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おすすめ海外ドラマ

自分の好みにはだいぶ偏りがある、というのを承知の上で、私が面白かったと思う海外ドラマを挙げていきます。タイトルに「おすすめ」と入れましたが、万人におすすめするわけではありません。でも、刺さる人にはめっちゃ刺さるはず!

無茶なスケジュールで仕事に追われているうち、創作意欲が行方不明になり、小説が書けなくなってしまいました。
これは、そのリハビリ代わりに書いている文章です。

レバレッジ

痛快な詐欺ドラマ! 元・保険調査員のネイトが、それぞれの専門分野を持つ犯罪者たちを集めたチームを作り、法で裁けない悪党たちに詐欺を仕掛けてこらしめるお話。わかりやすい勧善懲悪と、チームの仲良しぶりが見ていて楽しいドラマです。

はじめは、「俺は詐欺師じゃない。おまえたちとは違う」とチームの仲間たちと一線を引いていたネイトが、S2の終わりには仲間を助けるため自分を犠牲にし、「俺は詐欺師だ」とつぶやくところが一番の見せ場。
相思相愛のソフィに対しても素直になれない。全編を通じて、しょぼくれた中年男のツンデレぶりを楽しむドラマと言っても過言ではないでしょう。

たぶんこのお話の弱点は、レバレッジチームが最強すぎることです。五人の能力は非常にバランスがとれていて、チームワークもばっちり。彼らの作戦にはほとんど危なげがありません。映画『オーシャンズ』シリーズでオーシャンたちが2時間かけて取り組むような作戦を、レバレッジチームは冒頭の5分か10分で片づけてしまいます。それほどの腕利き。

失敗もせず、ピンチにも陥らないので、どうしてもマンネリ感が出てきてしまい、シーズン5で終了しました。
志を後進に継ぐ、という終わり方はとてもきれいでしたが。もっと長く見たかったです。


コンスタンティン

あの世とこの世の中間に立つ男、エクソシストのコンスタンティン。繰り広げられる人ならざる者との闘い。
私はキアヌ・リーブスの映画で出会い、一目惚れしました。

あまりにハマったので、ついには原作の『ヘルブレイザー』にも手を出したのですが。
マット・ライアン主演のドラマの『コンスタンティン』を見て、ビジュアルが原作に近い!と嬉しくなりました。イギリス訛りがあるのも素敵です。ジョン・コンスタンティンはイギリス人ですから、そうでなくては! 映画版では相棒のチャズがひょろっとした若造に変更されていましたが、ドラマ版は原作に近く、がっしりした大男です。

事件に遭遇した時、普通のFBIみたいに地道に捜査をし、銃やナイフでカタをつける『スーパーナチュラル』のサム&ディーンと違って、コンスタンティンは魔術の力で事件の原因を読み取り、呪文一発で魔物を吹き飛ばします。
序盤は、黒魔術の「達人」ではなく「愛好家」だ、と名乗り、生身の人間としての動きで事件を解決しようとしていたのに、エピソードが進むにつれてバンバン黒魔術を使うようになり、終盤では「俺だって死体ぐらい操れる。しかも可愛く見せられる」と普通にネクロマンシーまでやってのけます。とても楽しいです。

シリーズ全編に漂うダークな雰囲気がすばらしい。
旧友をえげつない方法で死に追いやるエピソードを、シリーズの初めの方に持ってきているのが最高です。

原作のコンスタンティンにはバイセクシャル設定がありますが、このドラマのコンスタンティンとチャズにもそういう・・・・雰囲気が少しあるような……ないような……。

続きがものすごーーく気になるところでシーズン1は終わりますが、まさかの打ち切り。永遠に続きを知ることができないのがつらすぎます。

リーガル・バディーズ フランクリン&バッシュ

海外ドラマの弁護士ものといえば、普通に『SUITS』でしょう。私の周囲でもSUITS好きは多いです。

まあ、単に私の好みなのですが。私は、社会的地位のある人間や、組織に所属していて人望のある人間をヒーローとしてまつりあげるタイプのエンタメが苦手です。バットマンやアイアンマンを好きになれないのもそれが理由です。「こういうタイプの主人公には共感しきれない」と『24』を第1話でギブアップしてしまったのも、そのせいかもしれません(ジャック・バウアーが、周囲からの信望の厚い有能な男に見えましたので)。
そういうわけで、『SUITS』も、ファーストシーズンの第1話を見ただけでリタイアしたのです。ちょっとこいつら無理、みたいになって(後で聞くと、ハーヴェイは別に「人望がある男」というわけではないようですが)。

そんな私が強力におすすめする弁護士ドラマは『フランクリン&バッシュ』です。

フランクリンとバッシュはいわゆるambulance chaserに近い弁護士。街で交通事故を見かけると駆けつけて名刺を渡す。スマートさもカッコ良さもない、しょぼくれた二人組です。
彼らが毎回、訴訟に勝つために法廷で繰り出すあの手この手が、このドラマの見せ場です。時々やりすぎて退廷を命じられたり逮捕されたりしますが、二人は勝訴のためには手段を選びません。
その(隠れた)有能さを見出され、大手の弁護士事務所に引き抜かれます。しかし、ハチャメチャな彼らはエリート弁護士たちをひっかき回し、事務所に騒動を巻き起こします。

とにかく、毎回声を出して笑えます。法廷のシーンで。

ただ……面白かったのはシーズン2まででした。視聴率をテコ入れしようとしたのか、シーズン3で新しい女性所長が登場するのですが、それでいろいろ台無しになりました。せっかく作り上げてきたキャラクターたちをもっと大切にしてほしかった……。

最終シーズンとなるシーズン4は長らく日本未公開でしたが、最近ようやく、日本語版が公開されているのを見つけました。シーズン3で失った勢いを取り戻せるのか。見てみたいと思います。

メンタリスト

カリフォルニア州捜査局(通称・CBI)の犯罪コンサルタント、パトリック・ジェーン。元詐欺師で以前は自身を霊能者(サイキック)と偽り活躍していた。妻と娘を殺した宿敵レッド・ジョンを追うため、CBIのコンサルタントとなり、人間心理を巧みに操る観察眼と推理力を持つ「メンタリスト」として型破りな捜査で犯人を追う。

シーズン1の第1話の完成度が高すぎて、何度でも見てしまいます。あのエピソードにすべてが詰まっていますね。ジェーンが、他人との距離のとり方がおかしいこと。世間の常識からずれていること。巧みな犯人の追いつめ方。腕っぷしは弱いこと。そして、内に底知れぬ狂気を秘めていること。
「夜眠れないから睡眠薬を出して」と犯人に頼むのは、犯人に近づくための口実、と見えますが……でも実は、夜眠れないというのは本当ではないか、と思わせる虚ろな表情。

単発でさまざまな事件を解決しながら、シーズン全体としては、狡猾な殺人鬼レッド・ジョンとの戦いが続く、という展開。
戦いには緊迫感があり、見ごたえがあります。

物腰おだやかで、荒っぽいことが嫌いで、いつも飄々としているジェーンがレッド・ジョンに対してだけ見せる激しい暴力性が最高です。
敵と対面したとき、人道主義や規範意識などで、引き金をひくのを迷ったりしません。あっさり殺します。

シーズン6の終わりではなく、中盤でいきなりラスボスを殺してしまったので、かなりびっくり。

実質上『メンタリスト』の物語はここで終わりです。レッド・ジョンを倒した後、ジェーンはFBIに移籍して捜査を続けますが、それはおまけみたいなものです。

個人的には、CBIのチームが最後までお互いを苗字で呼び合っていたのがツボでした。アメリカならファーストネーム呼びが基本だと思っていたのですが。何か意図があったのかな。

雑感

★レバレッジは続編が作られたそうです。ネイト役の俳優さんが大人の事情で出演できないので、ネイト抜きで。

シーズン5は「ネイトが足を洗う」というところで終わりましたから、別にネイト抜きでも不自然ではないのです。寂しいですが。
けれども「ネイトは死んだ」という設定の続編になるとのこと。

やめてほしいなぁ。ファンとしては、「どこかで幸せに生きている」と思いたいのですが。
『オーシャンズ8』も、それまでのシリーズで主演だったダニー・オーシャンの妹が主人公、という設定。冒頭でいきなり「ダニーは死んだ」という発言が飛び出し、かなりがっくりきました。
(そんなの嘘だよね? あのしたたかなダニーのことだから、本当はどこかで生きているよね?)
と懸命に自分に言い聞かせなければならないほどのダメージでした。

昔の作品を、装いも新たに復活させるのは良いのですが。みんなが愛しているキャラクターを簡単に死なせないでほしい、と思います。

★実現するかどうかはわかりませんが、『コンスタンティン』のリブート版の制作の話も進んでいるそうです。それはすばらしいことですが……コンスタンティンは有色人種になるだろう、とのこと。

そういうの、本当にやめてほしいです。エンタメに現実の人権思想を持ち込むのは。

ダニエル・クレイグの『007』で、「M」が女性になった時もかなり驚きましたが、「それはないわー」と反感を覚えるほどではありませんでした。原作準拠なら、「M」に求められているのは、007の暴走に眉をひそめる、冷静で貫禄のある上司としての役回り。男である必然性もないのです。

でも、コンスタンティンは、原作のコミックで金髪碧眼の白人男性として描かれています。良し悪しとか人種意識とか関係なく、コンスタンティンというのはそういう属性を持つキャラクターなのです。
アフリカ系アメリカ人やアジア人の俳優をあてたら、それはもうコンスタンティンではなく、同じ名前を名乗っているだけの別のキャラクターです。

まあ、別のキャラクターによる、よく似た物語だと思って見ればいいんでしょうね。
あとはそのリブート版に、「原作が好きだから見るファン」以外の人をひきつけられるだけの面白さがあるかどうか、というだけの話です。
私はたぶんリブート版は見ないと思います。よほど評判が良くない限り。

(そういう話をすれば、キアヌ・リーブスは原作のコンスタンティンに全然似ていません。原作の『ヘルブレイザー』を先に知っていた人にとっては、「あれはコンスタンティンじゃない、別のキャラクターだ」ということになるでしょう。でも、映画版、めっちゃ面白かったですからね)

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