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電子書籍を勝手に無料配布された話

海賊版サイト発見

私はふだんあまりエゴサーチをしないのですが、先週末、本当に何の気なしに筆名でエゴサーチをしてみたところ、「無料のPDF」という不穏な文言と共に自作がヒットしました。
なんと、私がKindleで販売している電子書籍のコピーを、無料で配布しているサイトでした。
会員登録することにより、ブラウザで読んだり、PDFでダウンロードしたりできるようです。
サイトの日本語は全体的に非常に怪しく、明らかに外国製のサイトです。

小説の盗用、無断転載の話はこれまで何度も聞いたことがありましたが、私のように注目度が低い者の作品がターゲットにされるとは思ってもみませんでした。
そんなによく売れている本ではありませんが……それでも、有料で販売している物を勝手に無断で配られるのは許しがたい損害です。
県警のサイバー犯罪課の報告フォームに書き込みました。

県警からの電話

土曜日の夜中にフォームを送信したところ、翌週水曜日のお昼に県警から電話がかかってきました。
若そうな声の担当者は「難しい」「ものすごーーーーーく時間がかかりますよ」を繰り返しました。

曰く、サーバーが海外にあるので、何か手を打つにしても非常に時間がかかる。無料配布をすぐに止めてほしいのであれば、その海賊版サイトにDMCAポリシーのページがあるので、ポリシーに従って削除請求を行ってはどうか。

そもそも海賊版サイトはサイバー犯罪課の担当ではない。
こちらも著作権法について詳しいわけではない
ので、「こういう状態であれば著作権法違反である」という判断はこちらではできない

(「じゃあ誰なら判断できるんですか? 著作権法の専門の人は警察にいるんですか?」と失礼な質問をしてしまいましたが、ふわりとかわされました。うーむ)

どうしてもというなら地元の警察署の生活安全課へ行ってくれ、と言われました。
警察で被害の報告をしたからといって、すぐに何か結果が出るわけではない。とにかく、非常に時間がかかる、とのことでした。

サイバー犯罪課でもよくわからないものが、生活安全課でわかるとは思えないのですが……。

2回目の電話

あまりに不親切な回答だったと反省したのか、数時間後に同じ人からもう一度電話がかかってきました。

結論から言うと、日本の著作権法でこの海賊版サイトを罰することはできない。警察としては動きようがない」とのことでした。

「こちらとしては、国内の大手セキュリティソフトの会社に、その海賊版サイトをブロックリストに載せてもらうよう依頼するぐらいしかできない。
あなたの方からも、手続きを踏んで検索サイトに依頼して、海賊版サイトが検索結果に出てこないようにしてもらってください。

海賊版サイトを消すことはできないが、アクセスされにくくすることはできます」

なるほど。

悪人が多すぎる

うかつにも、その海賊版サイトのURLの記録がどこへいったかわからなくなったので、改めてエゴサーチをかけ直してみることにしました。
すばやく結果にたどりつくため、今度は「筆名」と「本の題名」で検索してみました。

すると、なんということでしょう。

全部で6つの海賊版サイトを発見してしまったのです。

まったくもう。

6つとも日本語が不自由な外国製のサイトです。
これらのサイトを仮にA、B、C、D、E、Fとするならば、AとB、CとDとEが、サイトデザインがまったく同一で、運営主体が同一であると推測できました。つまり悪党の本体は3社(3人?)だということです。

私からのアクション

警察の人はDMCAポリシーに従って削除請求をしろ、と言っていました。

※ DMCA:Digital Millennium Copyright Act(デジタルミレニアム著作権法)

しかし、海賊版サイトの日本語がめちゃくちゃすぎて、そこに書かれているDMCAポリシーが理解できません。どうやら、削除を請求するには、私の住所などの個人情報を提供しなければならないようです。
そんなヤバいことができるはずがありません。
海賊版サイトの運営者に個人情報を開示するなんて、泥棒に追い銭です。

A、C、Fのサイトにはお問い合わせフォームがあったので、とりあえずそのフォームから連絡してみることにしました。
「私の著作物を許可なく配布する御社の行為は違法である。警察にも連絡済みである。ただちに私の本の配布をやめてほしい」
という趣旨のメッセージを送りました。

果たして返事は来るのでしょうか?
しばらく待っても音沙汰なしなら、次のステップへ進まなければなりません。

(ちなみに、B、D、Eのサイトには、お問い合わせフォームはありませんでしたが、運営者のメールアドレスが掲載されていました。それらのアドレスに上と同じようなメッセージを送ったところ、不達のエラーメッセージが返ってきました。DMCAポリシーのページに載っているメアドはでたらめだったということです。どれだけやる気がないんだ……!)




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