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ヴィパッサナ瞑想の基本 その4 質疑応答

 以下はウ・ジャナカ・セヤドーと参加者との質疑応答です。サマタ瞑想とヴィパッサナ瞑想との違いを明快に答えていただいています。眠気に対する対処法も、参考になると思います。

サマタとヴィパッサナ

質問 瞑想にはサマタとヴィパッサナと2種類あるというお話ですが、その違いはなんでしょう。また、サマタの瞑想には限界がある、最高のフリーダムには到達できないとお聞きしたのですが、それははどういうことでしょうか。

セヤドー イエス。サマタ瞑想とヴィパッサナ瞑想とのあいだにはいくつかの違いがあります。サマタ瞑想の目的は集中力を高めること。それだけです。無常・苦・無我という存在の三つの特徴をさとるためではありません。サマタ瞑想において瞑想の対象に意識を集中すると、心の迷いというものがなくなっていきます。静かな、透明な境地に入って、楽しむことができます。それがサマタ瞑想の結果です。

 サマタ瞑想によっては、さとり、涅槃を得ることはできません。瞑想する者が、心と身体に関してアニッチャー・ドゥッカ・アナタ、つまり無常・苦・無我の性質をはっきりと認識したとき、はじめて彼はすべての煩悩をぬぐいさり、さとりと涅槃に達することができるのです。

 ヴィパッサナ瞑想の目的は、マインドフルネスの瞑想を駆使して心と身体のすべての汚れをとりのぞくことによって、涅槃を得ることです。ヴィパッサナ瞑想によってすべての心の不純物をとりのぞき、心と身体の無常・苦・無我の性質をはっきりと把握し、涅槃に達することができます。

 サマタ瞑想の対象になるのはただひとつです。ヴィパッサナ瞑想では、心と身体のさまざまに異なる状況が瞑想の対象となります。

 サマタ瞑想においては、瞑想の対象に集中しているあいだにだけ、平安な、透明で、静けさを手に入れることができます。瞑想を止めると、集中力がとぎれ、心の中に不純なものが入ってきます。平安のしあわせを楽しむことはできません。

 一方、ヴィパッサナ瞑想の場合は、瞑想中に得られた洞察というものは、瞑想から出たあとでも思い出すことができます。サマタとヴィパッサナの違いを簡単に説明してみました。

眠気に対処する

質問 目を閉じていると眠くなってしまいます。睡魔を退ける方法はありますか。

セヤドー 4つのマインドフルネスというものがあります。一番目は身体的現象に対するマインドフルネス。あなたの身体にどのようなことが起きようとも、あるがままに、意識していなければなりません。そうすれば、その身体的現象のほんとうの意味を理解することができます。二番目は感覚のマインドフルネスです。どのような感覚が生じても、それに気づいていることによって、その本質を見極めることができます。三番目は意識のマインドフルネス。どのような意識が生まれても、それをあるがままに気づいていることによって、その本質を見極めることができます。四番目は法(意識の対象)のマインドフルネスです。法は心身のあらゆる側面をふくみます。

 心の側面のひとつに、瞑想をするうえでの5種類の障害があります。こういう障害が起こってきたときには、それぞれをありのままに意識することが必要です。

 障害の最初のものは本能的な欲望です。本能的な欲望が生まれた場合、観察しなければなりません。そうすれば、その本質を見極めることができます。二番目の障害は怒り、憎しみ、腹立ちです。怒りの心が起こった場合、それに対してマインドフルにならなければなりません。そうすれば怒りの本質にあるものを見極めることができます。三番目は怠惰、眠気というものです。教えによれば、この眠気が生じた場合、それが消えるまで眠気をノートする必要があります。

 しっかりと集中して、力強く、正確にノートしていれば、眠気は消えてしまいます。しっかりと力強く、少し急いでノートすることです。「ね・む・い、ね・む・い」というふうに、ゆっくりと力無くノートしていたら眠気に負けて、眠ってしまいます。

 このように眠気というものはしっかりと力強くノートして克服すべき、5種類の障害のひとつです。

 四番目は落ちつかない状態です。心があちこちと揺れていろんな考えが生まれてくるようなときは、「考えている、考えている」「落ちつかない、落ちつかない」というふうに観察してください。その状態が消えてなくなるまで。さまよえる心が消えてしまえば、思考というものが永遠ではない、無常であるということがさとることができます。

 五番目の障害は仏教の三つの宝(仏・法・僧)に対する疑いです。ブッダ、ブッダの教え、修行者の共同体に対する疑いが生じた場合、それが消えてしまうまでしっかりと、力強く心の中にノートしなければなりません。

 このような障害はダルマ(意識の対象)のなかにふくまれています。意識の対象に関するマインドフルネスとして。ですから眠くなった場合にも心配しないでください。ブッダは眠気に対してマインドフルになることによって眠気に打ち勝ち、その本質を見極める方法を教えてくださっています。

 目を半分だけ閉じる、半眼という方法もありますが、もし目を開いていますといろんなものが見えてきます。それでは瞑想の対象に集中できません。

 ブッダの時代に、最も尊敬すべきお弟子さんのひとりであるモッガラーナという方が、ヴィパッサナ瞑想を修しているときに眠気におそわれたそうです。そのときブッダはモッガラーナのところへ行き、眠気を払う7つの方法を教えてくださいました。

 もしも眠くてどうしようもない、しっかりと意識しても眠気に打ち勝てないというときはミャンマーの私の僧院に来てください。その7つの方法をお教えします。

 


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