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プランク、この足の何が悪いのか?


はじめに

プランクだけでなく、立ち姿勢を教える時にもこんなキューイングを聞いたことがありませんか?

「中心に向かって内側に締めるような意識で、それが上に引き上がって行くように」

僕はヨガなどで何度かこんなキューイングを聞いたことがあります。

また今回のテーマである「プローンプランク」やそれと似た姿勢をとる「プッシュアップ(腕立て伏せ)」などでも両脚の内転筋を緊張させて、中心を意識するようなフォームで指導しているトレーナー、実践しているトレーニーを見ることがあります。

今回はこの「脚を内側に絞めて中心を意識する」ことの特徴と問題点について書きます。

内側に絞めて中心を意識すると・・・

「脚を内側に絞めて中心を意識する」ことにはいくつかのメリットがあります。

1.中心を意識しやすくなる

普段、中心線の意識などがないほとでもこうすることで自分の中心を意識しやすくなります。

2.「一人称の」身体操作では有効

1.で書いたように中心線が意識しやすいので、それを意識して行う身体操作に関しては有効に働きます。
例えば体操競技などの技では中心の意識は非常に重要で、その感覚を養うことにつながります。
またプランクやプッシュアップなどのフォームのブレも防ぎやすくなります。

3.内転筋、骨盤底筋の収縮の意識をしやすくなる

骨盤底筋の収縮を感じられないと尿漏れなどの原因になることがあります。
脚を内側に締める「内転動作」では主に内転筋群が用いられますが、同時に「お尻を締める」といったキューイングによって骨盤底筋の収縮が感じやすくなることがあります。

ただ内転筋群と骨盤底筋は本来の神経支配が違うため、トレーニングによって別々に収縮が可能で、同時に収縮させるのはあくまでも意識がしずらい初期段階のみだと思ってください。

そうでないと「乗り物で立っている時の揺れで起こる尿もれ」などを防ぐような骨盤底筋の活性が作れないからです。

内側に絞めて中心を意識することのデメリット

1.踏ん張って支えることにはつながらない

外部の第三者からの力が加わった時にそれに対抗したり、逆に中心から軸を移動させることで他者に体重と筋肉から発生した力を伝える場合には「外方向に踏ん張って支える」意識と技術が必要です。
脚を揃えて内転筋を収縮させ、内側を意識するのはそれとは反対の感覚です。
ですからそれで体を安定させる感覚を掴んでも、外力には弱くなってしまいます。

2.臀筋が使えない

中心に向かって脚を締める内転筋、骨盤底を締める骨盤底筋の神経支配は、股関節を伸展・外旋させる大臀筋、股関節を外転させる中臀筋・小臀筋とは全く異なり、相反関係にあると言っても良いでしょう。

つまり内側に締める感覚が強くなるほど、外に向かって体を支える臀筋は使いづらくなります。

これは余談ですが、ですから臀筋をより多く活性化してもらう時、指示するキューイングで「お尻を絞めて」という指導者がいますが、これを聞いた時、多くに日本人は骨盤底筋を収縮させてしまい、相反性抑制で臀筋の収縮ができなくなってしまうケースが多いのです。

Questではこんなあやふやなキューイングは使わず、事前に「臀筋が収縮している感覚」をつかむエクササイズを実施し、その時にクライアントに「これが臀筋を使っている感覚」だから「臀筋を使って」とか「臀筋収縮」といったキューイングを使ったらこんな風にしてくださいと教えています。

「お尻を絞めて」が運動指導の慣用句のようになっているからこそ、その意味も含めて見直す。
そんな丁寧な指導を心がけています。

実際のプランクの際には

Questでは「立ち姿勢」での使用する筋肉の感覚がつかめていない人にプランクを行うことはありません。
なぜなら「立ち姿勢」を強化するために、本来垂直の全身を水平にして、長いテコに対して重力負荷をかけるのがプランクというエクササイズだから。

まずは「立ち姿勢」の感覚をつかむ。

その際に伝えるキーポイントの一つが
「両足を肩幅くらいに広げ、その両足で一枚の紙を踏んでいると想定して、両足を外に広げるようにして、その紙を左右に引き裂く感覚で立つ」

まずこれをつかんだら「プローンプランク」でも同じように一定の足幅で立ち、外側に力を発揮しながらプランクを行うようにします。

こうすることで外力に対して体を支えたり、外に力を発揮するための準備ができ、そのための臀筋の収縮も感じやすくなります。

また外方向への意識を高めるために、このように両脚にバンドを装着してプランクを行うこともあります。

結論

今回のnoteでも書きましたが、プランクエクササイズは「立ち姿勢」で強く安定させる感覚をつかむためのもの。

試しに脚を揃えて中心を絞めて立った状態で、誰かから横方向に押されるとすぐにわかるでしょう。
これでは全く支えられないはずです。

より強く安定した「立ち姿勢」を習得し強化するなら、プランクの際も脚を揃えず、外方向に踏ん張る意識が重要です。

今まで脚を揃えてプランクやプッシュアップを行っていた方もぜひ今日の方法を取り入れてください。

また違った感覚を感じ、異なる能力を手に入れることができるはずです。

今後もこのような「運動」「健康」「生活習慣」などの情報をファンクショナルトレーニングの視点からお届けしますので、興味のある方はぜひ「フォロー」してお待ちください!

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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