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あれ、初対面で嫌われた

笑顔で「こんにちは!」といえば、相手だって笑顔で返してくれる。

そんなふうに思えていたのは、よほど恵まれていたのかもしれない。

ドイツでルームシェアをしてたころ。

ルームメイトは、全員ヨーロッパ人。その中の1人、ドイツ人男性に、初対面で嫌われた。ハーイと言った瞬間、むしろ言う前に嫌われてた。

最初の目つきですぐわかった。

以後、とにもかくにも、私にだけ当たりがキツイ。

掃除は週割りでやっていたのだが、初めての私の掃除が終わった日、彼は私のドアを激しくノックした。

そして、掃除のやり方について怒ってきた。

ここも汚い!不潔だ!と再掃除を命じられたのはほこりのたまった天井のすみっこ。

いやいや、最初大掃除みんなでしたときですらそんなとこ掃除してなかったやん。

このほこりのたまり方は、ずっと掃除してないやん。それでも私のせいなのだ。同じルームメイトの女の子にも同情の目で見られ、慰められた。

それ以外にも、食器をあらったあと、スポンジに洗剤が残っているとこれまた不潔だと怒られた。もんで出た泡を見せられた。

私は、もちろん、スポンジの使い方の勉強をしたいと純粋に思い、そいつがスポンジを使ったあと素早くチェックしに行った。そこに置かれていたのは、もはやスポンジというより泡のかたまりであった。もんでも、もんでも泡しか出ない。握力が1の人が握っても泡が出まくるんじゃないかってくらい泡まみれ。

語り尽くせないが。

以降、私は年末ミルク作戦など巧妙な手口で、このドイツ人の心を掴んでいく、がここでは割愛する。

私の帰国が近づくころには、「今までのルームメイトのアジア人は全員不潔だし、大嫌いだったが、君だけは別だ。いつかかならず日本に行きたい」と言ってきた。

そう、彼にはトラウマがあったのだ。過去接してきた人たちから独自の人間判断の型をつくり、私を初対面で嫌っていたのだ。

その時、私は腑に落ちた。まあ、日本にきたからって案内するかは別問題だが。

就活の面接とか、あ、もう初対面でだめだなってことは数回あった。

これって、多分、その人達の中で過去接してきた人のデータベースみたいなのがあらかじめあって、そのセンサーにビビッときちゃったんだろうな。

私も、あ、この面接官無理と過去のデータベースを光速検索して反応している時がある。昔、バイト先で新人いびりが大好きだったばあさんに目元がそっくりだとか。

しっかり歯を磨き、しっかりお風呂に入り、しっかり身だしなみをととのえた上で、初対面で嫌われたら。それならもう、過去の自分に似た誰かのせいにしたらいいよ。

77億人もいるこの世界で、いちいちひとりひとりの個人的な相性診断でショックを受けてらんない。

76億9999万人くらいに嫌われたら、ちょっぴり考え直すけど。

その時は、その時だ。

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