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ダイエットの成果が違うのは「デブ菌」と「ヤセ菌」のせい?腸内フローラと太りやすさの関係

最近、各種メディアでもよく取り上げられている「デブ菌」「ヤセ菌」という言葉をあなたは聞いたことがありますか?

この「デブ菌」「ヤセ菌」ですが、実は誰もが持っている腸内細菌の一種で、太っている人に多い菌は「デブ菌」、痩せている人に多い菌は「ヤセ菌」と呼ばれています。

実は、太りやすさに関係する腸内細菌についての研究は数多くあるのですが、その詳細についてご存じの方は少ないのではないでしょうか。

そこで今回は、中でも広く一番メジャーで「デブ菌」「ヤセ菌」の由来にもなっている、2006年に権威ある有名な科学誌Natureで発表された研究論文をご紹介します [1] [2] 。

腸内細菌が太りやすさに関係しているとは驚きですよね。「デブ菌」「ヤセ菌」について知れば、無理なダイエットやリバウンドの心配から抜け出すヒントが見つかるかもしれません。


1、研究の背景

2000年代初頭、解析技術の発展にともなって、腸内細菌のDNAを解析して、生物分類の「門」レベルの構成が調べられるようになりました。

そんな中、Washington大学のJeffrey Gordon教授の研究グループでは、腸内に棲む腸内細菌の「門」の構成と肥満の関係に注目し、どのような関係があるかを調査するため実験を行いました。

「門」は生物を分類する際のグループの名前です。この「門」に分類された生物は、さらに「綱」「目」「科」「属」「種」の順に細分化して分類されます。

たとえば私たち人類は、【脊索動物「門」哺乳「綱」霊長「目」ヒト「科」ヒト「属」】と分類されます。

腸内細菌の大半は、「バクテロイデーテス門」「ファーミキューテス門」、「アクチノバクテリア門」、「プロテオバクテリア門」の4つの門に分類され、4つの門の割合を調べることで門の構成がわかります


2、実験方法

肥満と腸内フローラとの関わりを調査するため、太っている人と痩せている人のグループの腸内フローラの構成を比較解析しました [1] 。

太っている人12名に、脂質制限または炭水化物制限による低カロリーダイエットを1年間実施してもらい、実施期間中、腸内細菌の門の構成がどのように変化するのか経過を観察しました [1] 。

さらに詳しく調査するため、その後、無菌マウス(生まれたときから無菌環境で育てるため体内に細菌が全くいないマウス)で実験を行いました 。なお、遺伝的な影響を排除するために、同じ親から同時に生まれ遺伝的背景が揃った無菌マウスを対象としました。

無菌マウスの一部に太ったマウスの腸内フローラを、残りの無菌マウスに痩せたマウスの腸内フローラを移植し、体型への影響を比較しました [2] 。

また、食べものからどのくらいのエネルギーを吸収したのかを調べるため、便に残っている成分を解析しました [2] 。


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