森博嗣のWシリーズの衝撃は半端じゃない。この未来は確実にやって来る。

いまから2年以上前になるのだが、GWFというゲームを公開した直後に「スカイ・クロラを思い出す」という感想をいただいたことがある。


ゲームズ・ウィズアウト・フロンティアーズ(GWF)はテキストベースのロール・プレイング・ゲームです。敵を倒し、装備を集め、技能を覚えてキャラクタを成長させます。「地上」への扉を発見することがゲームの目標です。


森博嗣の本はけっこう読んでいるし、隙あらばこの話を書くつもりでいた。でも、実際のところ森小説とGutterfly Farmゲームはそこまで共通点はないし(洋楽好きは人ならば気づいていると思うが)、GWFの名前の由来もまったく別のところにある。

ところが。今から5年ほど前に始まった通称Wシリーズの衝撃は半端じゃなかった。似てるよねってレベルじゃなくて、自分がGWFで作りたかったのはまさにこれなんだなって。

人間性とは命とは何か問いかける、知性が予見する未来の物語。

(あまりネタバレは書けないけど、実はほかの小説世界とつながっている。これとかこれを読んでおくとより楽しめると思う)

人間の寿命が延び、一方で子供が生まれなくなってしまった小説の世界は、現実世界の未来をそのまま予言しているようで、考えようによっては恐ろしい。小説家が描いた未来で1番来てほしくないのは、間違いなくこのシリーズである。

「もし永遠に子供として生きるのならば?」という究極の思考実験がスカイ・クロラで、森博嗣のほかの作品も「命って何?」「なぜ人を殺してはいけないのか」を考え抜くものが多い。

人間って何?というテーマがずっとあって、このバックグラウンドを共有しているという意味では、Gutterfly Farmゲームは彼の小説に似ていると言える。似ているというか、めちゃくちゃ影響を受けている。

人種や暴力の問題が注目される今日、この手のゲームを作ることは常にリスクをはらんでいる。でも、インディーズという立ち位置であるからこそ、挑戦できることもある。

たぶん、自分がクリエイターとしてずっと追い求めるテーマなのだと思う。


話は変わるけど、森博嗣の作品はどれもタイトルが キマってる。これもいいよね。


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