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鎌倉低山散歩

 梅雨の晴れ間に鎌倉の低山を歩いてきました。鎌倉でハイキングというとご当地アルプス「鎌倉アルプス」が有名で、いつも同じルートばかり歩いてしまいます。たまには新しいところを歩きたいという事で今回は鎌倉周辺の行ったことのない低山を繋いでみました。
 人の多いアジサイの名所にはほとんど近づいていませんが、鎌倉の町はどこでもアジサイが見られ楽しく歩いてくることができました。

時期

 6月 梅雨

アクセス

 横須賀線で東京駅から鎌倉まで約1時間です。
 鎌倉から極楽寺までは江ノ島電鉄で7分です。

紹介ルート

 極楽寺駅~大仏切通~八雲神社~峯山~桔梗山~銭新井弁天~源氏山~化粧坂切通~海蔵寺~亀ヶ谷坂切通~長寿寺~鶴岡八幡宮~衣張山~名越切通~由比ヶ浜
距離:17.3km 登り:697m 下り:718m


極楽寺駅~常盤大仏切通

 週末は混雑する江ノ島電鉄ですが7時頃は未だガラガラです。極楽寺で下りると駅前にもアジサイが咲いていて良い雰囲気です。
 鎌倉方向に少し戻り、橋を渡ると駅の反対側に極楽寺があります。境内にはアジサイが咲いていますが、開門は9時なので朝早く着いてしまうとアジサイ観賞はできません。
 橋を渡った道を真っすぐ歩いて行くと、2つの校舎が道の両側にあり中廊下が公道を跨いでいる小学校があります。ここの手前を右へと入っていきます。
 住宅地ですが個人宅のアジサイが綺麗に咲いていて名所でなくても鑑賞しながら楽しく歩くことができます。次第に坂を登り丘を越えていくと大仏ハイキングコースに合流します。

町中のアジサイ

 合流地点から下って真っすぐ行けば鎌倉大仏を見に行くことができますが、今日は逆方向の大仏切通を登っていきます。

大仏切通~常盤八雲神社

 大仏切通の最後の方に解説版があり、階段を登ると古い切通の壁を観ることができます。この切通は鎌倉七口の一つです。この道の少し下に隧道ができ広い道が通ったため、大仏切通は当時の姿を残していられた様です。

大仏切通

 昨日の大雨のせいで水浸しになった道を進んでいくと「火の見下」バス停のある広い通りに出ます。暫く歩くと右手に神社が見えるので、路地を通って常盤八雲神社前にちょっとだけショートカットしましょう。
 この神社は昔、山向こうの梶原に在ったご神体が大雨で流され、この辺りの農民が拾ってこちらにお祭りしたものの様です。
 主神は素戔嗚尊で除災祈願の神社です。階段は大したことは無いので、ちょっと立ち寄ってお参りしていきましょう。

常盤八雲神社

常盤八雲神社~峯山

 目の前の通りを北に進むとブロック塀に「←峯山」の案内表示があります。この路地に入っていきます。
 住宅地の路地ですが、すぐに山道になります。雑木林で木々に変化があり楽しく歩けます。途中で直登ルートと巻き道がありますが、どちらを歩いてもそれほど違いはありません。
 峯山は僅か98mの山なので、あっという間に山頂に着きます。里山らしく山頂碑などはありません。

峯山

 山頂近くにはリスが沢山居て、人の気配を感じて急いでと木の上に走っていきます。恐らく最近問題になっている外来種の台湾リスだと思うので、野生動物に餌付けはもともと禁止ですが、これ以上増殖しない様に餌付け等は絶対にやめましょう!
 実はこの山頂には木の隙間から富士山を見ることができる非常に限定的な場所があります。山頂に行ったら是非探してみてください。

峯山~桔梗山

 峯山の先に進みます。途中に分岐もありますが暫くはまっすぐ進めばOKです。
 暫く歩くと野村総合研究所跡地の建物の裏手に出ます。ここにアジサイが少し群生しているので立ち寄って鑑賞していきましょう。

野村総合研究所跡地のアジサイ

 ハイキングコースに戻ってさらに先に歩いて行きます。左手に鎌倉市が管理している竹林があり、作業用の枝道が沢山ありますが、とにかく道なりにまっすぐ進んでいくと野村総合研所跡地のグラウンドに出ます。ここまで出てしまうとちょっと行き過ぎです。グラウンドの手前に戻って一つ目の道を登っていきます。夏場のせいか、草木が多くちょっとわかりづらいですが踏み跡に従って進んでいきましょう。
 道がなだらかになったら藪の中にベンチがあります。この時期は蚊に刺されるので休むには不適ですが、ふと脇を見ると竹で作った手作りの山頂標識に「桔梗山」と書かれています。どうやらここが山頂の様です。残念ながら展望もないので、ジャブ刺されない内に先に進みます。

桔梗山

桔梗山~銭洗弁天

 左に下る枝道が2つくらいありますが、無視してとにかく真っすぐ進んでいくと広い未舗装路に出ます。この道が大仏切通のあたりから直接源氏山公園に向かう「大仏ハイキングコース」です。出て左、源氏山公園に向かって歩いて行きます。
 舗装路に出てすぐ右側に鎌倉の海が見える場所があるので遠望しながら解放感を味わいます。ここまでちょっと藪感が多かったので気分もすっきりです。
 このまま源氏山公園にある源氏山に登るつもりですが、鎌倉の銭洗弁天がすぐ近くなのでハイキングコースから離れて立ち寄っていきましょう!

銭洗弁財天宇賀福神社

 鳥居の先が洞窟になっていて、洞窟を抜けると境内に入れます。右手の建物で笊(用返却)と蝋燭と線香がセットになった銭洗いセットを見つけたので200円を納めて受け取ります。
 線香を炊き、蝋燭を灯したら洞窟の中に入ります。笊にお金を入れ置いてあるひしゃくで湧水をすくってお金にかけます。笊の返却場所が近くにあるので笊は返します。

銭洗セット

 ここで大事なのは、水をかけたお金を”使わないと”何倍にもなって返ってこないという事です。洗った後大切に保管しては意味がありませんので、よく使うお金をを洗いましょう!あまりがっついて高額紙幣を洗ってしまうと、干してもシオシオのままで自動販売機などで認識しなくなり、なかなか使えなくなるので注意しましょう!
 境内には上之水神・下之水神の水神様もいらっしゃいましたので、登山中は雨が降らない様に、そちらもお参りしていきました。 

銭洗弁天~海蔵寺

 ハイキングコースに戻って源氏山公園に入っていきます。大きな公衆トイレのある広場を右に入り、階段を登っていくと山頂があります。山頂碑などは無く祠がポツンと立っています。

源氏山

 展望は多少ありますがこれといったものは見えませんでした。
 山頂の少し下にアジサイが綺麗に咲いていたので、そちらをしばらく眺めてから次の目的地を目指すことにします。
 源頼朝公像などを眺めつつ少し道を戻ると、化粧坂切通へ下る分岐があります。ちょっと古めの石碑には「平家の大将の首を取ってその首に化粧をして・・・」とちょっと怖いことが書かれています。鎌倉防衛の要所だったらしく新田義貞の鎌倉攻めの時の戦場になった場所でもあります。
 行き止まり迄下ったら左へ。暫く歩いて行くと行き止まりに海蔵寺がありますので、ちょっと立ち寄っていきます。
 海蔵寺には色々な言い伝えが残っているらしく見どころがいくつかあります。何故か「十六ノ井」だけ拝観料が必要で、境内で100円を納めてから見に行く必要があります。他にも「啼薬師」や「底抜ノ井戸」など面白い言い伝えがあります。

海蔵寺

海蔵寺~長寿寺

 海蔵寺から来た道を戻り、先ほど左に曲がったT字路を真っすぐに進んでいきます。化粧坂から源氏山公園へ観光する人が多いらしくなかなか人通りがありました。
 レンガ造りガード下をくぐり、その先のお堂を左に曲がります。ちなみにこのお堂は「舟形地蔵堂」で源頼朝の娘、大姫の供養のために建てられたものだそうです。
 真っすぐ進んでいくと切通の上り坂になります。ここが「亀ヶ谷坂」です。この坂には建長寺の池の亀が「もっとこの世を見てみたい」と旅立ったものの、この坂が大変で引き返したという逸話かあります。因みに建長寺は切通を通り抜けるとすぐのところにあるので、亀さんの世の中かなり狭かったな~と感じます。

亀ヶ谷坂切通

 切通を抜けて広い通りに出た左側が長寿寺です。入口に「季節曜日限定」の文字があったので限定につられてちょっと寄っていきます(拝観料300円)。
 長寿寺は苔庭の美しいお寺です。本堂に上がり、御本尊にお参りした後は建物内が解放されていて、座って日本庭園を楽しむことができます。ただし!建物内会話禁止!動画撮影禁止!写真撮影目的の配管も禁止です(参拝ついでにちょっと撮るのはOKらしい)!おかげで建物内は静かです。鎌倉の海風が気持ちよく、少々のんびりしすぎました。敷地内には足利義光公の墓もあり、奥の方にアジサイが咲いている場所もあって立ち寄りお勧めスポットでした。

日本庭園の美しさの肝は綺麗な苔

長寿寺~衣張山

 長寿寺を出てすぐの建長寺は観光名所なので今日も大盛況でした。鎌倉アルプスを歩く場合はここから入っていきますが本日はスルーしてそのまま舗装路を鶴岡八幡宮へと歩きます。
 鶴岡八幡宮ももちろん有名観光地なので大盛況です。何度か中に入ったことがあるので本日は外から眺めるだけにして通り抜けます。
 敷地内の池で鯉に餌を上げられる場所がありますが、あげているのは外国の方だけでした。ただ、この方々が鯉の餌を鳩にもあげてしまうため、鳩が肩や手に乗って持っている餌を要求したりして結構攻撃的になっていました。のちのち問題にならないと良いのですが・・・。
 境内の池の蓮はまだ蕾の方が多くこれからといった感じ。

鶴岡八幡宮

 あまり人通りのない東の門から出たら舗装路を真っすぐ歩いて行きます。お腹が空いたので途中良いところがあったら寄っていこうと思いながら歩いていましたが、今日の気分に合うお店がみつからず。
 十一面観音の幟が左手に見えたら右に入って川沿いを歩いて行きます。この辺から平成巡礼道という看板に従って登っていきます。
 結局お腹を空かせたまま衣張山に突入することになってしまいました。町中は気温が32℃でしたが山道に入ったら28℃まで下がります。森は偉大ですね。大事にしたいです。
 衣張山の道は巡礼道だけあってよく整備されていますが、夏草が生え放題で倒木も放置されているので時々アスレチックな場所があります。登りが一段落すると玉繩桜の木が在り、枝に衣張山のプレートが下がっていますが、山頂?といった感じ。道は未だ登っていきます。先にすすむと森が開け富士山、箱根山、丹沢山等を望むことができます。

富士山が見える展望地

 さらに進んでいくと、左手の草むらの中に地味に石柱が立っていました。覗いてみると三等三角点です。おそらくここが衣張山の山頂でしょう。周囲にはこれといった表示は何もありませんので見落とさないよう注意しましょう。三角点の先にはお地蔵さまや庚申塔がひっそりと建っていて海側の展望が開けた場所があります。

衣張山~名越切通

 明日の雨予報に先立って雲が少し増えてきたようです。天候が急変すると嫌なので名越切通の方に降りていきます。こちらも夏草が少々邪魔に感じる道でした。
 割とすぐ住宅地が見えてきます。住宅地の近くには「関東の富士見百景」の展望地があり、鎌倉からの富士を眺めることができます。山の上より展望は良かったです。
 さらに歩いて行くとパノラマ台への分岐があります。予定コースではありませんが時間があるので寄っていくことにします。この寄り道も正解でした!パノラマ台にはヤマユリも咲いていて、今日一番のビュースポットでした。鎌倉の海と富士山が楽しめます。立ち寄り推奨です!

パノラマ台

 ハイキングコースに戻って先に進むと今度は大切岸という場所に出ました。大切岸は古い採石場跡の様です。空が開け、岩壁にも迫力があり非常に景観が良い場所でした。

大切岸

 大切岸を抜けると直ぐに史跡名越切通の石柱が建っていますが、暫くは切通らしくありません。もう少し下ったところで別の山道に合流します。ここが名越切通の様です。
 名越切通には「まんだら堂やぐら群」という場所があるようなので足を延ばしてみましたが、残念ながら6月2日で公開終了になっていました。どうやら限定公開の場所で次回公開予定は10月の様です。ゲートの金網越しに覗いてみると囲まれた岩壁に穴が開いていて、そこに神様が安置されて曼荼羅を形作っている様です。機会があったら公開中に立ち寄ってみたいと思います。 

名越切通~由比ヶ浜

 名越切通から折り返して鎌倉大町方面に降りていきます。住宅地に出るととても綺麗にアジサイが咲いています。どうやらここも個人宅のアジサイの様です。
 線路を越えて海に向かって歩きます。「まだ歩けるけどどうしよう?極楽寺まで戻ってみようか?」等と考えながら歩いていると、LURE’Sというお店を見つけました。ランチタイムメニューを覗くと特製メンチカツのランチとランチワインがあったので立ち寄ることにします。窓から海風が入ってきてエアコンがなくても丁度良い感じです。
 こちらのメンチカツは大きな一枚メンチで食べごたえがあり、デザート付きでとても美味しく立ち寄り大正解でした!ついついランチワインまで飲んでしまったのでほろ酔いしてしまいました。

LURE'Sでメンチカツランチ

 外に出ると酔いと暑さでもう歩く気にはならず、この先の由比ヶ浜をゴール決めます。
 海に出ると海の家は未だ準備中らしく工事の音が聞こえていました。それでも浜辺には既に日焼けを楽しむ人、海水浴を楽しんでいる子供たちが居て、海の上にはサーフィンやウィンドサーフィンを楽しむ人が沢山浮かんでいました。既に鎌倉の夏は始まっているようです。
 私も靴を脱ぎ、トレッキングパンツをロールアップして波打ち際を歩いてみます。冷たい海水と温かい海水が混ざっていて、足の裏に感じる感触も楽し気です。下山後の波打ち際歩きって気持ちいいな~と思いながら暫く砂浜を歩いて本日は終了にしたいと思います。

由比ヶ浜

豆知識

銭洗弁天(鎌倉銭洗弁財天宇賀福神社)

 銭洗弁天は元々、源頼朝が天下太平(鎌倉幕府創建)を願い、宇賀福神のお告げに従ってここの湧水で神仏供養を行ったことに由来します。この時点では鎌倉幕府創設のご利益で、お金が増える逸話があったわけではなかったようです。
 その後、北条時頼が辛巳(かのとみ)の日(おそらく「金富」の縁起担ぎ)に持っている金銭を洗うと、不浄が清められ清浄な福銭となるといって参拝することを大いに奨励したことから、ここでお金を洗って使うと何倍にもなって返ってくるといわれる様になったようです。
 この辛巳は60日に1回訪れます。個人的な推測としては、定期的な参拝で人を集めてお金を使わせることで経済を発展させようとしたのではないか?と思いますがいかがでしょうか?ちなみに私が行った日は残念ながら丁巳(ひのとみ)でした。
 登山もそれなりにお金がかかるので何倍にも増えるといいなと思います。

啼薬師(海蔵寺)

 海蔵寺の仏殿には薬師如来像が安置されていますが、この像の中にはもう一つの薬師如来像が入っている様です。
 その昔、古い墓石の下から鳴き声が聞こえたので調べてみると、金色の光を放つ墓石が見つかりました。墓石に袈裟を掛けると泣き止んだので、翌朝掘り返してみると立派な薬師如来像が出てきたとの事。中に入っている啼薬師はこの時見つかった像とのことです。、

動画



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