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お弁当ありがとう

土曜日、平日より遅めに起きて
ゆっくり朝ご飯を食べていると
もう少しで3歳になる娘が、

「ママお弁当作ってくれて、ありがと」

と、言ってきて

『どういたしまして〜好きー!!』

とギューッと抱きしめる。

因みにお弁当を作ったのは3日前だ。
それから娘は毎朝「お弁当ありがとう」と
何故かお礼を言ってくれる。

↑木曜日作ったお弁当↑

月に1度あるお弁当の日。

月に1度と言えど母3年目の私には中々のハードルだ。

“足りなかったら可哀想だな”
“逆に多くて無理して食べるのも可哀想だな”
衛生面とかも気になりだしたら簡単に樹海に迷い込めてしまう。

お弁当…奥が深い。独身の頃は“キャラ弁なんて親の自己満に過ぎない”と冷ややかに思っていた。しかし自分が作る身になるとお弁当開けた時の反応や食べっぷりが驚くほど違うのだ。

見た目の違いだけで普段食べない食材もペロリと食べてしまう。なんて子供って不思議で単純で可愛い生き物…。

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そんな私が人生初めてのお弁当作りに挑戦したのは娘が1歳半頃。未だスプーンやフォークは使えず手で掴んで食べるのが中心で歯も生え揃わず硬いものは食べれないし誤嚥に気を使う時期だった。

ハンバーグは刻んだ野菜や豆腐やヒジキを入れて、
カボチャは蒸してから焼くなど、あーでもないこーでもない。量は合ってるのか?不安だらけで出来上がった究極に疲労したお弁当。そして一口も食べることは無かったお弁当だ。

お弁当が完成した朝、娘は高熱を出し直ぐに私は病院へ向かった。待合で待っていると抱いていた娘が全ての力を抜いてぐにゃりとなった。“あれ?”娘を見ると顔付きがおかしい。直後に痙攣がはじまった。大声で看護師さんを呼んで先生も飛出てきた。娘は意識がなく顔面は驚くほど茶色い。ギチギチと歯を鳴らし泡を吹いた…その様子が恐ろしくて私は何も出来なかった。先生がストップウォッチで痙攣時間を測る。3分弱でおさまったと言うが私の中では、もっともっと長く感じた。

診察を終え帰宅。疲れて眠ってしまった娘。起きたらお弁当食べてもらおうとテーブルに用意した。
すると再び痙攣がはじまった。今度は真っ白の顔だ。医師から1回の熱で1度しか痙攣は起きないからと聞いて安心していたのに2回目だ。

“2回目が起きたらどうするんだったっけ?“
“時間だ!時間を計らなきゃ”
“動画を撮らなきゃ”
“そうだ!救急車!”

数枚のオムツと飲み物だけ用意し救急車で病院へ。
その時娘は40度を超えていた。熱は3日続くも痙攣は薬が効いたのか起きなかった。もう二度とあの姿は見たくない。入院中、思い出しては悲しく下がらない熱に心配した。突然の解熱、暫くして発疹が出た事から突発性発疹と診察を受け機嫌が悪すぎる娘を宥めながらも安堵した。

お弁当はすっかり忘れてテーブルに置き去りに。
夫が片付けてくれた。


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それから1ヶ月後、今度こその人生2度目のお弁当作り、娘は人生初めてのお弁当だ。返ってきた空っぽの容器に喜んだ。

鮭は骨が心配で刺身の1切れを焼いて入れた。
残りの切り身は私の胃袋に。

「添加物や冷凍食品は控えてね」と先生からのお言葉を頂いた(笑)


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さらに1ヶ月後、お別れ遠足で娘は初めて外でのお弁当。言葉のレパートリーがまだまだ少ない娘が魚の事を「メイメイ」と呼ぶようになったので、海苔を切って絹さやに貼り付け魚に見立てた。

“ちゃんと魚と気付くだろうか…”

ちょっと心配だったが、その日のお便りに
「メイメイ!!」と喜んで間食した〇〇ちゃん(娘の名前)と書いていてすごく嬉しかった。

この日の先生からのお言葉は
「量がちょっと多いです。」だった(笑)


お弁当の写真を見るだけで思い出す。その時の娘とあの時の私。娘の成長は勿論、私も随分変わった。あの頃は鼻水が少しでも出るだけでソワソワしてたな…。

離乳食時期から今もそう。子供のご飯はずーっと頭を悩ませる案件だ。でも振り返ると食べれるものが増えた事に気付く。“全然食べない”なんて悩んだりイライラしたりする日もあるけど子供をちゃんと見れば分かる事。確実にデカく重くなってる。それで十分なんだ。

お弁当作りも数を重ね、初の絹さやメイメイから ドンドンと作る事を楽しむようになった。そして今回初めて「お弁当ありがとう」と言ってもらえた。嬉しかった。作って良かった。これからも作るね!とっても単純だが娘からの「ありがとう」だけで何でも頑張れる気がした。

「ありがとう」が言えるまでに成長したんだ。

それがとても嬉しかった。

あれから毎日言ってくれる
「お弁当ありがとう」
私はいつまでも嬉しい。

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