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【詩】「ひとり」

冬の朝日を待ちながら
横断歩道を渡る時
車のライトで影になる
ぼくは半透明になりたい
だけど
ひとり未満になれない
冷たい風に身震いしながら
ポケットに手を突っ込んで
少しだけ背を丸めながら
ふたり以上にもなれない
ぼくは
ひとりとしてしか
生きられないのだ
だから
ひとりとして
ひとりらしく
生きるのだ
輪郭が光り出すくらい
くっきりと
ひとりになるのだ
そうして初めて
ぼくは
冬を好きになれる気がする

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