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相続問題 兄弟間の醜い争い

沖縄では、軍用地を巡る醜い争いで、軍用地を売却せざるを得ないケースは、非常に多いです。

親が亡くなり、子どもたちが残された遺産を相続することになった場合、兄弟間で相続争いのトラブルが発生する話を耳にします。

実は、最近、軍用地を売却された元地主様は、親から相続した嘉手納飛行場を、兄の借金の返済で、売らざるを得なかったそうです。
 
兄弟の相続争いで多いのは、兄が「すべての遺産を自分が取得する」と言い出すパターンです。

沖縄では、しばしば位牌を長男が代々守り信仰していく文化があります。その信仰をトートーメーとも言います。トートーメーを守っていくは長男が家を継ぐのだから当然遺産は全部もらうべきと、いう習慣があります。
 
しかし現在の民法では家督制度が廃止されており、長男がすべての遺産を相続すべきという考え方は法律上ありません。
 
特に、沖縄での相続問題は、現代の法律上のルールと昔ながらのしきたりとが入り混じり、難しい側面があります。
 
実際に起こった話です。
「オラ~、局長だせや!」と、防衛局の閉庁時間が大分過ぎたころ、執務室のフロアーじゅうに怒号が鳴り響きました。

当時、私は、庁舎管理の担当者だったので、怒号が鳴り響いた執務室へ駆けつけました。そこは、軍用地の借地料を支払う部署でした。
 
担当者から、事情を聞いたところ、兄弟間の軍用地料の受領で揉めているとのことでした。

その弟がいうには、親が亡くなり、軍用地の相続で話し合っている間に、兄が勝手に所有権を自分のものにしたそうです。
 
防衛局は、登記簿謄本の所有者である兄へ軍用地料を支払ったにもかかわらず、所有者の弟が、どうして兄へ軍用地料を振り込んだのかと苦情を言ってきたのです。
 
当時の当局の対応は、問題ありません。この問題は、兄弟間で解決すべきことです。しかも、その弟は、ある団体の名刺を持っている男性を伴って、当局へ抗議しているのです。ある団体とは、これまで行政や民間業者へ恐喝を繰り返し、逮捕者まで出している札付きの団体でした。


 
彼らは、課業終了10分前にやって来ては、大声で恐喝まがいの発言を繰り返し、担当者の揚げ足をとるような質問を浴びせていました。それが、夜11時まで、3日間続きました。担当者の疲労も極限状態だったので、県警へ相談しました。
 
当時は、今ほど、公務執行妨害の意識が小さかったので、警察へ被害届を出すのもどうかと思いましたが、業務へ支障をきたしていたのです。
 
県警から防犯協会を紹介してもらい、過度なクレームへの対応マニュアルを作成したり、行政恐喝に対する講習会を開催しました。
 
県警へ相談したのが、功を奏したのでしょうか、4日後には、その弟や大声で恐喝まがいを繰り返していた男性は、訪れることはなくなりました。
 
沖縄では、軍用地をめぐる遺産相続のトラブルは、非常に多いです。相続トラブルで、弁護士に相談するケースを見かけます。お金の問題で、兄弟、親戚の仲が悪くなり、同じ地域にいると顔を合わせるので、引越ししてしまうこともあります。

せっかく、親が良かれと思い、残してくれた財産で、兄弟姉妹の仲が一生悪くなってしまっては、天国にいる親も泣くに泣けません。

現在、民法上、兄が「すべての遺産を相続する」などと発言していたとしても、遺産分割協議において、弟がその内容に納得し合意しなければ、兄がすべて相続することはできません。
 
遺産分割協議書は、相続人全員が参加して実印で署名押印する必要がありますので、納得するまで話し合いを継続することが必要となります。
 
相続税の申告と納税は、財産の持ち主の死亡を知った日の翌日から10カ月以内です。「遺産分割が間に合わない」といった事情があっても、遅れてしまうと無申告加算税や延滞税といったペナルティを払うことになります。
 
納税が差し迫って、軍用地を相場より相当安く、投げ売りしてしまう地主も多いです。そうならないように、早めに相続性対策をこうじておかなければなりません。

相続のトラブルで、話し合いが数年かかってしまい、軍用地の売り時を逃してしまい、損してしまうこともあります。そうならないように、親が元気なときに、早めに話し合い、遺言を作成しておくようにしましょう。

最後までご覧いただき誠にありがとうございます。
出会いに感謝です。




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