処世術としての 偏見と常識と

座右の銘は

「常識とは18歳までに集めた偏見のコレクションである」

正式なものかわからないがアインシュタインが残したと言われる言葉。


自身におきたフラットな偏見と良い偏見、悪い偏見

3つのケースから。


初めて感じたの偏見と常識

東京で一人暮らしをしていたときの話

彼女が泊まりに来て、お風呂に入る事がある。

最初は気が付かなかったが、彼女がオフロに入ったあと私がお風呂に入ると身体を洗うナイロンのタオルが濡れていた。

あれ?

お風呂をでて彼女に聞いた。

「あの体洗うやつ使った?」

「うん借りたよー」

とのことだった。

私の実家では家族一人一枚専用のナイロンタオルがあるしかし、彼女のうちでは一枚を家族で使い合いっこしていた。

私は彼女の家に行ったときはハンドタオルもしくは手で身体を洗っていた。別に不潔だとかどっちが正しいなんて言うことはないのだけれど、

そしてよく聞くとバスタオルも家族で共用している。家族でバスタオルを使いきったら毎日洗濯しているそうだ。私の家は家族それぞれのバスタオルで2,3日に一回洗濯するというもの。

そこから私は学校の友だち、バイト先の人たちに独自調査を開始した。

意外な事にナイロンタオルの共有率は50%程度だった。

みんなそんな事を聞かれた事がなかったらしくそしてその事実を伝えると大変おどろいていたし、そんな事を調べている私にも驚いていた。

別に大した話ではないけど、至極当たり前とおもっている事が偏見であるという事を認識した一件。

中国からきた朱(しゅ)さんとの会話

私は19歳の時夜勤の工場でしばらく働いた事がある。

そこで朱さんという中国の35才くらいの人がいた。当時はおじさんとおもっていたが40の自分のほうがさらにおじさんになってしまった。

深夜労働という事もあってバリバリのヤンキーや、引きこもり寸前の根暗な人。太っちょオタク。リストラされたおじさん多様なちょっと訳ありっぽい属性の人がいた。

多くの人はどこか歪な性格をしており、適度な距離感で同じ職場の人として働いていたが、朱さんはいつも朗らかで明るい雰囲気と人懐っこい性格をしていた。いつもちょっと可愛いカタコトで「元気?慣れた?」と入ったばかりの私に気配りをしてくれた。

次第に朱さんと話す機会が多くなってきた。中国の株はストップ高がないので儲かるときは一夜にして大金持ちになるんだという経済の話から中国で先生をしていたがなかなか稼ぎがよくならないので娘と奥さんをつれて日本に来たこと。そして、ぜひ今度奥さんの手料理を食べに来てください!って食事まで誘ってもらった。他のバイトの大人より、経済や政治に精通し、家族のための挑戦し、人をもてなす心遣いができる立派な大人の人に映った。

田舎に住んでいた私にとっては初めて知り合った中国人。彼によって私はとても中国の人には好意をもっている。メディアや人から聞く中国の人が良くないという話を聞くがそれはその人がマナー違反しているだけであって、私の知る限りではとてもいい人もいるんだと言うこと。そしてそれが20年近く変わらない印象である。彼の人に対する姿勢によって親中派のわたしが生まれた事は私も海外の人と接する時海外での振る舞いの指針となった良い事例。


ラッキーストライク?!最低!日本の恥じだ!

私が23歳の時の彼女は早稲田大学に通っている学生だった。彼女の周りの友達は、やれアナウンサーになったり、外資の金融につとめたりと優秀な人ばかりだった。会話する機会があると皆知的で気配りもできる素晴らしい人ばかりだった。

そんな中、一人帰国子女で主張の強い女性の友達がいた。彼女をすごく大事にしてくれる姉貴分のような人ということで、初めてお会いした。外資金融にも内定が決まり人生勝ち組の人だ。とても楽しみにしていた。

当時私はタバコを吸っていた。

「俺たちの日」というアメリカのストリートの少年たちが成長し周りがギャングになったり人生うまくいかなかったりしながら大人にになっていく話。その中で出てくるピートカラスと言う主人公がラッキーストライクを吸っていてそれに感化されラッキーストライクを吸っていた。

その彼女の友人は私がテーブルにおいたラッキーストライクを見た瞬間

「えーなんでラッキーストライクなんて吸ってるの?それって原爆を日本に落とした時にアメリカ兵が「lucky strike」って言った言葉のタバコなんだよ、そんなタバコを吸ってるなんて最低、日本人として恥ずかしくないの?」と言われた。

「まって、初対面だよ!友達の彼氏だよ!」と心のなかで叫んだ。

そのあとは「だから日本は・・・」とか何かとくさする話ばかりなこともあり、彼女の言葉は私に届かなくなった。

私の帰国子女への偏見はこうして生まれた。自身の知った事が正しくてそうでないものを批判して正義をかざしてしまうと言う傾向。全てでは無いが他の人が知らないことを知っていると驕りが生まれるんだと言うことを感じた悪い事例

ちなみにラッキーストライクはアメリカの開拓時代のゴールドラッシュ金鉱を掘り当てたときの「Lucky Strike」であること。そしてその「ラッキーストライク」の包装デザインはアメリカの著名な工業デザイナーのレイモンド・ローウィであり彼は1952年に日本のタバコ「Peace」にアメリカの平和の象徴の鳩に日本の風土をイメージした紺を合わせてデザインしたもので、終戦直後に日本とアメリカで作った平和の象徴であることを誇りに思っているという事をつたえた。

彼女がそれ以降間違った偏見ででアメリカ人に戦争批判することがなくなって日本人が嫌われないとなると良いことをしたかなと思っている。


こういう事があり、のちに先述したアインシュタインのセリフに出会い「ああ、面白いな」と感じ、自分の中で正しいと思うことって言うのは案外偏見であると客観視する癖をつけ、「そんなの常識だろ!」って自分の常識を振りかざして来る人には注意するようにしている。





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