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再検証 美少女文庫のクオリティが回復している件について


お久しぶりです。ジーエックスと申します。
半年近く前に記事を書いた結果、色々と反響を頂きました。

美少女文庫のクオリティが低下している件について
 
今回は以前に指摘した問題点を再検証したいと思います。
出版というのは年単位でスケジュールを組むものでそう簡単に変えられないとは思いますが、それでもこのタイミングでやる意味はあると思いました。

再検証なので前回の検証を読まないとほぼ理解できないので未読の方は先にそちらをお読みください。

1.帯がなくなった問題

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現在の美少女文庫に帯はついていません。

帯がなくなった直後の時期に比べれば文字の配置に気を使ったり、アオリ文章を短めにしたりといくらかマシになったかなという印象はありますが、やはり絵の良さを損なっていると思います。

コストの問題もあるとは思いますが、帯を復活させて欲しいです。

それが無理なら短いタイトルにしてアオリ文章、美少女文庫マークを撤廃して欲しいところです。

2.発売前の告知が下手問題

美少女文庫の発売前情報は非常に限定的です。公式サイトの新刊ページが更新されるのは相変わらず遅いです。

12月17日に発売される作品の試し読みが12月15日時点で読めません。

11月は月初にAmazonkindleで「秋の読書応援号」という無料マガジンを配布して各作品の1章を公開していましたが、それも目次が無いので自分にとってはあまり役に立たない内容でした。

美少女文庫以外にも世に出る作品は沢山あります。私自身の財力と時間も無限ではないので購入できる作品は絞らなければなりません。

ゲーム性のあるエロゲは時間を使うので月に何本も買えませんし、単刊完結の小説は一気に読み切る分量の時間を用意します。

発売予定日リストを見てどれがいいか、同じような作品がダブってないか、予算と時間をどう分配するか、購入前の検討段階も買い物の楽しみの一部だと思うのですが、美少女文庫は情報が出ない以上購入候補として挙げることすらできません。

他の問題の改善は無理に決まっているのでこの点だけでも改善して欲しかったのですが非常に残念です。

個人的にはディヴァースノベルの週ごとに試し読みを更新していくという方法は良かったです。疑似的に週刊連載作品の単行本化を待っている気分になって楽しかったです。

一部の作家さんは発売前や発売日当日にブログで自著の内容を解説するので、それを確認して購入または予約ということも可能です。

しかしそれ以外の作品については発売後に感想を確認してから購入という形になります。感想が少ないと情報不足で見送ることになります。

買うとすれば余程属性が好みだったか、または他に買うものがなくて予算が余ったので気まぐれで博打買いを試みた場合になります。

読者視点で言わせてもらうと770円の商品でも買って失敗したと思いたくありません。その為にも早い段階で内容を説明してほしいのです。

単に手が回らなくてサイトの更新が遅れているのかと思いきや、公式のTwitterは早朝から深夜にかけて宣伝ツイートを行っています。

完全に力の入れどころを間違えています。作品名や表紙だけでなく中身を宣伝を宣伝すべきです。他にいくらでも頭の使い方があるだろうと。

10年くらい前にやってた「続きはWebで!」のTVコマーシャルのようなものです。

名前だけをアピールして中身を全く説明しないのでイライラするだけの不快な広告そのものです。

正確には「続きはWebで!」とCMを流しておきながらWebを開いてもほとんど情報がないという、人をおちょくっているのかと言いたくなる宣伝になっています。
本人はリツイートやいいねされたことで満足しているのかもしれませんが同じ人しかやっていないことに気づいているのでしょうか。

そして、多すぎる告知ツイートが検索妨害になっています。感想を探す際には公式アカを一旦ミュートにする必要があって手間です。


それと、ちょっと脱線しますが作家さん自身が行う宣伝について語らせて頂きたいと思います。

私としては一部の作家さんが自著の内容を早い段階で解説(告知)していただけるのはありがたいのですが、それを他の作者さんにもやってほしいと言っているわけではありません。出版社がちゃんと宣伝しろと言いたいのです。

というのも本来は宣伝というのは出版社が行うもののはずです。作家が自著を紹介するというのは言うなればサービス残業(タダ働き)のようなものです。

作者が自作の紹介や宣伝を行うというのは、普通の会社に例えるなら仕事量が多すぎて処理能力が追い付かないのに人手を増やさず、昼休み返上やサービス残業でカバーしているという状況です。決して健全で正常な状態とは言えません。

「自著が売れるためには作者が宣伝するのは当然の話だ」みたいな意見も見かけますが、それは正しくないと思います。

ある漫画家が販促活動として1600枚のサイン色紙を無償(色紙とインクの費用は自己負担)で書くように担当編集者から要求された事件がかつて話題になりました。

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また、ある漫画家が打ち切りを回避するために販促漫画を作成したことについて「編集部が払う金を増やすべき」という意見が集まった例もあります。

 ※詳しくはこちら https://togetter.com/li/1060257 

複雑な問題ですがこのようにクリエイターに負担をかける可能性がある以上「作者も宣伝して当然」と安易に言ってはいけないと私は思います。

私としても高品質で面白い作品を求めています。作家の皆様にも宣伝や告知にリソースを割いて疲弊することなく、執筆に集中して欲しいと思っています。

そんなわけで、私が指摘しているのは作者の宣伝の怠慢ではなくて編集部の宣伝の怠慢です。この点だけは誤解して欲しくないところです。


3.属性偏り過ぎ問題

こちらは2020年に発売した(2021年発売予定の)作品の一覧となります。

殺し屋志願の奴隷エルフさん
転生したら破滅フラグしかない悪役貴族だった件~エルフ獣人吸血鬼メイドにしました~
ブサ勇者の帰還~開き直った俺は、女王も女騎士も義も犯すことに決めた~

吸血鬼の殲滅刃(ルインブレード)
アネハメ 俺の初恋が実なわけがない
メスダチ ボーイッシュ幼なじみVS.ヤンデレ委員長

嫁入りメイド・栗栖川くるみは娶られたい
破滅フラグしかない悪役令嬢をドМ奴隷に堕として幸せにします
吸血姫譚アストリッド

豊穣の隷属エルフ ~コロシアムの贄騎士~
援助交配 夢の亜人少女ハーレム
ですが異世界で結婚しました。 かけおちスローライフ

悪魔おちゃんの愛なるもの
いもうとはGALかわいい
奴隷エルフの若奥様

美少女後輩のペット、はじめました。
とある錬金術師のエルフ孕ませ計画
僕には調教志願なエルフ先輩がいます

双子エルフにめちゃくちゃ愛されてる!
私、メイドなのにお嬢様より好きなんですか!?
引き籠もり魔王が奴隷エルフを買ったら

鬼教師が教育メイドになりました
姫騎士エルフと隠者ダークエルフ 隷属の淫紋
国王になったがは俺を嫌うし、国庫は大赤字で大変です

サキュバス! 芽亜はピュアでえっちで兄専用
催眠学習 姫宮月乃と姫宮涼香、母娘征服
お兄ちゃん、のおっぱいに甘えていいよ?

アサシンメイドとスパイ卿
恋堕ちジャンヌ・ダルク クーデレ聖女と同棲生活
搾精病棟 ~性格最悪のナースしかいない病院で射精管理生活~

優等生 綾香のウラオモテ アヤカのナカにぜんぶちょーだい
片恋革命 エースの彼女であるチアリーダーが俺の片思いも応援した結果
絶対に負けない生徒会長・鏑菱優理恵のドMな恋愛事情

催眠性指導 宮島桜と宮島椿の場合
クールでエロい生徒会長 ツンドラ先輩の恋人になりました。
僕には純白王道なメイドがいます

奴隷志願なエルフさん ~お買い上げありがとうございます、ご主人様!~
プリンセスハーレム帝国秘史 ―天才賢姫と軍神剣姫と諜報犬姫とぐうたら皇子―
ドSな生徒会長が土下座で種付け懇願


私の印象として似たような作品が並んだ年でした。まるで団子です。

特に2021年1月の『転生したら破滅フラグしかない悪役貴族だった件~エルフ、獣人、吸血鬼をメイドにしました~』の属性被りは酷過ぎます。強調した単語の方が多いです。もはや属性(単語)を入力した乱数ジェネレータで作品を設計したのではと思うくらいで、編集がストップをかけろと言いたくなります。

ちなみに強調した単語の属性被り以外にも「主人公がオークっぽい」「タイトルにメイドと入っていない作品なのにメイド服でのプレイがある」など属性や展開が被っている作品があります。読んでいて「前にもあったな」と思う頻度は非常に高いです。

編集部が「似たような作品が他で進行しているので…」「ほぼ同じHシーンがあるので…」と作家に伝えない理由がわかりません。
真面目に企画を考えて欲しいです。
(仮に意図してダブらせているならもっと酷いですが)

前回の記事について「同じのばかりと言われてもそれを求めている常連客(固定層)が居る。下手な新メニューに挑戦されるよりは定番のメニューの方がいい」という意見も見かけました。

しかし定番とネタ被りは別物です。私は同じような作品を出すこと自体を問題視している訳ではありません。問題なのは同じ属性の作品が発売月が同じ、及び連続していることです。

もっと発売の間隔を開ければ既視感も薄れてフラットな感性で作品を楽しめますが、発売時期が近すぎるとどうしても「またこれか…」と思ってしまいます。
同じ月に妹2冊やファンタジー世界観の作品3冊、三カ月連続でエルフは避けてバランスを考えろと言いたいのです。

また、とある作品の作者は「美少女文庫で×月に発売する予定で自分も間に合うように原稿を提出したが実際には延期されて△月発売になった」と語っていました。

仮に延期されずに予定通りに発売されたとなるとかなり似た作品が同じ月に発売されていたことになります。余計に属性被りが酷くなっていたところでした。

絵師の都合など他にも延期の理由(可能性)は浮かびますが、似たような作品の発売時期が被ってしまったから片方を延期したという推測も可能です。
(比較すると延期した作品の作者の方が美少女文庫で出版している作品の数が少ないという作家間の力関係も察することが出来ます)

属性がここまで被っている点といい、発売延期といい出版社のスケジュール管理能力が低いのは明らかです。そこを改善しろと指摘しているのです。


4. パロディ・コピペ問題

前回の記事で上げた問題点を要約すると、

1.人気の作品やキャラを取って付けた程度にパロった(オマージュした)作品が薄味すぎて魅力に乏しくつまらない。

2.同一の作者が既存の一般レーベルの作品にHシーンを追加したようなセルフリメイク作品が焼き直しの域を出ておらずつまらない。

となります。

まず1については7月以降該当する作品が一作品のみでまだ読んでないので検証は見送りとなります。

そして2について。上のラインナップの作者を調べればわかると思いますが、過去に別レーベルで出版されている作品を同じ作者が焼き直したセルフリメイク、セルフオマージュ作品は増加傾向にあります。

これの問題点についてもっと掘り下げて説明します。

そもそも全年齢ラノベをベースにして同じ作者、同じ絵師で18歳以上対象作品を出すこと自体がどうなのかという話です。

中には「あの作品の18禁版が出るなんて」と喜ぶ人もいるかもしれませんが、正直言って私のように不快に思う人の方が多いのではないでしょうか。

あるアニメーターが手掛けた作品(オリジナルではなく漫画が原作)のキャラの18歳以上対象レベルのHなイラストをTwitterに掲載したら炎上し、削除して謝罪したという事件や公式がエロ同人を出版して炎上した事件もありましたし。

所詮は焼き直し。最初から原典を買えばいい話ですし、独自の魅力があるようには私には思えません。

そして最大の問題点。原典と比較するとわかるのですが、キャラの身体的特徴を表した文章や台詞がかなり似ていてます。

中には全く同じ台詞まであるのです。

早い話、セルフオマージュではなくコピペの域に片足を突っ込んでいます。

そんな作品まで存在するのはいくらなんでも商業作品としてどうなのかという話です。

イラストが銀髪で紅眼ならば文章に金髪、蒼目とは書けません。キャラの絵がそっくりさんなのでそれを文章化すれば(表現の差はあるにせよ)大半が一致するのは当然のことです。

更に外見だけでなく性格や口調も似ているので言動も似ます。ベースの作品を知った状態で読むと全然没入感が得られません。

「これ前にも読んだぞ…」という既視感、既読感が何度も浮かび、前述した属性被りも相まって新しく買った本を読んでいる気になりませんでした。

「空腹感は最高のスパイス」という言葉がありますが私にとって「既視感は最低のスパイス」です。

原典を知らない人なら既視感はないでしょうが、そもそも原典を知らない人がセルフリメイク作品を買う気になるか?という話ですし、最初からリメイクではなくオリジナルの作品で書いてもらった方が私としては嬉しいです。

やはり販売戦略として問題があると思います。


上記の問題点とは別に、パロディ作品について指摘したい問題点があります。

まず一つ、元ネタがわからない人にはついていけない作品があることです。

『異世界ネコ歩き BS(美少女)プレミアムにて放浪中』……「主人公が単車(サイドカー付き)で旅をして色々な国を回る」
『孔明のエルフ嫁 三国志赤壁異聞』……「三国志の世界で当然のように登場するエルフ」

独特な展開や世界観の説明がされず、人物の動向が掘り下げがないままに話が進んで、そのまま回収せずに終わってしまう為に疑問が残る作品が多いのです。特に後者は「西暦」と表記しているので「西暦でエルフとはどういう伏線なんだ?」と無駄に考察してしまいました。

他者のレビューを見るにパロディ元を知っている人なら「そういう作品のパロディ」と思って違和感は薄いようですが、知らない人にとっては理解できない部分が出てきてしまうようで、私と同様に困惑している感想も見かけました。

単刊完結でHシーンに尺を割く官能小説でストーリーを深く掘り下げるのは難しい、ましてや世界観をきっちり描いたりや伏線を回収するなんて困難という事情も伺えますが、もう少し読者がついていけるように配慮してほしいところです。


逆になんでパロディっぽいタイトルにしたの?という作品もあります。

『とある錬金術師のエルフ孕ませ計画』は作品名やタイトルロゴなど、とあるラノベのパロディを思わせる部分がありました。

それで私はヒロインがLevel.1から5にかけて成長していく(それを立ち絵差分で表す)とか、開発の過程で戦闘能力を得てバトル展開とか期待したのですが、そんな要素や展開はなくて肩透かしでした。
(それっぽいのは目次がⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳと表記される程度)

パロディ元を知らない人なら特に何も感じないはずですが、知っている私はむしろ上げて落とされた感が浮かびました。
(私も漫画とアニメを流し見した程度で原典の小説は読んでいないので、気づかなかっただけでパロディ要素が盛り込まれていた可能性もありますが)

普通にエルフ改造日記とかそのままのタイトルでよかったのでは、2020年の作品では上位に入る独自性を持つ作品なのになんでこんなパロったタイトルにしたのか疑問でした。
とある××の△△△△になってなくて語呂も合わないですし。

他にも『召喚ジャンヌ戦記 聖女、女傭兵、魔女、女王』はジャンヌである必要性が薄く、ジャンヌをそのままエステルやダルフィアのような聖女(女騎士)っぽい名前にすればそのまま成立する内容です。
(過去から現代にジャンヌを召喚、ではなく地球から異世界にジャンヌを召喚した形)
そもそもジャンヌは複数ヒロインの一人。一応メイン枠ですが一人だけ題名にする必要性はゼロです。単に釣るためにジャンヌと召喚という語を引用して餌にしたという推測しか浮かびません。

『恋堕ちジャンヌ・ダルク クーデレ聖女と同棲生活』も事情を抱えたヒロインが主人公の元にやってくるというよくある押しかけ女房もので(美少女文庫の作品ならMy姫が近い)はっきり言って歴史の人物名や名称をそのまま使っているだけとしか思えない内容でした。
「現代文明の利器の使い方を主人公に教わる」「危険がせまってシリアス展開」も世間知らずなお嬢様で代用できます。ジャンヌじゃなくてもいいじゃんと。

ハッキリ言って名称だけとってつけたように引用されても逆効果としか思えません。そもそも歴史上の人物をアイコン化したキャラとして扱うのが倫理的にどうかという話ですし、そんな作品が氾濫しているせいでジャンヌと聞いて色んなキャラが浮かんでイメージしづらいというのもありますし。

ちょっと論点が散逸してしまいましたがまとめると、

1.セルフオマージュをやるなら既視感を与えないように配慮して欲しい、コピペスレスレの焼き直しはやめて欲しい。
2.パロディ作品をやるなら知らない人にも楽しめるように配慮して欲しい。
3.ガワだけパロディっぽくして内容が元ネタとかすりもしない作品はやめてほしい。

の3点です。


まとめ


以上、問題点の再検証となりました。

クオリティが回復しているとは言い難いので、今後に期待したいと思います。

冒頭でも触れましたが前回の記事には色々と反響がありました。

「わかる」
「自分もそう思っていた」

「この記事も書いた奴もキモい」
「単にヘイト消費をしたいだけ。娯楽で叩いている」
「ただのクレーマー」

どちらかというと否定的な意見の方が多かったと思いますが、決して記事を書いたことを後悔してはいません。

私は物言うユーザーであることを意識しています。

面白いと思った作品には高評価をつけます。
(あまりTwitterでレビューしてないと思うかもしれませんが、このジーエックスのアカウントは一部です。偏らないようにバラけさせています)

つまらないと思った作品はボロクソに貶します。
ただ「ここはこうすべきだった」「ここが理解できないからもっと説明が欲しかった」「この展開は説得力がないし納得できないからもっと前に仕込みが必要だった」と建設的な意見を送っているつもりです。

作品には呪詛をぶつけても作者には「次こそは面白い作品を」とエールを送っているつもりです。

何故そうするのか、前回の記事で説明したコミックボンボンの件もそうですが理由は他にもあります。

数年前にあるオンラインゲームがサービス終了になりました。

サービス終了の半年前からサイトの更新が遅くなり、キャンペーンも行われなくなってゾンビ状態であり「もう終わるな」と私だけでなく、大半のユーザーが察している状態でした。

そしてサービス終了のお知らせが出た途端にそこそこ話題となりました。 

「あのイベントは酷かった」
「あのキャラがバランスを崩した」
「もっとああしていれば面白くなりそうだったのに」
という「だから終わったんだ」という趣旨のコメントが出てきました。

コメントをまとめたブログを見て私は「その意見を送っていればサービス終了は先延ばしに出来たんじゃないのか」と思いました。

好評を元に長所を伸ばせたのでは、不評を元に短所を改善できたのでは、まだ延命の道はあったのではと。
中にはサービスを終了したこと自体が話題にならない、本当に人が離れてしまっていた作品もあるので、そちらと比べればまだ可能性はあったのではと思いました。

あくまでも可能性の一つです。ユーザーが何を言ったところで運営には意見を収集して分析して反映させる能力が既になかったのかもしれません。

また、意見を送ってもそれがいい結果になるとは限りません。かえって迷走する可能性もあります。

有名な漫画家が「短所を直しても良い作品になるとは限らない」と語っていましたし「届いた意見はすべて目を通しますが、それでも私は自分を信じて制作します」と宣言したクリエイターも居ました。

それでも手掛かりがあるのとないのではあったほうがクリエイターにとってはいいのでは、そう思ってレビュアーとしての活動を続けています。

好評を送るのはいいけど不評は送らない方が送るべきではない、みたいな意見も見かけますが正直意味が分かりません。

好評はOKだけど不評はNGなんて都合が良すぎます。

評価されるのが嫌なら最初から「この作品の感想は一切発信しないでください」と注意書きを載せておけという話です。

そもそも日本市場は低評価や不評を重く受け止めすぎなんです。感想を受け取った後に自分の基準に沿って取捨選択して、いらない意見は見なかったことにすればいいのではないでしょうか。

洋画みたいに「作品は叩かれてなんぼ、批評されてなんぼのもん」くらいの認識をクリエイターに持って欲しいです。

シルベスタ・スタローンは毎度のごとく最低映画賞にノミネートされますが彼の映画が本当にダメだと思っている人と面白いと思っている人、どっちが多いかという話です。名優として彼の名前を挙げる人も多いでしょう。


私のような批判的な意見を発信する消費者を嫌う人も多いと思います。嫌なら何も言わずに買うのをやめればいい思う人もいるかもしれません。

しかし作品を批判することにも意味はあると思うのです。

11月に「批判はよくない。ユーザーは作品に敬意を持つべき」というツイートが少し話題になりましたが、その意見に対する引用ツイートがそのまま私の考えとなります

批判がくるだけ有難いと思って欲しい
「日本市場は顧客が何も言わないから自社の製品がウケているのか分かりづらい。売れている商品が急に売れなくなっても原因が特定しにくい」という海外からの指摘もあるし
批判、批評、罵倒、感想、苦情に明確な線引きはないしそんな言葉遊びに意味もないと思う


言わなきゃ伝わりません。クリエイターが消費者が好む要素が何かを読み取って作品に反映させることが出来るエスパーな訳がありません。

クリエイターが自分のやりたいように作品を作って、その作品が消費者にストライクするなんて幸運な巡り合いがそうそう起きるわけがありません。
消費者は既に成っている果実を探すだけでなく種を撒く必要もあるのです。

消費者として「こういうのがいい」「ここはこうして欲しかった」というのは発信すべきだと思うのです。


また私のような批判者を嫌う人は多いでしょうが、批判者にとっても嫌う人は存在します。

それは先ほど挙げたような普段は何も言わない癖に事が終わってからワラワラと出てきて訳知り顔であーだこーだコメントする連中です。

私見ですが終わりが確定した後ほどに否定的な意見が出やすくなるように思えます。

「終わった作品=失敗作」だから自分が否定的な意見を言ってもそれは間違いではない、という心理的な保証が出来るからかもしれません。

動画サイトで「打ち切りになった漫画やサービス終了になったゲームといった終わった作品の内容を紹介して、矛盾点やダメな点を指摘してある種の晒上げにする解説動画」というのが結構ありますが私はあの手の動画が非常に嫌いです。

「そりゃあ終わった作品ならいくらでも蹴り飛ばせるよなぁ。もう生き返らないんだから」と思うからです。

対して連載中、続刊中の作品に対して批判的なレビューをする動画は少ないです。批判した作品が急にハネて大ヒットすればレビュアーとして赤っ恥で「コイツのレビュー的外れだな」と視聴者に思われるのでそれも当然です。

終わった作品を叩くのは反撃できない状態になったのを確認してから殴るような卑怯なやり方です。ダメな作品だと思ったのなら連載している時に指摘しろっていう話です。レビュアーとしてのプライドを持って自分のレビューが否定されるリスクを背負えという話です。

ダメな作品が世に沢山あるように的外れなレビューも沢山あります。私のこの記事も的外れだと笑う人が多いと思いますがそれでいいのです。
「この勘違いレビュアーが。こっちはちゃんとしたレビューを発信してやる」と思ってくれていいのです。


書いている途中で思い出しましたが今年の8月にとあるラノベ作家が無期限休止を発表したことがありました。

無期限休止を発表した途端に「あの作品はこうだった」「あの作品はああだった」と口々にコメントして、

その話題に反応してその作家が「今更バズっても」と呟きました。

本当にその通りだと思います。好評にせよ不評にせよ、作品が生きているうちに送るべきなのです。

繰り返しますが終わった後にあーだこーだ言っても遅いのです。だから今言っているのです。


最後に、あくまでも個人の感想です。「あなたの感想ですよね」と言われたら「その通りです。よかったらあなたの感想も伺いたい」と返します。

前回の記事も含めて私に他者を誹謗中傷する意図は一切ありません。


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