阪神百貨店で開催された第2回木桶職人復活プロジェクト。
醤油、味噌、酢、ソース、日本酒、ワイン、ぬか漬け、木桶醤油の加工品がズラッと食祭テラスに並びました。
僕は蔵元さんとのトークなどを担当をさせて頂きました。

今回は若い蔵元さんが多かったので、「なぜ跡を継ごうとしたのか」をお伺いしました。
すると、
「親が楽しそうに仕事をしていたから」
「小さい頃から、跡継ぐんやろと言われて育ったので、何の違和感もなく」
「自分がやりたいことを冷静に考えたら、親がやっていたから」
「小さい頃に、醤油を舐めようとしたら、止めろと止められて、素材にこだわる醤油をつくり始めた親の姿を見て」
「親が醤油づくりをやめていて、醤油屋の看板を掲げているなら、自分が跡を継ぐとしたら、木桶で醤油をつくると決めていたから」
など色んな答えを頂きました。

そして、若い蔵元さんの特徴は大学でしっかりと醸造を勉強されている方が多い。
その知識と親が持つ経験知が融合して、さらに微生物たちが働きやすい環境が整っている感じがしました。

木桶で醤油をつくることは、微生物が美味しいものをつくる環境を整えることしかできません。
しかも、それが手間がかかる。
折角手間がかかることをするのなら、素材にもこだわろう。さらには水にもこだわろう。木桶の材料にもこだわろう。
気づけば、人にも優しい、地球にも優しい醤油が醸し出されていたのでした。
そして、今だけいいという考えでは木桶は将来廃れます。
というのも、木桶の寿命は100~150年。
木桶に出来る木の育成にかかる年月は80~100年。
今使っている木桶が壊れるころに、新しい木桶の為の木を今、植えておかないと間に合わないんです。
しかも、桶を締める竹は孟宗竹ではダメで、真竹。
節と節の間がなるべく長い方がいい。
そんな真竹も育てておかなければならない。
そんなこんなで木桶のプロジェクトは一つ動かすと200年という尺度で考えなければ成り立たないんです。

個人的な感想ですが、小学校とか中学校で醤油の仕込み体験をして、

大豆→タンパク質→アミノ酸(旨・苦) 
小麦→デンプン→ブドウ糖(甘)→(酸)or アルコール
を使って、味(五味)、香、色が変わることを実感すると、その後の科学の勉強が具体的にわかるようになるんではないかと思ったりしました。

木桶、これからも目が離せません。

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