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うつ伏せ

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不定期ながらもエッセイを上げていきます。 今までの詩はマガジンの『不偏な日々に花束を』にてご覧頂けます。
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2020年8月の記事一覧

感覚

3時50分。布団の中から早めのおはよう。 靴下を二枚重ねて履いている感覚が嫌で脱いでしまった。うつ伏せで書いているため布団からはみ出た上半身は、うすら寒い。 雨が降っている。強く屋根や窓に中る雨音から物語るべくはなにもない。 今日はたった一人の、じぃちゃんの命日だ。少ない親戚が集まるらしいが膝を壊しあまり歩けない私は参加しない。バスなら行ける距離ではあるがバス停から歩かなくてはならない。 苦手なのだ、明るい装いをするのもされるのも両方。親戚たちは私の本当の病気を知らな

振動

伝わる心臓の音に安堵して、ゆっくり眠りに入る。懐かしく、遠く、手離した、その感覚に未練はなくて今は一人揺れる夏、ゆらゆら鈴虫の声が愛おしい。 欲しい物はそれ程無く、一日が24時間など誰が決めたと云うのか、時がもっと欲しい。『月とキャベツ』という映画のシーンに似た処へ引っ越して、じわじわと人生の瞬間を生き始めようとしている。 子供だ、としんしん思うのは全て一人で出来ないことへの苛立ちなのだと気づく。 全て一人で物事やってのける、なんてできないのかも知れないと思う、矛盾。 「