マガジンのカバー画像

怪談 超ショート あっという間に読める恐怖の物語。

389
実体験、体験者からの伝聞、創作など、様々な怪奇と不思議な短編をまとめました。 #ショートショート #短編 #怪談 #不思議 #恐怖
運営しているクリエイター

2021年3月の記事一覧

「失踪の理由(わけ)」・・・隠そうとするものほど、明るみに出てしまうものである。

あっという間に読める、超ショート怪談。でも、その場面と背景にあるものをよ~く想像してみると、じわっと何かが迫ってくる。 『失踪の理由(わけ)』 by 夢乃玉堂 「買い物に出たまま帰らないんだ」 奥さんの捜索願を出しに行くという青木に付き添って 地元の警察署を訪ねた。 「失踪は、その原因を突き止めることが 何より肝心です。 原因が解決しないと、見つかってもすぐに又 いなくなってしまう事が多いのです。 ですから、夫として、 何か出て行く原因は思い当たりません

「墓場はどっちだ」・・・人生の悦びは時と共に移り変わるものである。

あっという間に読める、超ショートホラー。よ~くその言葉の背景にあるものを想像してみると、じわっと何かが迫ってくる。 人生の悦びは時と共に移り変わり、人はその時のベストを求め、ベストだと思う言葉をつづるものである・・・これが最良の選択であると思っていた男に与えられた言葉とは・・・。 『墓場はどっちだ』 by 夢乃玉堂 ベッドの中で、私の首に腕を絡めながら彼女は言った。 「あの時、『君に出会うまで俺の人生には何の意味も無かった』 って言ってくれたでしょう、そうでしょう。

「アルバム」・・・執念が生み出す事。

あっという間に読める超ショート怪談。でも、よ~くその向こうに隠れているものを想像すると・・・ 『アルバム』 by 夢乃玉堂 「俺たちもう別れただろう」 と、何度断っても、元カノの裕美香は、 「せっかくの修学旅行だし、良いじゃないの」 と言って二人で写真を撮ろうとする。 俺は常に友達数人と一緒に行動するようにして その要求をかわし続けた。 しばらくして諦めたのか 「もう良いわよ。意地悪。絶対二人っきりで写真撮ってやるから!」 と捨て台詞を残して裕美香は去っていっ

「三年坂の瓢箪」・・・言葉の意味を知ることは大切だが 言葉に囚われてはいけない。

京都にある有名な坂にまつわる不思議なお話。噂話は、人を悩ますことも、救うこともある。出来るなら人を救う噂だけが流れてくれれば良いのに。 「三年坂の瓢箪」  作・夢乃玉堂 平安京時代、都を京都に移してまもなくの大同三年(808年)。 清水寺に続く参道に一つの坂が作られました。 現在は、石畳で固められたしっかりとした坂ですが 当時は土を踏みならしただけの、実に足元の頼りない坂だったのです。 「また子供が足折った。今年4人目や」 「

「親友の夫・・・」・・・あっという間に読める超ショートホラー

久しぶりにかかって来た友人からの電話。その後、悲劇が・・・。あっという間に読める超ショートホラー。じっくりと言葉の向こう側を考えると・・・ 。 「親友の夫」 それは、あまりに急すぎた。 亜里沙の訃報が届いたのは、 彼女から、『夫のことで相談に乗って欲しい』 と連絡を受けた翌日だった。 待ち合わせ時間になっても約束のカフェに来ない亜里沙に 電話を掛けてみると、 長い呼び出し音の末に、彼女の夫が出た。 そして、亜里沙が交通事故で亡くなったことを聞かされた。 三日後の告

「貼りだされた心霊写真」・・・あっという間に読める、超ショートショート。

あっという間に読めるけど、よ~くその場面と背景にあるものを想像してみると、じわっと何かが迫ってくる。ある女性の問わず語りのつぶやきとは・・・。 『貼りだされた心霊写真』 作 夢乃玉堂 私の名前は、幽子。 幽霊の幽に子供で幽子、もちろん。幽霊よ。 ただし、その辺のよくある幽霊と一緒にしてもらっちゃ困るわ。 私は一味違うのよ。 え? 何が違うかって? 私って誰の眼にも見えるの。 霊感がある人はもちろん。 全然霊感なんか無い人も 今まで一度も、幽霊も妖怪もUFOさえも

「前世の言葉」・・・あっという間に読める超ショート怪談。

娘が語り出した不思議な言葉の正体は? その向こうに隠れているものを想像すると・・・ 『前世の言葉』 「ウエケケ。モケラシケ。ホナクラ」 突然4歳の娘が聞いたことも無い言葉を、天井に向かって話し出した。 「沙也加ちゃん。何を言ってるの?」 「ずっと昔にねぇ。サーヤちゃんは、いっぱい話してたのぉ。 ウエケケ。モケラシィ~。」 普段の会話さえたどたどしい娘が この奇妙な言葉を言う時だけは淀みなく話している。 「先輩に大学で言語学の助教授をやっている人がいるから ちょ

「うらめし同好会」・・・あっという間に読める、超ショート怪談。

深夜のお寺で行われた怪談会。最も恐怖を盛り上げたのは? 『うらめし同好会』 雨上がりの深夜。 お寺で行われた怪談会はとても好評だった。 語り部たちの話は皆、印象的で、 心を震わせ、背筋がぞっとする話ばかりだった。 だが最も観客を動揺させたのは、 最後に司会者が語った挨拶だった。 「皆さん。本日は足元のお悪い中、 怪談『うらめし同好会』にお越しいただき、ありがとうございます。 さて、最後にこの怪談会で お守りいただきたいルールをお知らせいたします。 たっぷりと怖がりお楽

あっという間に読める、超ショートショート「結婚式 Ver.∞・・・」

人は誰も求める物を徐々に大きくしていくもの。 求め続ける女の結婚にまつわるお話・・・ 『結婚式 Ver.∞(バージョン無限大)・・・』 「あなたったら、まるで出世魚ね」 親友の真由美に、嫌味ったらしく言われた。 「やっかんでるのかしら」 と夫に言ったら 「まあ。仕方ないんじゃないか。 俺だって、最初聞いた時は、ちょっと引いたよ」 と笑って答えた。 確かに仕方ないか、 一人目の夫と結婚式は、都内で質素に。 二人目の時は少し奮発して北海道。 三人目はグアム。 四