眺めて、雑誌を閉じた。おじさん週刊誌って、どうしてこう、すみからすみまで気持ち悪いんだろう。
でも、とってもわかりやすかった。おかげでいろいろなことがわかった。
お口直し、とつぶやきながら、わたしはまたさっきの雑誌の、リーバイスを穿いたモデルのページを広げた。
写真の下には「ジーンズ ¥8,900(mer bleue)」と書いてある。商品の値段と、売っているお店の名前だ。
巻末の「掲載商品お問い合わせ」のページを探すと「mer bleue マーブル」と書かれた横に、住所と電話番号がある。東京23区ではないその住所と電話番号で、わたしはピンときた。中央線に乗ってあの駅で降りれば、多分ここに行ける。
つづく
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