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【妻に捧げる読書note】人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている(by ふろむだ)

なんだって??!!と言いたくなるタイトルと意地悪な表紙に惹かれて読んでみた。

要点

  • 人間には「思考の錯覚」がある。これを認識せずにがむしゃらに実力で頑張っても、この錯覚を利用した人には勝てない。

  • 「実力がある」から、よいポジションを手に入れられるのではなく、「実力があると周囲が錯覚する」から、よいポジションを手に入れられているという部分が大きい。この後者のスキルは非常に重要である。

  • 錯覚資産とも呼べるこの要素は下記の認知バイアスから生み出される。

    • ハロー効果:1つのプラスの属性値に引っ張られて、他の属性値も底上げされてしまう現象。マイナスのハロー効果もある点に注意。例えば、売り上げ1億円という実績があると、次の仕事でもその人はきっと成果を上げるはず、それぐらい素晴らしい人だ、と認識する。

    • 少数の法則:統計的には、全然優位といえないようなごく少数のサンプル数のデータから、そのデータが示す法則性が真実だと思い込んでしまうこと。

    • 運を実力だと錯覚する:人は、運と実力の配分を、運2割、実力8割くらいの割合で、成果に結びつくと思っている。実際に受験勉強などでは実際にこれくらいの割合となる。しかしながら、社会に出てからの成果は、実力3割、運3割、錯覚資産4割くらいの割合であり、実力の占める割合は低い。しかし、人は実力が8割だと思っているので、運で成果を上げたとしても、その人の実力を過大評価してしまう。結果として、そういう人には良い環境や良い仕事などがあつまり、実力も経験値としてあがる。ひたむきに実力を上げる人はこのスピードについていけず、もともと実力は低いが錯覚資産をうまく利用した人に追い抜かれてしまう。

    • 後知恵バイアス:物事が起きてから、自分はそれが起きることを予測していたと考える傾向。例えば、実力がないと思っていた人が大きな成果を上げたとすると、もともとあの人には実力があると認識していた、と記憶が書き換えられてしまう。

    • 利用可能性ヒューリスティック:脳がすぐに利用できる情報だけを使って答えを出すこと。つまり、「思い浮かびやすい」情報だけを使って答えを出す。「すぐに思い浮かばない情報」は、無視してしまう。これを活用するには、自分が思い浮かびやすい情報として他者に認識される必要がある。異業種交流会や勉強会で自分の肩書やこういう仕事ができると言って回っておけば、その会に参加した人から仕事の依頼が来る確率が上がる。

    • デフォルト値バイアス:取りうる選択肢の中で、過剰にデフォルト値を選んでしまう傾向。デフォルト値を選ぶのが損な場合にまで、デフォルト値を選んでしまう傾向があるので注意。例えば、忘年会に参加する人は返信を、というか、参加しない場合は返信を、というかで、参加率は格段に変わる。

    • 認知的不協和の理論:自分の中で矛盾や葛藤(認知的不協和)があるとき、無意識のうちに、その矛盾を解消しようとする。現実を変えることで矛盾を解消できる場合は、健全な結果になる。逆に、それが困難な場合は、無意識は、認識や記憶の書き換えによって矛盾を解消する。この場合、不健康な状態になることがある。例えば、現実が「ろくな肩書がない」、認識が「偉そうな肩書には価値がある」だった場合、現実を変えられないと思うと、「偉そうな肩書には価値がない」と認識を変えてしまう。これでは自分が苦しくなる。これを乗り越えるためのやり方がある。現実の「ろくな肩書がない」を、「偉そうな肩書のある人を利用できる」とスタンスを変える。自分でやるモードから人を使うモードに切り替えるのだ。もし身近にそういう人がいなくても、「いつかチャンスが来たら、他人の属性Xを利用してやろうと待ち構えている状態」として現実を認識するようにする。そうすると、変に認識を曲げなくて済む。

    • 感情ヒューリスティック:好きなものはメリットだらけでリスクがほとんどなく、嫌いなものにはメリットはほとんどなくリスクだらけだと思い込む。

    • 置き換え:答えるのが難しい質問を突き付けられると、無意識のうちにそれを簡単な質問に置き換え、簡単な質問の答えを、元の難しい質問の答えだと思い込む認知バイアス。

    • 一貫して偏ったストーリーを真実だと思い込む:すべての情報を与えられるより、一貫して偏った情報だけを与えられた方が、魅力的で説得力があり正しいと感じる認知バイアス。自分の行動を決定するときには、すべての情報を吟味した方が安全だが、対外的に意見を主張するときは、むしろ一貫した片方の情報だけで語ったほうが説得力が出る。

  • これらの認知バイアスは、脳が3つの過剰性を求めているとまとめることができる。それは、一貫性、原因、結論の3つである。一貫していない状態にあると、記憶を書き換えてまで一貫させようとする。単に偶然の結果に過ぎないことであっても、原因を見出すのに必要なデータがそろっていない時でも、むりやり原因を見出す。結論を出すのに必要なデータがまだそろっていなくても、そのときにすぐに思い浮かぶ情報だけで、無理やり結論を出す、といったものだ。

  • 錯覚資産を雪だるま式に増やしていく方法:まず、ハロー効果をもたらす実績を作る。その際、思い浮かびやすいものにすることが大事。例えば、半期で売り上げ1億円を上げた、という実績をつくれたとする。これは、わかりやすいという点で思い浮かびやすい。この実績を多くの人に、とりわけ経営層や人事権を持つ人たちに知ってもらえれば、大きな錯覚資産となる。この錯覚資産は、次のせいかを生む環境や運を運んできてくれる。それを利用して、さらに錯覚資産を増やす。感覚的ではあるが、錯覚「資本」と考えたほうが良い。資本を複利的に増やしていくのに似た感覚で、錯覚資産も複利的に増えていく。

  • 実力中心の世界観で生きる人間より、「錯覚資産—運—実力」の世界観で生きる人間の方が、圧倒的に強い。なぜなら、後者の方がはるかに現実に近いからだ。実世界の戦いでは、現実が見えている方が勝つのは当たり前なのだ。

響いた内容

伸び悩みを強く感じ、突破口が見えずに苦しんできたが、なるほど、錯覚資産を活用してこなかったからかと強く納得した。

こんな人に読んでほしい

これからの世の中で成功したい人。


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