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ストレッチについて・メリット


ストレッチが重要であるということは、
すでに広く知られている事実ですが、
具体的に


「なぜ重要なのか」

「ストレッチを行うことでどのようなメリットがあるのか」


などについては、
正しく理解できていない方がほとんどです。

そこで今回はそんなストレッチについて、
書こうと思います。


ストレッチには様々なメリットがあり、
健康面・ダイエット面などに
良い影響をもたらします。


運動前にストレッチを取り入れることによって、

「運動のパフォーマンスを向上する」

といったメリットがあります。

ストレッチには筋肉の温度を高めたり、
神経からの伝達速度を速めたりする効果も
期待できます。


実際に、
プロスポーツ選手も本番前・練習前などに
ストレッチを取り入れているケースが多いもの。


パフォーマンスを重視したい場合は、
運動前のストレッチが必須といえます。


ストレッチには「怪我予防」の効果も
期待できます。


身体の柔軟性が低下している状態で
激しい運動をすると、思いがけず
筋や筋肉を傷めてしまうリスクがあります。


また、柔軟性が低いと、転倒など
突然の事態で大きな怪我をしやすくなるため
注意が必要です。


しかし、
運動前にストレッチを済ませておくことで、
怪我の予防につながり、
安全に運動を楽しむこともできます。


ストレッチにはいくつか種類があります。
それぞれ適切なシーンや効果など
異なりますので、
正しく把握しておきましょう。




スタティックストレッチ(静的ストレッチ)


スタティックストレッチとは、
ゆっくりと体を慣らすイメージで行う
ストレッチのこと。


一般的に行われてることが多いストレッチで、
時間をかけて筋肉を伸ばしていくような
運動です。



ダイナミックストレッチ(動的ストレッチ)



ダイナミックストレッチは、
文字通り身体を大きく動かすイメージ
で行うストレッチのことです。


体幹を意識しながらさまざまな動きを取り入れ、
身体を温めながら筋肉を伸ばしていきます。


また、パフォーマンスを高める効果
が期待できますので、運動前の 
「ウォーミングアップ」
として取り入れることもおすすめです。



伸張反射について



ここからは、ストレッチをするときに
知っておきたい、伸張反射(しんちょうはんしゃ)
という人間の生理学的な反射、
について書いていきたいと思います。


これを知っておくことで、
ストレッチをする時のポイントが
分かるかと思います。

少し難しいことを書いていきます。


伸張反射とは



筋が他動的に急激に伸ばされる(伸張)と、
筋紡錘の中の錘内線維も伸張されます。


錘内線維が急激に伸張した情報は、
求心性神経を介して脊髄に伝えられ、
伸張された筋繊維を支配する
α運動神経に活動電位を発生させます。

その結果、伸張された筋繊維には
収縮が生じます。
このような反射を、伸張反射といいます。


例えば、
膝蓋腱を叩くと膝蓋骨が引っ張られ
それにより大腿四頭筋が伸張します。

これにより上記のメカニズムにより、
大腿四頭筋に筋収縮が生じ
膝の伸展が伸張反射として生じます。


この伸張反射の仕組みから、
筋をリラックスさせる目的や
可動域を高めるような静的ストレッチを
行う場合は、
伸張反射を生じさせないように

意図的にゆっくりと、静かに行う。

必要がある。ということがわかります。




ゴルジ腱器官と逆伸張反射


反対に、筋腱複合体に強すぎる
伸張負荷がかかると、
引き伸ばされた筋の収縮を
抑制する反射を、


逆伸張反射(またはゴルジ腱反射)



と言います。


この反射を生じさせる受容器は、
筋腱移行部に存在する
ゴルジ腱器官と考えられています。


この逆伸張反射を意図的に
生じさせてストレッチしたい筋を
抑制してストレッチングを行うことで、
より高い柔軟向上効果を得ようとする
ストレッチを


PNFストレッチング


と言います。


このPFNストレッチングでは、
まずパートナーが他動的に
ストレッチング実施者の関節を動かして
筋を引き伸ばすことに加え、
その筋を実施者が自ら収縮させることで、
より筋腱移行部の張力を高めます。


そうすることでゴルジ腱器官を働かせて、
よりリラックス状態になり、
パートナーが他動的に
ストレッチングした時の筋のストレッチ効果は
高まると考えられています。



相反神経支配について


主導筋が収縮してるときには、
拮抗筋の働きが抑制されるという
神経支配を、


相反神経支配


と呼びます。

例えば、バーベルを持って
上腕二頭筋カールを行った場合の
主導筋は、肘を曲げる上腕二頭筋となり、
逆の動きをする筋、
つまり肘を伸ばす筋である
上腕三頭筋が拮抗筋となります。

このような運動を行っているとき、
上腕二頭筋の筋紡錘が筋収縮を
行っていることを感知し、
その情報は脊髄に送られ、
拮抗である上腕三頭筋の働きは
抑制されます。

この相反神経支配は、
動的ストレッチングにおいても
静的ストレッチングにおいても、
目的とする筋の柔軟性を高めるためには
非常に有効です。

例えば、
動的ストレッチングは自ら
関節をリズミカルに動かして
ストレッチングを行いますが、
違う見方をすれば、
主導筋により関節を動かし、
拮抗筋をストレッチするという方法
でもあります。

したがって、動的ストレッチングにおいて、
しっかりと自らの筋肉を用いて
関節を大きく動かすことにより、
拮抗筋には抑制がかかり、
リラックス状態を高めるため、
より効果的にストレッチングできるということ
がいえます。

また、静的ストレッチングにおいても、
最終可動域を保持するときに、
しっかりとストレッチしている関節の筋肉
を使ってその位置を保持する
ようにすると、ストレッチングしている筋の
柔軟性をより高める効果が
得られると考えられます。

このように、
どのようなストレッチングを行うにしても、
相反神経支配の観点から考えると、
主導筋の収縮により拮抗筋を
ストレッチする、ということを
意識してストレッチングを行うと、
より効果的に柔軟性を高めることができると
いえます。

さらに、
特に動的ストレッチングの動作を行うと、
身体の代謝機能も高まるため、
ウォーミングアップとしても
効果的であると考えられます。




ストレッチングのパワー&力発揮に対する効果



ストレッチングのパワーまたは
力発揮能力における効果は、
数多くの研究により検証されています。

一般的に静的ストレッチングを行いすぎると、
パワー発揮や力発揮能力は
低下すると考えられています。

しかし、過去に報告された研究結果を
まとめた総説論文によると、
一つの筋群に対する静的ストレッチングが
30秒以内であれば、
力またはパワー発揮能力に影響はなく、
45秒以下であればその影響は最小限である
と報告されています。

一方、一つの筋群に
60秒以上静的ストレッチングを行うと
確実にパワーまたは力発揮能力は
低下することが報告されています。

しかし、実際の現場では、
一つの筋群を60秒以上もストレッチすること
など稀であり、ほとんどの場合は
30秒以下でしか静的ストレッチングは
行っていないのが現実なので、
必要に応じてウォーミングアップに
静的ストレッチングを取り入れるのは
良い考えだと思います。

動的ストレッチングの
運動パフォーマンスに対する効果
を検証した論文のほとんどは、
運動パフォーマンスの向上につながる
という結果を出しており、
逆に、運動パフォーマンスが下がる、
というような結果の報告は
ほとんどないのが事実です。





まとめ


ここまでストレッチについて話してきました。

「なぜストレッチを行った方がいい」

かについて少しは理解が深まった
のではないでしょうか。


「習慣化」

は何においても難しいことですが、
ストレッチは習慣化の第一歩として
非常におすすめです。

やらないよりやった方が良い、
セルフマネジメントにも活用できるため、
日常生活や運動、トレーニング前に
是非取り入れてみて下さい。

以上、パーソナルトレーナーの山城でした。

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