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成年後見人を利用しない方法は実はいくつもある!?【ケース別に考える3つの手段】

成年後見人を利用しない方法は実はいくつもある!

成年後見人を利用しない、いわゆる成年後見制度を使わない方法というのはあるのでしょうか?

費用はかかりますし、財産の管理を家族が行えなくなる。強制的に法定相続を強いられるなどのデメリットがある成年後見制度を利用したくないと考える方はもちろん多くいらっしゃると思います。

しかし「国の制度だから」、「銀行に言われたから」と言う理由で、「成年後見人を利用しない方法なんて無い」と思い込んでしまっている方がほとんどだと思います。


ネットや本にはなかなか載っていない「成年後見人を利用しない方法」

私も職業柄、成年後見人についての記事や本を目にすることが多いのですが、「成年後見人の利用方法の解説」はあっても「成年後見人を利用しない方法の解説」はほとんど目にすることがありません

強いて言えば「成年後見人を利用しないためにも遺言を活用しよう!」とか「成年後見人を利用しないためには家族信託が有効!」とかのトピックを目にすることはあります。もちろんそれは正しいです。

しかし、成年後見人をつけることに迫られた時に「成年後見人を利用しない方法」について解説している者はほとんどいないのです。

成年後見人をつけない方法はケースごとによっても違う

成年後見制度は色々なケースで利用されます。高齢者で利用されるケースが多いという印象ですが、障害者にも利用されるケースがあり、そのほうが問題点及び成年後見人を利用しないメリットが大きくなります。

なぜなら、高齢者に比べ、若年時につくことになる成年後見人に対しての費用は莫大なものとなるからです。

【参考記事】


成年後見人は本人が亡くなるまでつけるのをやめることは原則的にできませんので、高齢者と障害者の成年後見人がついてからの余命を考えれば明らかです。 

もちろん高齢者に対して成年後見人を利用しないという方法もあります。今回はケースごとの成年後見制度を利用しない方法についての概要をお伝えしたいと思います。

高齢者に対して成年後見人を利用しない方法

高齢者に対して成年後見制度を利用せず、成年後見人をつけたくないと考える場合はどのようなケースでしょうか。

もちろん本人を看る者がいない場合などは成年後見制度は十分な力を発揮します。

しかし、成年後見人を利用したくないといったケースの多くは「成年後見人がいなくても本人の世話をする者がいる」という場合だと思います。

ここでは「高齢者本人が認知症であるが、本人を看る家族はいる。しかし相続が発生したために成年後見制度の利用を勧められた。」という典型例での成年後見人を利用しない方法についてお伝えします。

①相続をしない

高齢者に対する成年後見人を利用しない方法として最も簡単なのは「相続手続をしない」ということです。

夫が亡くなり相続が発生したが、本人は重度の認知症であるといった場合にこの方法を取れることがあります。

本人は高齢であるため、本人が亡くなった後にまとめて相続手続きを行いますが、相続財産は凍結されたままになってしまう(一部引き出し可能)ということに注意しましょう。
※不動産登記に関しては登記の義務化が進められているため注意が必要です。

②法定相続分で相続手続きを行う

これは本人に意思能力や判断能力が無い場合に考えられる方法です。

不動産登記では当然手続きはできるのですが、現在銀行では遺産分割協議書を要求してくるところがほとんどであるため、全ての場合に対応できるとは限りません

前述した①と同様、本人が亡くなった際には自由に分割が行なえますので、それまでの間の仮手続という考え方もできます。

【参考記事】

③そもそも通常通りの相続手続きができる場合

認知症があっても通常通りの相続手続きができる場合もあります。詳細については別記事に記載してあります。


障害者に対して成年後見人を利用しない方法

次に、障害者に対して成年後見制度を利用したくないと考える場合はどのようなケースでしょう。

もちろん、本人を看る者がいないという場合には当然成年後見制度を利用するのがベターでしょうが、本人の世話は親若しくは兄弟ができるといった場合には、出来るだけ成年後見人は利用したくないと考えるでしょう。

そんな中、成年後見人を求められるタイミングで一番多いのが「親の片方が亡くなり相続が発生した時」です。

障害者の場合では、高齢者に対して用いる①、②の方法は適していません

なぜなら障害者に成年後見人が求められる場合の多くは「本人が比較的若年」であるからです。

そのため、「相続手続きを行わないで待つ」ことや「法定相続分でとりあえず遺産を分割しておく」ということは現実的になかなか難しくなります。

方法は単純、しかし安易に行うことは危険!

障害者に対して成年後見人を利用しない方法は意外と単純です。

それは、「通常通りの相続手続きを行う」ことです。

「そんなことができるの…?」とお思いの方は多いと思いますが、理論上、法律上、実際にも可能な場合が多いです。

もちろんどうしても不可能なケースはありますが、どのご家庭でも成年後見人を利用しない相続を検討する余地はあると思います。

しかし、単純な方法ではありますが、やらなければならないことややってはいけないことは多岐にわたりますので、素人が軽い気持ちで行うことは絶対に勧められません

なかなか大変ですが、成年後見人や障害者に対して知識のある専門家を探す必要があるでしょう。

【成年後見人をつけない相続の情報盛り沢山!】

【参考記事】

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適切な専門家のサポートを!

当事務所のホームページでは、今回挙げた内容の他にも具体的な方法について掲載されています。成年後見人でお困りのご本人やご家族への情報提供に力を入れていますので、ご活用ください。

また当事務所では、成年後見人でお悩みの方にはご本人及びご家族の状況を丁寧にヒアリングし、出来るだけご希望に沿った方法をご提案しております。専門家選びに苦労される場合にはぜひ一度ご相談ください。

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