恋愛短編小説 『北極星』

全部嘘だ。

報われない努力は必ず存在する。
価値のない人間が今日も世界のそこらじゅうで生きている。
奇跡がいつも尊いとは限らない。
恩が仇で返ってくる確率はどのくらいだろう。
今生きていることに感謝をしたって死にたくなる明日はやってくる。

どん底に落ちても這い上がるだけだと思っていた。
今いる場所が底ではないこと、それどころか底などなく筒抜けになって、ただ静かに落ちていくしかないことに、気づける人は果たしているのだろうか。
足掻く気力なんてとうに尽きていた。まるで無重力空間に身一つで放り出されたみたいだ。抵抗しても流れに身を任せても同じことだった。

あぁそうか、意味の無いこともこの世には腐るほどあるんだ。

 好きな人が結婚詐欺師だった。
嘘みたいな本当の話。
「結婚したら家庭に入ってほしい」という彼の少々前時代的な考えも、幸せに満ちた私には心地よく感じた。
婚約指輪を貰った次の日、会社を辞めた。
暖かな祝福の中見送られ、1番仲の良かった(大人になってこんな言葉を使うことに少々照れはあるが)親友とも呼べる同期は「本当に良かった」と泣いて喜んでくれた。
後にその同期が私のありもしない噂話をして「辞めてくれて本当に良かった」と言っていたことを知ったが、もう今となってはどうでもいい。
それよりも、送別会で上司が何の気なしに言った「今の時代珍しいな、専業主婦なんて。お前は単純すぎるから気をつけろよ。」という言葉の方が私の頭から離れないでいた。

元婚約者、もとい結婚詐欺師の消息は不明だ。
2人の未来のためにとコツコツ貯めていたお金を持ち逃げしたことだけが確かな情報だった。
名前も生まれ育ちも友人関係も、全て嘘だった。
せめてと思い婚約指輪を売ろうとしたのだが、それも模倣品だったので自動販売機の横に設置してあったゴミ箱に捨てて帰った。

 毎日同じことの繰り返しだった。
ただひたすらベッドの上でSNSを見漁り、食欲はなかったが生きるために適当なものを口にしてはまたベッドに戻った。
死にたいという気持ちすら湧き出てこないのは、死にたいと思うより苦しい。

そのうち私はマッチングアプリを始めた。
恋愛がしたいとか、もう恋愛なんて懲り懲りだとかそんなことすら考えていなかった。とにかく何も考えていなかったし、考えたくなかった。
私のことを何も知らない誰かと関わることで、一瞬でも別の人生を歩んだ気になれるのではと無意識に思っていたのかもしれない。

マッチングアプリで出会った適当な男と適当に寝た。
その間だけは何も考えず、何にも囚われずに生きられる気がした。
こんなことは間違っている、早く前を向いて頑張らなくてはという考えが全くなかったわけではない。
きっとその時点で逃げずに向き合えていたら、自分で”底”を決められていたら、もう少しは簡単に這い上がってこられたのかもしれない。
だが、私には”底”を決める勇気がなかった。
”底”にいることを認めるのが怖かった。それは停滞だ。
行き止まり。くるりと180°回転し、自分が前だと思っていた方向を自らの手で後ろにするなんて、とても恐ろしいことに感じた。

そんな生活をしばらく続けたがじきに飽き、ただひたすら読書をしてみたり、家の近所をぐるぐると歩き続けたり、写真フォルダを1番古い順から見返したりして過ごした。
眠れずに朝を迎えた早朝、ふとなんとなく、ある男を思い出した。

 彼はマッチングアプリで出会った男だった。
1度だけ会って話し、セックスをした。それだけだったのだが、柔和で穏やかな雰囲気が心地よかったのを覚えている。
LINEを開き、友だち一覧をスクロールする。彼の名前が出てきて手を止めた。トークを開く。適当に耳障りの良い言葉を並べて送信する。
意味なんてなかった。出来心というほどの興味や好奇心もない。もうブロックされているかもしれないし、それならそれでよかった。
だが、私の予想とは裏腹に返事は呆気なく返ってきた。
ちょうど彼も休みだったらしいという文面から、今日が土曜日であることを思い出した。
なぜこんな時間まで起きているのか(またはこんな時間に起きたのか)少し気にはなったが、それを聞くことはしなかった。

 電話をしようと持ちかけたのは私だ。
なぜかは分からない。
これから人々が起き出し「爽やかな朝だ」と言いながらこの青空を眺めるのかという僅かな嫌悪を、同じ時間軸で生活している人間と話すことで中和させたかったのかもしれない。

 電話口で話す彼の雰囲気は初めて会った時と何も変わらなかった。
彼と話していると、湖を思い出す。
限りなく広く深いのに波はほとんど立っていない。静かで心地よい。特にやることはないけれど、何時間いたって飽きないのだ。
そんな空気に絆されたのか、気づけば私は彼にここ最近の身の上話をしていた。
婚約者が結婚詐欺師だったこと、金も職もないこと、親友に疎まれていたこと、それを伝えてきた意地の悪い人間がいること、本当はどうにかしなくてはいけないと分かっていること、前にも後ろにも進めないこと。
どれも初めて話すことばかりだった。こんなことをアプリで出会った人間に話すのも初めてだった。
彼はただひたすら私の話を聞き続けてくれた。たまに優しく「うん、うん。」と相槌を打つ以外、何も話さなかった。
一通り話し終え、「ごめんね、いきなりこんな話」とつとめて明るく言うと彼は一言、「話してくれてありがとう。」と言った。彼の優しい笑顔が思い浮かんだ。

 それから頻繁に話すようになった。
たまに会ってセックスもしたが、それ以上にはならなかった。
彼といる時の自分は驚くほど素直だった。喜怒哀楽を真っ直ぐ表現できたし、そんな自分が好きだった。
彼は私の全てを認めてくれた。「今日も何も出来なかった」と言うと「ゆっくり休めて偉いじゃん」と笑ってくれ、「今日は洗濯をした」と言うと嘘くさく感じてしまうほど褒めてくれた。
彼に褒められたい一心で毎日できることをこなした。その度彼は大袈裟に褒める。その時間が何より幸せだった。頑張ってよかったと素直に思えた。
私にできることなんて微々たるものだ。せいぜい家事を毎日こなすくらいで、あとはたまに散歩や気分転換に買い物に出かけるくらいだった。
結局何も変わっていない。他の人が普通にしていることを普通にこなしているだけ。結婚詐欺に遭い、お金と仕事と友人を一気に失ったあの頃の私は、今もここに存在し続けている。
それでも彼に褒められた瞬間は「報われた」と思えた。
いつしか私は彼に支えられて生活していた。

 「私も彼を支えたい。」そんな風に思うようになったのはいつ頃からだろうか。気づけば自然とそのような考えが思い浮かぶようになっていた。
彼のことが好きだ。でもこれが異性としてなのか、人としての感情なのか、いまいちピンときていなかった。
彼も同じようなことをこぼしていた。だが、今の私にはそれだけで充分だった。彼に大事にされている。その事実だけで身体の内側から力がみなぎってくるようだった。

 ある日、いつもの店で会い、いつもと変わらないような料理を頼み、いつも通り他愛のない話をした後、いつものホテルに向かった。
私は彼とのセックスが好きだった。
今までマッチングアプリで出会った男とするのとは違う、確かな安心感と充足感がそこにはあった。
彼に触れられる度、まだ大丈夫、と思えた。
まだ大丈夫。私はまだ、大丈夫だ。
ホテルに着いて、彼は「今日はやめておこう」と私の誘いを断った。
いつも通りの幸せが、その瞬間、まるで急速冷凍されたみたいに凍りついて、割れた。

「どうして?」と静かに聞いた。
「君は大事な人だから。」と彼も静かに答えた。

涙が頬を伝う。熱い。
瞬間、私は自分の中に彼に女として見られていることへの喜びがあったことを実感した。
私は彼に求められて嬉しかったのだ。
彼に必要とされている。それだけで自分が価値のある人間なのだと思えていた。まだ大丈夫、まだ大丈夫と呪文のように唱えていたそれは、いつしか呪いに変わっていた。

「私への興味がなくなったの?」
声が震える。
「違うよ。それは違う。」
彼は依然として静かに答えた。
「じゃあ、何?大事なら変わらないでよ。」
涙が後から溢れてくる。頭がガンガンと痛む。

しばらく沈黙したあと、彼が口を開く。
「最初はアプリで出会ったただの女の子だった。でも今は違うよ。君の色んな一面を知って、1人の人としてすごく大事だと思うようになった。大事になればなるほど、そういう…一緒に寝たいとか、そういう感情がなくなってきちゃったんだ。…ごめんね。」

私もしばらく黙って、彼の言葉を反すうした。
しかし、考えるより先に言葉が、疑問が溢れてくる。

「私のこと、異性として好きなのか人として好きなのか分からないって言ってたじゃない?」
「うん。」
「それは、どうなの?今は。分かったの?」
「…うん。俺は君を、人として好きだよ。大事に思ってる。」
「そっか。」
「君は?分かった?」
「私は、」
ごく、と唾を飲み込む。
「私はあなたのこと、異性として好きだよ。」
溢れてくる。止まらない。
「分からないって言ったけど、本当はずっと好きだった。」
止めなくては。これ以上はだめだ。
「だからあなたに断られてすごく悲しかったの。女性としての魅力がなくなってしまったように感じて、すごく悲しかった。」
ああ、だめだ。もう止められない。ずっと喉の奥でせきとめていた言葉が、雪崩のように押し寄せてくる。

「私は、あなたのことが好き。」

先程よりももっと長く重い沈黙が流れた。
いつの間にか涙は乾いていたが、代わりに頭痛は増していく一方だった。

言ってしまった。
気づかないように、考えないようにしていたのに。
気づいてしまった。悲しんでしまった。止められなかった。
私は彼のそばにいられればそれだけで充分だ。それ以上は求めない。今のまま、今のままでずっといられたら。

「そうだったんだ。…そっか。」彼が沈黙を破る。
一呼吸おいて、彼が続ける。
「それならもう、尚更こんなことできないよ。」

止められないのなら、いっそもう全て言ってしまおう。
それは開き直りに近いような諦めだった。

私は「うん、そうだよね。」と答えた。
そしてにっこりと笑って続けた。
「じゃあ、もう諦めるね。」
彼は少し驚いたような顔をした。頬の上で乾いた涙の跡が軋む。
「もう諦めるから、今まで通りにして。普通に話して、たまに飲みに行って、それだけでいいから。」
頭が痛い。視界が歪む。
それでも、私の顔に張り付いた笑顔は崩れなかった。

 ピコピコとスマホが可愛い音を鳴らす。
通知欄にある彼の名前が表示されたメッセージには『今夜20時にいつもの店で!』と書かれている。
それをタップし慣れた手つきで『了解。先に入ってて』と返信した。

いつもの店で会い、いつもと変わらないような料理を頼み、いつも通り他愛のない話をした後、いつもの駅で別れた。

改札に向かって歩き始めた時、電車の発車音が鳴り響いた。
店を出るのがいつもより少し遅くなってしまったようだ。
走るのも面倒だし少し歩いて時間でも潰そう、と思い鞄から半分取り出していたICカードをもう一度しまいながらくるりと後ろを向き、来た方向を逆戻りした。
たくさんの人が改札に向かって流れてくる。その人波をかき分けながら、私はゆっくり逆走する。
人が多すぎて気を抜いたら後ろ向きのまま流されてしまいそうだ。まるで進む方向が間違っていないことを自分に言い聞かせるように、必死に前を見据える。
私にとって、この方向が”前”だ。
間違っていない。これでいい。大丈夫。
私は大丈夫。

駅前の人混みを抜け、大通りを少し進んだあと細い路地裏に入る。
あ、と思わず小さく声が漏れてしまった。
そこは以前彼といつも来ていたホテルだった。
まだ体が道を覚えていたようで、無意識にたどり着いてしまった。
そこら一帯はホテル街になっていたが、平日の夜だったためか閑散としていた。
先程までの人混みが嘘のように思えるほど静かな道を1人ゆっくり歩く。
彼とセックスをしなくなってしばらく経つが、不満はなかった。彼と離れることの方がよっぽど辛い。
彼は今日まで変わらず私を褒めてくれている。優しく包み込むような彼の空気も変わらない。
ただセックスをしなくなっただけ。本来これが当たり前なのだ。私たちは恋人じゃない。
変わったのではない、在るべき形に戻っただけだ。
なのに、どうしてこんなにも悲しいのだろう。
どうして私は泣いているんだろう。
涙で前が見えない。歩けない。もう、進めない。

私は、どうしたって彼が好きなのだ。

 ピコピコとスマホが可愛い音を鳴らす。
通知欄には宗一郎からの『今度、この前言ってた動物園に行かない?今パンダが見られるらしいよ🐼』というメッセージが表示されていた。
それをタップし、しばらく考えてから『いいね!行こう!パンダ楽しみだね🐼』と返信した。

 宗一郎とは母の紹介で知り合った。所謂お見合いというやつだ。特に乗り気ではなかったのだが、いつまでもフラフラしている娘を心配した母からの申し出は断れなかった。
宗一郎は私には勿体ないほど素敵な人だった。
人格も収入も、結婚するには充分すぎるほどだ。
新たな職を探す私を、急かすことなく見守ってくれている。
うまくいけば本当にこのまま一緒になるかもしれない。

 宗一郎と動物園に行った日の夜、私は自室の机の前に座っていた。
今日は本当に楽しかった。夢かと疑ってしまうほど穏やかな1日だった。
だからこそ、ケジメをつけなければいけない。
”前”に進まなくては。

そっと便箋を取り出し、ペンを握る。
私は彼に向けて手紙を書いた。

 近くの郵便ポストまで歩きながら、夜空を眺めた。
今日は快晴だったため星がきれいに輝いていた。
心地良い夜風が頬を撫でる。
イヤホンからはお気に入りの音楽たちが無作為に流れてくるが、辺りは不思議ととても静かに感じた。

ポストの前に着き、ふう、と一度呼吸をした。
これで、最後だ。
ポストに手紙を入れる。カサ、という音を立てて手紙が赤い箱の中に滑り落ちた。
くるりと後ろに向き直る。
ズン、と一歩踏み出す。
目線の先には、先程と全く変わらず煌々と輝く星々が散りばめられていた。

 歩き出して少ししてから懐かしい音楽が流れ始めた。
supercellの『君の知らない物語』。
流行ったのは何年前だろうか。
それまで全く耳に入ってこなかった音楽が、それだけは不思議なくらい自然に流れ込んでくる。

「いつも通りのある日の事」という歌詞から始まるお馴染みのAメロが聞こえてくる。
歌詞を取りこぼさないよう丁寧に耳をすませた。次第に歩調もゆっくりになっていく。
そのままサビに突入した途端、足が止まってしまった。
まるで体が歩を進めることを拒んでいるみたいに動かない。
相変わらず目の前には星が輝いていた。
次第にその光が鈍くぼやける。
広い夜空でチラチラと静かに光っていた光の粒が、大きなひとつの光となって、そっと流れ落ちた。
頬の熱さを冷ますように夜風がふわ、と流れる。

“真っ暗な世界から見上げた 夜空は星が降るようで
いつからだろう 君のことを追いかける私がいた
どうかお願い 驚かないで聞いてよ
私のこの想いを〟

「お久しぶりです。
手紙を書くなんて初めてで緊張するけれど、どうしてもちゃんと伝えたいことがあって筆を取りました。

あれからあまり連絡をしなくなったけれど、元気にしていますか?
あなたが健やかに、穏やかに毎日を送っていることを願っています。

“「あれがデネブ、アルタイル、ベガ」
君は指さす夏の大三角 覚えて空を見る
やっと見つけた織姫様 だけどどこだろう彦星様
これじゃひとりぼっち〟

先日、お見合いをしました。
今の時代にお見合いなんて…と思ったけれど、会ってみると案外とても素敵な方で、巡り合わせに感謝しています。
きっと幸せになれると確信しています。
だからこそ、今、あなたに手紙を書きました。

“楽しげなひとつ隣の君 私は何も言えなくて
本当はずっと君の事を どこかでわかっていた
見つかったって 届きはしない
だめだよ 泣かないで
そう言い聞かせた〟

あなたに電話をかけた日のこと
あなたにたくさん褒めてもらったこと
あなたが話してくれたこと
いつものお店、いつもの道、いつもの電車
あなたに好きだと伝えた日
全て鮮明に覚えています。

そして、その全てを大切な思い出にするために、伝えさせてください。

私はあなたが大好きでした。

“強がる私は臆病で 興味がないようなふりをしてた
だけど
胸を指す痛みは増してく
ああそうか 好きになるって こういう事なんだね〟

いつからかは分からないけれど、諦めると言ったあとも、ずっとずっと、大好きでした。
私はあなたのそばにいられて本当に幸せだったよ。
悲しいこともあったけれど、それも含めて愛しい時間でした。

あの頃、前も後ろも分からない子どものような私に優しく手を差し伸べてくれてありがとう。
あなたがいなければ、今の私はありません。
遠回りだったかもしれないけれど、あなたと一緒に迷えて楽しかった。
たくさん迷って、やっと本当に前を向けました。
出会ってくれてありがとう。心から感謝しています。

“どうしたい?言ってごらん
心の声がする
君の隣がいい 真実は残酷だ〟

“言わなかった
言えなかった
二度と戻れない〟

あなたの進む道が幸せでありますように。
ずっと願っています。」

いつも通り駅に向かって歩く。
駅に入ると改札前は仕事終わりの人でごった返していた。
鞄からICカードを取り出し改札を通る。
いつものホームでいつもの電車を待つ。
轟音とともに停車した電車に列をなして待っていた人達がのろのろと乗り込む。
この時間の電車はそこそこ混んでいるので座れない。
適当に近くの吊革を掴み、スマホを取り出して音楽を再生した。
イヤホンから無作為に流れてくるお気に入りの音楽たちに耳をすませながら、あっという間に流れてしまう景色を眺めていた。

自宅が近くなってきたところで明かりがついているのに気づいた。
そういえば今日は私の方が遅い日だったな、と思いながら疲れた足を動かす。
玄関を開けると「おかえりー!」という宗一郎の声がリビングから聞こえてくる。
ただいまと言いながらリビングに入ると、まだ幼い息子が笑顔でとことこと歩いてきた。
ただいま、と改めて息子に告げながら抱きしめる。

「思ったより早かったね」と宗一郎が言う。
「うん、予想より仕事の進みがよくて早く帰れたよ」と寝室で着替えながら答えた。
「ご飯すぐ食べるよね?味噌汁温めないと」と忙しそうに動き回る宗一郎の背中にありがとうと伝えた。
「さっき換気した時寝室の窓開けっ放しかも。閉めておいてくれる?」とキッチンから宗一郎が声を張った。
はーいと返事をしながらカーテンを開ける。

とても星が綺麗な夜だった。

“あの夏の日 きらめく星
今でも思い出せるよ
笑った顔も 怒った顔も
大好きでした おかしいよね わかってたのに
君の知らない 私だけの秘密〟

君の知らない物語/supercell

夜を越えて 遠い思い出の君が
指をさす 無邪気な声で

人という字は、ひととひとが支え合ってできていますね?ではどうすればいいか、あなたならもう分かっているはず。よろしくお願いします。(いただいたサポートは諸活動の糧とさせていただきます!!)