第一回ミスチル歌手特集

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ロックミュージシャン、フォークシンガー、アニソン歌手、ラッパー、演歌歌手など、この世には様々なジャンルの音楽と音楽家が存在する。

そこで、もしもミスチルという音楽ジャンルとミスチル歌手というカテゴリがあったらどんな人達がそこにカテゴライズされるのか?という考えに至ったので特集を組む事にした。以下に紹介するミスチル及びミスチル歌手の基準は完全に独断と偏見に基づく。歌唱、歌詞、曲、容姿、トーク、生き様・・・。勝手な基準で勝手にカテゴライズしていくぞ。全て冗談なのでマジレスは勘弁してくれ。

才能溢れるミスチル歌手を紹介するその前に、記念すべき第一回なので殿堂入りというか、王者と言っても過言では無い3組を紹介させてもらう。
正直この3組だけは他のミスチル歌手とは別格なので先に紹介しておく必要があると考える。「ミスチル」という音楽ジャンルが好きな人なら予測はつくと思うが・・・・・・
何となくでも浮かんだろうか?では紹介させてもらおう。異論があればいくらでも受け付ける。


初代ミスチル歌手王者 浜田省吾

初代ミスチル王者はハマショーこと浜田省吾で間違いないのではないか。
始祖と言ってもいい。喉をしぼる独特の歌唱法で伸び伸び歌い上げている。この時点で既にミスチルだったとは・・・。オーパーツだろこれは!しかも何の因果かカップヌードルのCMもやっている!偶然では無いかもしれん。ここで紹介した「風を感じて」の歌詞の一部に「自由に生きてく方法なんて100通りだってあるさ」という部分があるが「生きる為のレシピ」云々を彷彿とさせる。他の曲もメッセージ性の強さや熱苦しさはかなりミスチルしていると言える。元祖で古典と言う意味では「クラシック・ミスチル」とでも言うべき音楽性だろうか。

やはりクラシック、初代王者は貫禄と風格が圧倒的で、その存在感はあのダウンタウンにも影響を与えたほど。人気テレビ番組、ガキの使いの企画で「浜省だらけの野球対決」という企画も催されたほど。浜田省吾に憧れ、小さい頃に身振ぅり手ぇ振りをっ真似てみせた人も多い。次に紹介する2代目王者もその一人だったと言う。

そして先述のダウンタウンと2代目王者は音楽番組で何度も共演している。これは売れっ子芸人がMCの歌番組にプロモーションの為に出演した、という話では無い。ハマショーに影響を受けた者同士としての振る舞いだったのは明らかだった。まるで導かれたかのように。
とどまる事を知らない時間-とき-の中でだ。星つぶ数えてため息ついた これだけの偶然の中で・・・oh・・・もしや運命?絶体運命 そう思います。


2代目ミスチル王者 Mr.Children

2代目王者はMr.Children以外考えられないと思う。
見よ。ダークトーンのサムネですら後光が見えるほどの存在感。セールス、知名度、浸透度、クオリティともに申し分なく、国民的バンドと言っても過言では無い地位を築いた。しかし売れすぎた故にアンチも多く作る結果になってしまった。頭の固いコアな音楽ファンや、尖っているアマチュアミュージシャンからは「最もダメな音楽をやってるプロ」の例えとして挙げられる事もしばしば。真摯に取り組んでいるにも関わらず、売れ過ぎた為に商業主義的だと批判されるその様から、彼らの音楽性は「スタジアム・ミスチル」もしくは「産業ミスチル」とでも表現すべきか。Mr.Childrenが好きな自分としては悲しい事ではあるが、これは売れ過ぎた故の悲劇である。

そんな下らない評価はお構いなしに、とにかく影響力という点で他を圧倒している。その後のミスチル歌手達の方向性を、ほぼ100%決定付けた。今後ミスチルをやるミスチル歌手達は2代目王者たるMr.Childrenのフォロワーが大多数を占める事になる。先祖返りの可能性は低い。

要するにミスチルと呼ばれるジャンルの音楽をするにあたり浜田省吾(初代ミスチル)に影響を受けたフォロワーは中々現れないという事だ。あいみょん等は浜田省吾(初代ミスチル)フォロワーとして有名だがあいみょんのジャンルはミスチルでは無い。強いて言えばフォーク、ポップスである。フォークあるいはロックをやる者で浜田省吾(初代ミスチル)のフォロワーというのは、恐らく今後も出るだろう。しかしミスチルをやる者で浜田省吾(初代ミスチル)のフォロワーが出現するかと考えると・・・可能性は低くなりそうだ。

そう考えると初代フォロワー且つミスチルをやる者は恐らく2代目王者であるMr.Childrenが最後かと思われる。これは後の世代のミスチル歌手とのデカ過ぎる差だ。浜田省吾をルーツの一部に持つMr.Childrenであるが故、初期のアッパー曲の一部ではミスチルをやっていると言うよりハマショーをやっているように聴こえる瞬間もあった。クラシック・ミスチルでは無く、ハマショーである。しかし暗闇でもがいてもがいて自分にしか出来ない事身に付けようとして夜だけじゃなくて昼もファンタジスタって言われるようになり、今では誰もが認める2代目となった。

Mr.Childrenの曲で一番ミスチルしているのが「しるし」だと思う。現状一番有名と思われる「HANABI」よりミスチルだと思う。最もイメージが定着しているというか、そんな感じ。これは売上やクオリティの話では無く、どれだけミスチルしているかというひどく狭い世界の話なのであしからず。

そんな彼らは次の扉をノックし、現在ではミスチル業界から距離を置いている。長いこと続いてた自分探しの旅もこの辺で終わったらしく、ミスチルというユニフォームを脱いで自由自由自由!!スロースターター今発車。


3代目ミスチル王者 TRIPLANE

3代目王者はTRIPLANEだと個人的には思う。
初代と2代目以外では一番の知名度だろう。彼らは安定感に定評がある。
2代目王者のMr.Childrenは音楽性の変化が激しかった為「今回の曲も最高~でもミスチルでは無いかも?」とファンを困惑させる場面も少なくなかったと思う。

そんな2007年頃にTRIPLANEが放った一撃がこの「モノローグ」だ。
歌唱/歌詞/曲/タイトル・・・曖昧になりつつあった音楽ジャンル、ミスチルをここに見い出した人も多い。再定義されたと言ってもいい。そのミスチル歌手っぷりにおいて逆に「Mr.Children」が「TRIPLANE」に寄せているのでは?というワケの分からぬ考えすら浮かぶほど、当時のファンに衝撃を与えた。実際自分はコンビニで初めてこの曲を聴いた時、衝撃で立ち止まってしまった。この曲はMr.Childrenより「ミスチル」しているのではないか?Mr.Childrenはもうミスチル歌手ではない・・・?次の扉をノックしている・・・?しばらく立ち尽くしてしまった。比喩では無く立ち尽くした。

困惑してしまったのは曲のクオリティのせいだけでは無い。タイミングも悪かった。ここから先の話は偶然というには出来すぎた、ある世界の流れがある。話半分に聞いて欲しい。

2006年の11月「しるし」発売。納得するしかないミスチルっぷりで決定打が出たと思った。しかしそこからたった2か月後、「フェイク」発売。禁断とも言える歌詞が飛び出た。

ーすべてはフェイクー

今風に言うと「エグいパンチライン」が放たれた。ヒップホップ連中ですら口にしない、すべてはフェイク、それすら。それすら」とは意味深である。(Mr.Childrenの)存在自っ体がもうすっでぇに意ぃ味ぃ深~って事か?自分はこの時点で早くも違和感に気付いていた。

2007年10月、9か月ぶりのシングル「旅立ちの唄」。この曲が主題歌に使われた映画の評判は一部ではすこぶる悪いとの事。
ダメな映画を盛り上げる為・・・?

性交/妊娠/中絶というハードなストーリーが話題・・・簡単に命が捨てられていく・・・?Fuckする豚・・・?

「メンヘラにしか刺さらないストーリーだろw」
ネット掲示板への荒らし書き込み・・・メンヘラとは・・・ナルシズムと自虐の狭間で彷徨う・・・Brandnew my lover・・・新しい愛人・・・Mr.Childrenはミスチルを捨てた・・・?

映画の原作小説は実体験から書かれたとの事だが現実にはありえないという指摘も多く・・・すべてはフェイク・・・それすら・・・

2007年11月「モノローグ」発売。この曲名、このワードセンス!この響きに潜んでる温い惰性の匂いは・・・ミスチルだった。歌唱/歌詞/曲/タイトル、全てにおいて。

バンド名TRIPLANE。由来は3人で活動してきたことと大きく羽ばたきたいという想いから「翼機-TRIPLANE-(枚の翼のある飛行機)」
3」という数字にこだわる・・・3代目王者・・・?

飛行機・・・思い思いの願いをその翼に重ねて何に縛られるでもなく僕らはどこへでも行ける」・・・縛られる?・・・コバタケに?
それこそフェイク・・・ミスチルというジャンルに縛られていた?

小さい頃に身振り手振りを真似てみせた憧れ(浜田省吾)になろうだなんて大それた気持ちは無い・・・
僕らなんか似せて作ったマガイモノ(TRIPLANEに強い影響を受けている事を示唆?)・・・

更に・・・
2006年10月18日発売のTRIPLANEのアルバム名「home」
2007年3月14日発売のMr.Childrenのアルバム名「HOME」

全ての点が線で繋がった。これらは偶然なのか。これらはきっとなんかを表してる隠喩(メタファー)なんだろう。何が起こっても変じゃない、そんな時代。TRIPLANEは我々が思っているよりも以前から3代目に君臨していたのかもしれない。


以上、レジェンド3組のサンプリング多めで幼稚な紹介は終了。
以下に4代目の候補を真面目に紹介する。正直ピンキリではあるが、各々がしのぎを削り、日々その技術を競って切磋琢磨している。

Ski.day.skiers

まず「花火」というタイトルに度肝を抜かれる。マジか・・・。
これ以上に不穏当な曲名は存在しないと言ってもいい。レミオロメンがCURIOの粉雪に怯えなかったように、King GnuがGRAPEVINEの白日を気にしなかったように、彼らSki.day.skiersもMr.ChildrenのHANABIを恐れていない。しかも先述の2組のバンドは特に共通点は見当たらないが、Mr.ChildrenとSki.day.skiersはミスチル歌手という共通点がある。更にHANABIは浸透度もGRAPEVINEの白日やCURIOの粉雪に比べれば段違いに上だ。怖いもの知らず、ロック過ぎる・・・ミスチル云々関係なく憧れる。だが曲調はHANABIっぽくは無いようだ。

歌唱/歌詞/曲、他あらゆる面でハイレベル。かなりオーセンティックなミスチルをやっているのが一聴して分かると思う。不純物は限りなくゼロに近い。ハッキリ言ってポテンシャルは既に歴代王者をも越えている。またTRIPLANEとは影響元の時期が少し異なるように聴こえるのも興味深い。恐らくアルバムで言うと 「I♥U」以前。「HOME」以降を主流とする現在のミスチル界ではむしろ異端。新しい流れを作れる可能性を持っている。

調べてもあまりこれといった情報が出ないのでプロでは無いのかもしれない。そう考えると「商業主義的でない」「現在のミスチルより古いミスチルへの回帰」の2点をもって「ガレージミスチル」とでも言うべき音楽性を、彼らは持っているのだろうか?この辺りは区分が難しい。まだミスチルがロックほど体系化されていない為、曖昧な言い方になってしまうのは勘弁してくれ。

彼らこそ最も4代目に相応しいと思うが・・・如何せん知名度が無さ過ぎる。もう少し売れていれば間違いなく4代目。これからどんなミスチルを聴かせてくれるのか期待大。

リアクション ザ ブッタ

作曲とボーカル担当の佐々木氏はMr.Childrenの1stシングル「君がいた夏」が発売された92年生まれ。驚きである。この世代でこのレベルは相当だ。特にイントロはほのかにコバタケっぽさもあり、かなりミスチルしている。この曲では「考えすぎだよ」「白と黒」などのフレーズも飛び出す。ミスチル歌手としての才能は十分持っている。他の曲は普通にモダンな若者向け邦ロックやフェス向けダンスロック、King Gnuっぽいやつなどミスチルとは呼べない曲調もかなり多く雑食。「邦ミスチル」といったとこだろうか。

オーイシマサヨシ

アニソン界で活躍しているミスチル歌手の一人。ユニット時代、ソロ歌手時代を経て2013年頃アニソン歌手に転身。これほどのミスチルの才能の持ち主でも埋もれてしまうとは・・・。J-POPのフィールドは厳しい。

ほとんどのミスチル歌手がバラードに取り組む中、この曲はアニソンという事もあってか猛烈にアッパーだ。譜割り、即ちメロディーのリズムもかなりミスチルである。Mr.Childrenの「everybody goes」や「マシンガンをぶっ放せ」などを彷彿とさせる。歌唱法もそれに合わせた荒々しさがあり、とても良い。歌詞も「どんなだい」などのサンプリングフレーズが飛び出し、遊び心もある。

プロのアニソン歌手兼アニソン作曲家としてキッズやクライアントの要求も満たすが、ミスチル要素もしっかり出すという所に、ミスチル歌手としてのプライドを感じる。ジャンル問わず見習うべきミュージシャンシップの持ち主である事が分かる。

今のアニメオタクがミスチルというジャンルの音楽にあまり詳しく無いせいか、かなり高度な事をやっているのに気付かれていないフシがある。ミスチルは本来アニソンとの親和性は高く無い。にも関わらず成立させている。もっと評価されるべきだろう。音楽性はアニソン・ミスチルと呼んで差支えあるまい。ミスチルとアニソンという別種の暑苦しさが氏のスキルにより奇跡のケミストリーを果たしている。

大橋卓弥

大御所音楽ユニット、スキマスイッチのボーカル担当。
ユニット時の曲では多少香りがするぐらいで、そこまでミスチル全開でも無い(ガラナは結構ミスチル味があるかも・・・)。
が、ソロ活動第一弾シングルであるこの曲は相当ミスチルしている。歌唱は他のミスチル歌手と比べると残念ながら低レベル(あくまで「ミスチル」というジャンルからの観点、歌自体は言うまでもなく素晴らしい)。しかし何と言ってもこのメロディー。こりゃスゴイ。箒星っぷりが振り切れている。恐らくこの世で一番箒星に似た曲。それだけでも価値がある。誓って皮肉ではない。

一番の注目はCメロ。頭の譜割りは「Any」を彷彿とさせる2拍3連を強調したリズムでミスチル・グルーヴが炸裂。歌唱は全く寄せてないにも関わらず、このミスチル感。真にミスチルしていれば、曲だけで十分ミスチルする事が出来ると言わんばかりである。Cメロラストは急に音楽的にはミスチルと関係の無い椎名林檎作曲、ともさかりえの名曲「カプチーノ」(微妙にマイナーどころを選ぶこのセンス!)を彷彿とさせる飛び道具的展開・・・かと思いきや、何と「花言葉」的な雰囲気で終わるというハナレ技を披露する。これはすごい!この滑らかなサンプリングスキル。流石大御所・・・只者ではない。

ちなみに氏がMステ出演時に公開した「ミスチル縛りプレイリスト」では箒星が1曲目だったとの事で、さもありなん・・・というか答え合わせが過ぎる。好きな物を咀嚼し、作品に昇華する。なんだって消化して筋肉に変えてしまおうというその姿勢。ミスチル歌手シップにのっとった曲作りをしていたとは・・・決して表面的なモノマネに終始しないその姿勢は、ミスチル歌手達が見習うべき姿勢と言える。

PVはJKにジャッキー映画のアクションシーンのオマージュをさせるという何ハラに当たるんだか分からん事をしている。自主制作、卒業制作並みの自由度。しかしこのセンスには恐れ入る。最近流行している「おっさんの趣味をJKにやらせる系アニメ」と同じセンスだ。2008年にしてこの情けないアティテュードはかなり先端を行っている。
それからカンフーとJK、この歌手の客層を考えると最も遠い二つを組み合わせるとは・・・PVからも本当に好きな事をやるという強い意志を感じる。

osage

この世代にしてはハイレベルというぐらいで大した事無い(あくまで「ミスチル」というジャンルからの観点、念のため)。
一般的な感覚だとミスチル感があるかもしれんが、「ポスト・ハードコアミスチル」・・・つまりミスチル要素はシッカリ出しつつも予期せぬ「何か」を強調している・・・温故知新とでも言おうか・・・いや違うか・・・
とにかく強靭なミスチル要素を求めてはいるコチラとしては、この程度ではミスチル歌手の王座は渡せぬ。あくまでミスチル要素がある邦ロックバンドだ。今後どうなるかは分からないけど。
だが1:55からのアカペラパートは出色の出来。かなりソウルフルなミスチル歌唱が聴ける。若手というのも加点ポイントだ。ポテンシャルは高いので注目する価値はある。

余談だが上記の動画のコメント欄に「チルドレの桜井さんかと思いました」というコメントを見付け、衝撃を受けた。チルドレという略し方は初めて聞いたぞ。チルドレ?

高井佳佑

吉本興業所属のお笑い芸人。ミスチル(というより桜井氏)のモノマネ動画を自身のyoutubeチャンネルにて多数アップしている。特にMCのモノマネは相当ハイクオリティ。声はそこまで似ていないが喋るリズムが桜井氏に近く、再現度が高い。

上記の動画は「1人ミスチルメドレー」という事で、桜井氏のモノマネをしながらMr.Childrenの曲をメドレー形式で披露している。選曲も年代/知名度/曲調ともにかなり幅広くレベルが高いが、真に驚くべきは曲と曲の間隔。
は や い
ベストアルバムのCMかのごとく高速で切り替え歌い続けるその様は、人力ミスチルジュークボックスとでも形容すべき恐ろしいスキルだ。表情、モーションまである程度再現している。更に途中で一瞬挟まれる「思春期の夏~君との恋が今も牧場に」に、初見で気付けた者は一体何人いるだろうか。これらの事から只者では無いのが一見して分かるだろう。


長くなり過ぎるので今回はここまで。
まだまだ紹介しきれないほど、ミスチル歌手はたくさんいる。有力な人材がいたら是非教えて欲しい。また今後はアーティスト単位だけでなく、曲単位でミスチル要素を出しているものも紹介していきたい。

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