イベンターは興行主として出演バンド数を3,4あたりまで減らすべき

イベントで対バン数の多いものが増えてきていますが、個人的には疑問です。
対バン数が多いとメリットデメリットが当然ある訳なのですが、望ましくないのではないかなと思っています。

まずメリットですが1バンドあたりの出費が減る、というものが挙げられると思います。

デメリットですが、以下の物が挙げられます。
・対バンが客席にいるので客がいるように見える
・最初から最後まで居るお客さんが稀で客層の新規開拓になりにくい
・長時間であるためお客さん側も体力が下がり、バンドの評価もそれにつられて下がる
・リハの時間が取れないためバンド側もベターな状態で演奏が出来ない
・全体の動員で見れば入っているように誤解しやすい
・減ったノルマは心理的にチケットを売らない免罪符として機能しやすい

論点としては以下の物にまとめられると思います
・バンド側がベターな状況ではない
・お客さん側もベターな状況ではない
・動員に対する錯覚が産まれる

リスクとリターンは等価ですから、金銭リスクを下げようとした結果、必ず何か数値化できない部分でしわ寄せがきています。

この点は以前も書きました。


興行として考えた場合、会場費は本来主催側が背負うべきリスクです。その背負うべきリスク、金額をバンド数で割り算して金銭リスクを0にしたのではあるべき姿とは言えません。

裏方は舞台上に登場しないだけで演出として確かに存在するものです。事務作業も当然裏方に分類されますし、金銭リスクをゼロにするリターンを得た結果、舞台装置としての事務方の演出が犠牲になっていると思います。

それが出演バンド数による誤魔化しであったり、最初から最後まで見てもらえるお客さんの減少を招いています。

お客さん側の心理としては上演中の30分よりも転換中の10分の方が長く感じます。各バンドのリハが無い分、転換直後に軽いリハをやるようなイベントであればこの10分がさらに伸びます。

数多く一日に出すようなイベントの場合、そのライブハウスを去るお客さんは、「もういいや」と思って出て行く訳です。つまり、「疲れた」「飽きた」といったマイナスの心理からライブハウスを後にします。

「面白そうだから最後まで」と言った心理の人は最初から最後まで居る人ぐらいですが、これは視聴中にどうしてもたまる疲労が要因でバンド数が増えるほど必然的に減ります。

ハリウッド映画でさえ、3時間、6時間とみるのは苦痛である中、それに勝てる要素の少ないアマチュアバンドに3時間、6時間とお客さん側が時間を使わなければならない理由はどこにあるんでしょうか?

ほぼありませんよね。

また、人間損を避けるように出来ています。一度マイナスの動機でライブを途中で抜けた人の場合、「疲れる」という記憶が残されるためライブよりも他に使おうとする判断材料を一つ持ってしまいます。これが積み重なると「最初からライブに行かない」となってしまいお客さんを逃がしてしまいます。

バンドさんがその実力の無さゆえにお客さんを逃がしてしまうのはバンドさんの責任ですから仕方ないとは思います。しかし、出演バンド数やタイムテーブルはイベンター側にしか触れない演出です。それを考えれば、イベンターもまた、草の根のバンドの界隈を右肩下がりにしていっている要因の一つではないかなと考えています。

777で3バンドまでしか出さない、としているのは「もうちょっと見たい」で帰ってもらえるようにする演出としてでもあります。また、イベンター側が自分の金銭リスクを下げるためにもう1バンド誰でもいいから探すようではイベント内容は絶対に良くなりません。1バンド入らないのであればそこはイベンター側がリスクとしてマイナスを背負うべきです。それが責任です。お金を預かるという事です。

作品というものはそれ自体が宣伝材料として大きな力を持つものです。バンド側からすれば自分たちの演奏が作品と感じる部分ですが、お客さん側からすれば対バンを含めた「一回のライブ」こそが作品です。よってそのライブのなかで、1バンドでも面白くないバンドが居た場合、「ライブはつまらない物」「他に時間を割こう」とする心理が働いてしまいます。イベントはイベンター側、興行主にしか作れない作品で、バンド単位の作品よりもそちらの方がお客さんの心理としては大きなウェイトを占める事を考えれば、適当に1バンド埋めればいいというような発想にもならないはずですし、多すぎるバンド数は演出として望ましくないという結論にも至るはずです。

金銭リスクを0にしたいなどという物は単に興行主側の勝手な都合に過ぎません。それをバンドさん側に押し付けた結果、ライブの品質が下がり、低迷を招く要因となっているのではないですか、という疑問が自分の中にはあります。

お金を取る以上は商売です。商売である以上、作品は商品です。もう少し金銭のやり取り、責任という部分にシビアにならないと不味いのではないかという妙な危機感が自分の中にはあります。そしていろんな方と喋った結果、多くの方が言葉にはできない物の妙な不安を覚えているという実感が有ります。

現状は残念ながら多数のバンドさんを出すイベントが主流で、しばらくこれは変わりようがない部分ではあると思います。だからこそ777の取り組みは大勢の方に見てもらいたいです。どう変わるのか、どういった変化が出るのか。予算の都合で大きな変化にはならないとは思いますが、それでも小さな変化の要素は出るはずです。

来年も「あるべき興行主とはこうではないか」という思いを元に取り組みを行うつもりですので、拡散やご支援頂けましたら幸いです。

次回777は2020/7/19、西九条ブランニューです。ご来場よろしくお願いします。


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