ATP500テニス ドバイ大会の準決勝 ジョコビッチ 対 メドベージェフ
準決勝のもう一つの戦いは、ノバク・ジョコビッチとダニエル・メドベージェフとなった。このドバイ大会では、事実上の決勝戦と言っていいだろう。面白い試合が見られるのではないだろうか。
ジョコビッチは、35歳、188cm、スロベニア出身。現在のATPランクはもちろん1位で、378週のATPトップを迎えて世界記録を作っている。この大会でも第1シードである。一方のメドベージェフは、ロシア出身で、27歳、198cmで、現在のATPランクは7位。この大会では、第3シード。彼は、昨年全米オープンでコルダのスライスショットに負けて以来自信を失ったのか、調子が狂っていた。この1月からは少し復活の兆しが見られているらしいので、その点で興味があった。
二人の対戦成績はジョコビッチの9ー4で、最近ではジョコビッチの方が勝っている。ただ、メドベージェフは、若い分ショットの威力があり、ディフェンスもジョコビッチに負けずに優れているので、この試合はどうなるかわからないだろう。ナダルとアルカラスが負傷中の現在では、この二人が図抜けて強い。
第1セットは、ジョコビッチのサーブではじまる。ジョコビッチは1ゲーム目からドロップショットやボレーを多用して、長い打ち合いを避けているような気がした。最後はジョコビッチのサーブ&ボレーで第1ゲームをキープした。
第2、3、4ゲームはどちらもサーブが良くてキープが続いた。第5ゲームでは、ジョコビッチのサーブで、簡単に30−0となったが、ジョコビッチのミスが続き、ジュースとなる。サーブでADをとるが、ベースラインオーバーとなり再びジュース。ジョコビッチにボレーミスが出て、ADを取られる。
ジョコビッチはここまでスライスを多用してきたが、コルダのようにバウンドを低く沈めて、メドベージェフの強打を防ぐことができない。ジョコビッチのスライスはどちらかというとサイドに回転していて相手の体に食い込むように打っているのかもしれない。メドベージェフは、このスライスは楽にこなしていた。最後は、ジョコビッチのバックハンドショットがネットして、メドベージェフがこのゲームをブレークし、ゲームカウント3−2とした。
第6ゲームはメドベージェフのサーブだったが、彼のサーブがよく、キープとなった。第7ゲームはジョコビッチのサーブだったが、ミスが続き再びメドベージェフにブレークされる。第8ゲームはメドベージェフのサーブで、ゲームカウントは5−2。メドベージェフのミスも多く、ジョコビッチもブレークしようと本気モード。ジョコビッチの気持ちが通じたのか、ブレークとなる。メドベージェフの5−3となった。第9ゲームはジョコビッチのサーブで、ストレートでキープとなった。
第10ゲームは、メドベージェフで、ここでジョコビッチに大きなミスが出た。ジョコビッチの打ったドロップショットをメドベージェフがロブで拾い、ジョコビッチがスマッシュでネットした。結局、メドベージェフがキープして、6−4で第1セットを取った。二人は、打ち合いではミスが少なく延々と続くが、スーパーショットの連続で、普通の打ち合いとは違いとても面白い。今日は少し、ジョコビッチのボールの威力が負けているような気がする。
第2セットは、第1セットを失ったジョコビッチが本気モードになって攻めた。第1ゲームは、ジョコビッチのサーブで始まり40−15までいくが、メドベージェフの守りがよく、ジュースとなる。ジョコビッチはメドベージェフにフォアに回り込んでストレートを打ち込まれ、0ーADとなる。最後のポイントは、ジョコビッチの打ったサイドライン沿いのボールがアウトして、ブレークされる。
この試合全体では、ジョコビッチのサイドライン沿いを狙ったショットがアウトになる場合が多く、正確無比のジョコビッチらしくなかった。多分、メドベージェフの伸びてくるボールに押されているのだろう。メドベージェフは鬼気迫るものがあった。第2、3ゲームは、それぞれストレートでキープとなった。第4ゲームは、メドベージェフのサーブで、ジョコビッチはジュースまで迫ったが、メドベージェフの強いサーブに阻まれた。
第5ゲームでは、ジョコビッチのサーブで、ジュースまで持ち込まれるが、何とかキープできた。6、7ゲームもそれぞれキープが続き、4−3で迎えた第8ゲームはメドベージェフのサーブとなる。40−40になったが、やはりここもメドベージェフのサーブが効いてキープとなった。第9ゲームは、ジョコビッチがキープして、ゲーム数ではメドベージェフの5−4で第10ゲームになった。このゲームも40−40までいったが、結局、メドベージェフがキープして。第2セットも6−4でメドベージェフが勝った。6−4、6−4のストレートでメドベージェフがジョコビッチを破ったが、スコア以上にかなりの接戦でスーパーショットが連続して面白かった。ジョコビッチのサイドラインを狙ったショットが決まっていれば、結果はわからなくなっていただろう。
ジョコビッチは連勝をメドベージェフにまたも阻まれた感じだ。どちらの選手も調子は良さそうに見えた。ジョコビッチは、相変わらず強かったが珍しくミスが多かった。比較的早い時期にブレークされたため、攻撃的なショットを打たなくてはならず、ミスが多くなったのだろう。ドロップショットの多用も、体力的なことを考えれば、それほど悪いとは思えない。メドベージェフのコートカバーが特に優れていた。ジョコビッチは、サイドラインを狙ったボールがアウトになる場合が多く、メドベージェフのボールの伸びに押されているような感じがした。また、ジョコビッチは、珍しくムキになっているところが見られ、それも勝負には、マイナスだったかもしれない。
一方、メドベージェフは昨年の全米オープンで、コルダの弾まないスライスに敗れてから、自信をなくしたのだろう。それ以後は、信じられないくらい調子が悪そうだった。しかし、今年になってからは調子を戻してきたと聞いていた。今回、調子の良いジョコビッチと戦うのを見て、完全復活を知った。ラケットのフォロースルーが前よりさらに体に巻きつくようになって、威力が増しているような気がする。何か、鬼気迫るオーラが出ていて、今のメドベージェフを止めることは誰にもできないような気がする。
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