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「今日のちょび」03・・・大胆になって来る尻尾の長い奴。


ここ三日ほど顔を見せなかった「ちょび」が、
朝起きてくるとサッシ戸の前でちょこんと待っていた。

顔を見ると、「にゃあ」とひと鳴きしてくる。
「待ってたゾヨ!」というメイドカフェの呼び込みのような愛嬌である。

この三日間どこに行っていたのやら。

「他所の家で何か美味しいものを食してきたのか?」

と聞いても、「にゃあ」と再び呼び込みの声を上げる。

すると、こちらは仕事疲れの溜まったビジネスマンのごとく、
広角を上げ、「そうかそうか」と訳も分からず、懐から財布を・・・いや、
お皿にニャご飯を入れてしまうのだ。

サッシ戸を開けて、ニャご飯を置いただけでは警戒しているが、
ちょっと離れて知らんぷりすると、ようやく安心して
お皿に顔を突っ込む。

時々、前の道路を車が走ると、途端に食べるのを止めて周りを見回す。
もっと小さかった時は、こんな仕草をしなった。
少し前に、しばらく来なかった時があったが、
それ以来どうも警戒心が強くなったのだ。

そして、今も時々、数日単位で姿をくらませる。
その間どこで何をしているのかは分からない。
どこかで甘えているのだろうか、それともニャゴとしての修行を積んでいるのであろうか。
江戸時代には、尻尾の長いニャゴは「化ける」という迷信があったそうな。

ちょびは、何となく尻尾が少し長くなったような気がする。そして徐々に大胆になって来ている。
皿を中に置き、人が距離を取っていると、部屋の中まで入ってくるようになった。

それでもまだ、手を出すと本気の猫パンチを放ってくる。いつか心開いてウチの子になるのだろうか。それとも、化ける猫になるのだろうか。

それは、ちょび次第なのだ。

           つづく

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