見出し画像

可能主義でありたいおっちゃまのつぶやき

自分になにができるのかを知ることが辛い人がこの世の中にはいる。

昔いっしょに働いたことがある同僚の話である。
彼は自分の仕事のやり方に固執するところがあり、他人の助言をいれるどころか、業務の資料すら信用しようとしない変な人だった。

仕事で成果をだしているほかの同僚の行動を参考にすることもなく、ひたすら我が道を走りつづけ、仕事をサボっているにもかかわらず、休憩時間を削って仕事をしている振りをしたり、20分遅れの電車遅延があればその電車遅延を理由に1時間以上遅れて出勤するなど相当好き放題やっていた。

決められた休憩時間を軽くオーバーし、自分のミスを他人に押し付けようとして、そもそもミスの原因も内容もよく理解していないから押し付けることすら失敗し、周囲からの信用をどんどん失っていくような、まるで自ら望んで地獄に転がっていく、まさにそんな光景をぼくは間近で見ていた。
まるで自ら失敗するために行動を続けているように見え、そして事実そうだった。

ある仕事の研修で、自分の対応を確認しできている点をあげるというのがあったのだけど、その同僚は心底辛そうな表情をしたのだ。

ぼくはその表情を見て、やっぱりと思いつつも失敗している事実にどこか安心する人がいるんだと知った。

その人のセルフイメージはたぶん「失敗する自分」なんだと思う。つねに失敗している自分を思い描いて生きている人。
行動した結果おこると予測しているものが「失敗」の場合、人の脳は失敗するように行動する。おこってもいない未来の結果に振り回され、今何をするかに集中できないからなのかもしれない。だから失敗すると「ああ、やっぱり自分にはできなかった」と思ってストレスをふところに感じながら、どこか安心しているのではないだろうか?

そんな人にとって、「やればできる!」と声をかけることは、言葉のナイフをその人の心に突き刺す行為なのかもしれないと思う。

失敗する方向にむかって行動すると、必ず失敗する。
かと言って、成功する方向に行動すると成功する確率が上がるけれど、必ず成功するとは限らない。でも、やるなら成功する確率をあげるほうが、まだ希望があると思う。

そんな元同僚だけでなく、世の中みんな成功したい! って思っていると思うんだけど、けっこう自分から率先して失敗していこうとする人が意外にいるなと、最近思う。

そんな人の行動を見ていると感じるのは「恐怖」から自分を守るために、失敗する方向へ失敗する方向へと行動するんじゃないかと。
くだんの彼は自分のセルフイメージから離れた結果を残すことを恐れていた(ように見えた)。
人によってはむしろ「成功者として他人から見られている自分」というイメージを保ちたいと思うらしい。
自分のミスを隠すために下手な嘘をついたり、自分を大きく見せるために嘘をついたりする。
どちらのタイプも酷い場合は他人のミスを上司や権力者にちくちくと伝え、自分の地位をあげようとする。
セルフイメージが「失敗した自分」の人は、失敗した自分を演じつづけられる環境にいたいがためそんな行動をし、「成功者として他人から見られている自分」な人は、自分の評価をあげるためにそんな行動をする。

セルフイメージが「失敗した自分」の人は、仕事をサボり、「成功者として他人から見られている自分」な人は自分ができることしかしようとしない。

片方は役にたたない自分を追求し、片方は自分ができることをやるだけいくらか良いけれど、自分の領分を超えるととたんに害になる。

他人からの評価が怖いってのはけっこうあるのだろうけれど、どれくらい怖いかとか、どこに恐怖をいだくかは人によって違いがあると思う。どちらにせよ、この人たちに共通するのは「チャレンジしたくない」なんだと思う。
チャレンジするってことは、新しい行動を起こすこと。新しい行動をすると失敗するかもしれないし、成功するかもしれない。行動によっておこる未来がどんなものかわからない。

わからないは「怖い」。わからないから、予測できることしかしたくない。たとえばその行動をした結果失敗するとしても、予測通りにことがなるなら安心できるから。ああ、やっぱりって。

けれども、行動しないことは必ず失敗しないことにならない。行動しないからこそ失敗することもある。
行動して失敗した場合、どこを改善すると良いかがわかる。でも行動しないとわからない。チャレンジしないことは、結局一番の時間の無駄なのかもしれない。

「できない」ことを「できないままでいたい」と希望する人、意外に多いのかもしれないな。
「できない」は今はできないけれど、明日にはできるようになるかもしれない。全てのことができるようになるわけではない。だって、チャレンジしてもできないことはあるけれど、チャレンジすると「できるようになる」ことってめちゃくちゃ多いと思うんだよね。

可能主義でいきたいな〜。

皆様からくださったサポートは『ぼくらワールド解体新書』の作成費として利用します。もし良ければサポートお願いいたします!