玉露

玉露の自由帳

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最近の記事

青色1号・2号

地元に帰ってきたのを一体どこから嗅ぎつけたのか、近頃互いに顔さえ覚えていないような輩が時々私に寄ってくる。 SNS経由ではない。 ある日、突然知らない番号からショートメールが届いたり、名前もアイコンも変わり最早正体不明となった何者かから友達追加されたりするのだ。 そうしてそんな奴らは決まって私が大阪にいたのを把握している。 ――リテラシーの欠片もない誰かが、楽しく他人にあることないこと吹聴する昔ながらの田舎ネットワーク。 思春期を過ごした大切な地元である筈のこの街を私が気に

    • カルロスの小間物屋

      あなたは幽体離脱をしたことがあるだろうか。 私は、ある。 藪から棒に何を言い出すのだ、さてはついに正気を失い怪しい宗教にはまったな……だなんて身構えずまあ暇つぶしに読んでもらえると嬉しい。 科学的なメカニズムみたいなものはわからないが、いきなり夢のない話をすると、とどのつまり夢だ。 哲学でも駄洒落でもない。 私は幽体離脱について白昼夢だとか、インターネットによく転がっている所謂異世界体験と同様の物と考えており、その状態に至る時必ず決まったプロセスを踏むこととなる。 それは

      • Twitterいつだか小話2022/08/08

        表で煙草を吸っていたら黒猫と目が合った。 お互いのびっくり顔を披露したあと、仲良くなるために知らんふりをした。 きっと構われたくないに違いない。 少ししてから再び歩きだした後「本当に何もしませんか、」といった様子で視界の端からこちらを伺ってくる。 大丈夫、何もしないよ。 立ち去る黒い影。 黒猫とは、仲良くなれなかった。

        • Twitterいつだか小話2022/08/08

          課外授業後、なんとなく帰りたくない者が残り、田舎らしく川遊びなんてしていたら。 小中高と学校の被ったそいつは唐突にセックスがしてえと叫んだ。 そして小さな声で「お前以外と」と続けた。 今更どんな反応をしていいのかわからなかったからひどーい!と戯けて見せると、嘘だよとはにかむではないか。 どこからが嘘だったのかなんとなく気になるし、そいつは前回のクラス会で「ソープランドで童貞卒業した!!」なんて嬉しそうに笑っていたから、たぶんあの夏の切なる願いが神に届いたのだと思う。 私は

        青色1号・2号

          電子レンジの話

          今日、電子レンジが壊れた。 18歳の時一人暮らしをする際父親に買ってもらったHITACHIのオーブンレンジは“チキンを焼いたりお菓子作りをしたりしたい”という私のわがままを充分に叶えてくれる、一般的な一人暮らし初心者の人間にはちょっと贅沢なアイテムだった。 昨日の夜からあまり調子が良くなかったが、電源コードを持ち上げたり引っ張ったりしながらなんとなくまだ使える状態であることを確認。 明日にはもしかすると良くなっているかもしれない……、そんな期待は今朝呆気なく打ち砕かれる。

          電子レンジの話