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夏がはじまるよ

まだ朝日が昇る少し前にうっすらと空が白んだあたり
シャワーのような音と共に男梅雨
陽射しで路の露が気化熱で舞い上がり
抜けてゆく涼しさが心地よい

何十回目かの夏がすぐそこまで来ている予感
夏に生まれたくせに、夏は昔から好きでも嫌いでもない
ただちょっとだけ、せつない気持ちになる
たぶん夏に家の庭でやっていた線香花火のせいだ

小さい頃家でする花火は夏休みの終わりを意味していた
すべての花火の中でも線香花火は最後の大取りだった
あの火球が落ちると夏休みが終わる

楽しい夏休みも終わってしまう悲しさには敵わない

事のはじまりは、同時に終わりがあることを意味する
だから夏のはじまりはいつも、夏の終わりを想像してしまう
そして、ちょっぴり切なくなってしまう

すべて夏のせいにできた時期はとっくのとうに終わってしまっていて
若気の至りはいつまで有効なのかわからないけど
半分照れ隠しではにかんでいるような歳でもない
夏休みの宿題もないし、ひと夏のアバンチュールもない

過去の懐かしさと過ぎ去っていった思い出を差し引いて
残ったものが今のボクの目の前にある夏ってやつだ
好きも嫌いも過去の経験からくるものだから
今年の夏には関係ないし
繰り返される夏は一つもない

ただ一つ言えることは
つまらない夏は一度もなかったし、惜しまなかった夏の終わりはない
全力で夏を感じて
初秋の頃にはせつなくなっているんだろうな

何十回も繰り返される四季の繰り返しの中で
飽きもせずに毎年毎年、季節を感じられる事に感謝して
今年も一回限りの今年の夏を待つことにしよう


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