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酒を飲むと

酒を飲むと、修業の妨げになる。
酒を飲むと、常の修養が乱れる。
酒を飲むと、意思が弱くなる。
酒を飲むと、立身がおぼつかない。――などと考えてござるなら、
お前さんは大したものになれない。

宮本武蔵 四 風の巻 / 吉川英治

毒を喰らい毒を制す
アルコールなんて身体にとって、特に脳にとってはさ
百害あって一利なし
じゃあなんで呑むのと問われれば
そりゃあ、毒で痺れて旨いと勘違いしているからだろうな
そりゃあ、毒でやられて楽しいと誤解しているからだろうな
でもさ、そんな毒を喰らってパルプンテが起きて
旨くて楽しくて愉快だなっていうのも
仮に毒の魅せている幻覚だとしても
人はその幻想的な桃源郷に行ってみたくなるものだよ
呑んだ次の日は頭痛いし、腹は調子悪いし
やたら眠たいし、なにより口が臭い
この世の地獄とまでは言わないけれど
世の中の世知辛さとか怠さとか無駄に込み上げてきて
吐きそうになるよね
でも昨日トイレで胃液と共に吐いたのは酒という魔法の原液だった
眼鏡のポッターだろうがファンタスちっくなビーストだろうが
魔法が切れたら、そりゃあしょうもない
本当にしょうもない

酒と人の付き合いはさ
お酒は紀元前4,000年ほど前からあるので
ざっとかれこれ6,000年くらいの付き合い
そんな長い間呑み続けてるので、遺伝子にも染み込んでいるはずさ
だからちょっとやそっとでやめられないものね
やめられないからさ、もう惰性なんだよ
そういう倦怠期を超えた仮面夫婦みたいな関係なんだよ
毎回同じルーティンでさ
やっぱり人ってやつは学習しねぇなって思われてさ
学習能力が低いからこそ毎回盛りのついた猿みたく吞むんだよ
毎回が初回みたいでさ
どこかの初回荒らしみたいにホスラブで叩かれるくらいにして
毎日がバージンで毎日が童貞だよな、そりゃしょうもない
本当にしょうもない

ある日突然、突然さ
何気につけた朝のTV情報番組でさ
「あと一週間で地球が終わります」とか報道されてさ
あぁ、これで毎朝枕に落ちている抜け毛を数える憂鬱な気分とおさらばだと少しばかりの希望と絶望に襲われて
とりあえず
来月の散髪の予約をホットペッパービューティーで入れちゃったりするんだ
積読してたパンドラの匣と豊饒の海の四巻目だけ読んでねぇなとか
ふと思い出すんだけど、いろいろ手遅れでさ
とりあえず残された一週間をどう過ごすかってのを考えるのに一日使って
結局考えた挙句、普通に過ごすしかなくて
それだと面白みがないなーって思いだして
残り三日前あたりからスーパードライ呑みはじめるんだよ
んで最終日にとてつもない二日酔いで後悔の最中
地球が崩壊する
なにがすごいって
こんなクソみたいな文章が素面でかけたりするんだよな
本当にしょうもない
しょうもな




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