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VERBE〜動詞的な日常

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「動詞としての文化」とは何かの考察
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2020年7月の記事一覧

現実を塗りつぶす虚構としての現実

現実を塗りつぶす虚構としての現実

他者による物語の構築は他者に委ねねばならない。当たり前のことだが、これが面倒を生む。他者による一方的な物語の押しつけが、自分の物語をむしばんでいく——人の中に存在するときにしばしば感じる印象だ。そういった多様な物語の中で、自分という極小の存在はつねに溺れ死にそうになる。人生には様々な「税」があるが、他者の恣意的な物語の重税につねに喘いでいる。そして自分もまた無自覚のうちに他者から重税を取り立ててい

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未知なるものを前にするとき

未知なるものを前にするとき

職場とはまったく関係ないところで若者と話し、言葉が通じないことに驚いた。日々フランス語教育によるジェネリックスキル強化を提唱しているが、若者と話せない時点で僕はまだまだ未熟である。

こちらが「前提」と思い込むことは、多くの場合において他者に伝わらない。そして他者もまた自分の前提で生きている。僕と他者の前には空隙が横たわっており、それを一つずつ埋めていくことが必要だ。そのための手段を僕は「学問」あ

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時間を譲り渡す

時間を譲り渡す

スーパーファミコンで時代が止まっている僕にとって、「マンインクラフト」「あつまれどうぶつの森」といったゲームは未知の世界であり、すでに五歳の息子に勝てる気がしない。両者ともに自分の世界を構築するゲームであり、息子はひたすら勤勉にエリア内を作り上げている。いわば自分の「城」を持ちたいという根源的な欲望だろう。世界を創造し、コントロールする。自分がルールとなり、他者の強制
に無縁な世界を生きたいという

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目に見えるものの背後に目を向ける

目に見えるものの背後に目を向ける

オンライン授業にもいくつかのパターンがある。だいたいの授業はリアルタイム(ZOOMなどを使用)で進められているが、僕の授業はほとんどがオンデマンド(YouTubeでの録画の配信)だ。四月頃の段階で「ZOOMで90分は現実できではない」と思っていたが、僕の予想とは裏腹に大部分の授業がZOOMでの双方向で進められていく。ひょっとしたらオンデマンドはマイノリティに属するのかもしれない。

だが、少なくと

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