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トレーニング指導に「とりあえず」はない!


はじめに

最近いろいろな方のnoteを読んでいます。
その中でもやはり同業者であるトレーナーの方が書かれたものを読むことが多いのですが。
気になったのは何人かの若いトレーナーの方が以下のような表現を使っていたこと。
「とりあえずBIG3はやっておきたい」
「とりあえずスクワットで〇〇kgはあげないと」
「とりあえず体幹トレーニングといえばプランク」

う〜〜ん、これってどうなんだろうなぁ??

と思ったのですが、それについて具体的に掘り下げて書きたいと思います。

「とりあえず」は適切ではない!

トレーニング指導やプログラム作成において、「とりあえず」という言葉は適切ではありません。

このマインドセットは、個々のニーズや目標に対する深い理解と尊重を欠くことを示しています。

トレーニングの世界では、一人ひとりが直面する課題、目指す目標、そして個人の生理学的および心理学的条件が異なるため、一律のアプローチは存在しません。

以下にトレーニング指導とプログラム作成における「とりあえず」を避けるべき理由と、基本的なマインドセットについて詳しく解説します。

個別化の重要性

トレーニングの成功は、個別化されたアプローチから生まれます。
各個人の体力レベル、健康状態、トレーニング経験、そして目標を考慮に入れたカスタマイズされたプログラムが、最も効果的な成果をもたらします。

このプロセスでは、個々の反応や進捗を細かく観察し、必要に応じてプログラムを調整するためには、「豊富な知識」と「定説などにとらわれない柔軟性」が求められます。

「とりあえず」の問題点

表層的なアプローチ

「とりあえず」というアプローチは、個々の深層にあるニーズや具体的な目標を見逃し、表層的な解決策に留まる傾向があります。

例えば「ダイエットジム」で今までトレーニング経験のない脚を細くしたい女性のクライアントに「とりあえず下半身のエクササイズの基本だから」とバーベルバックスクワットを指導するトレーナーがいたとしたら、その根拠はなんなのでしょうか?
クライアントの今のレベルも、ニーズも、ウォンツも、目標も無視した表層的な考えによる種目の選択だとはいえないでしょうか?

効果の欠如

一般的なプログラムや流行りの運動を無差別に適用することは、個人の特定のニーズに合致しないため、期待される効果が得られない可能性があります。

上記のダイエットの例で考えても「脚を細くしたい」と言う希望を叶えるためにバーベルバックスクワットを選択した場合、もしこのクライアントが速筋優位だとしたら、その種目で脚が細くなるとは思えません。

モチベーションの低下

個々の関心や目標に合わないトレーニングは、モチベーションの低下を招き、継続性が損なわれることがあります。

僕の運営するパーソナルジム「Quest」でも
「ダイエット系パーソナルジムでバーベルスクワットをやらされて、腰が痛くなるし脚が太くなって嫌だった」
という女性の方がそれに嫌気が差して「Quest」を紹介されてジムを移るケースが今までも多数発生しています。

「腰が痛くなるのは体幹が弱いから」と言われてプランクをやらされたり、フォームの習得に時間をかけられたり。
脚が太くなったというと「腿の筋肉は体の中でも大きい部分なので、筋肉をつけたら基礎代謝が上がって痩せやすくなるから」と言われたり。

「全然聞く耳を持たなくて頭が硬い!」とご立腹の方も多いということを知ってほしいとも思います。


正しいマインドセットの構築

上記のような問題が起こらないようにするためにも、トレーニング指導者として、以下のようなマインドセットを持つことが重要です。

徹底した個別化

各クライアントの詳細な評価を基に、パーソナライズされたトレーニングプランを作成します。
その際にはフィジカルな内容に関する評価だけでなく、クライアントの方個々人の考え方や価値観、性格、文化まで考慮に入れたプログラム作成、指導が重要です。

継続的な評価と内容の調整

トレーニングプロセスは流動的であり、定期的な評価を通じてクライアントの進捗に合わせたプログラムを調整が必要です。

教育とコミュニケーション

クライアントにトレーニングの目的、方法、期待される効果を明確に伝え、相互理解と信頼関係を築きます。
そのためには頭ごなしに固定化された考えを「とりあえず」と押し通すのではなく、ロジカルに誰でもが納得できる内容を口頭で説明できる能力が必要です。

科学的根拠と経験の融合

最新の研究と実践的な経験を組み合わせ、効果的かつ安全なトレーニング方法を提供します。
科学的なリサーチに基づく根拠はもちろん重要ですが、それと共に科学的リサーチの多くは「統計学」に基づくことを理解し、それを目の前のクライアントの指導に適合させるためにも、常に固定化された経験にのみ縛られない、実践的な経験を積み上げることが重要です。

最後に

プロフェッショナルなコーチ、パーソナルトレーナー、トレーナー、インストラクター、運動指導者にとって、トレーニング指導とプログラム作成において一人ひとりに最適なアプローチを見つけ、支援することは最も重要な使命です。

その際に「とりあえず」と言う言葉、考え方は思考停止を生み、適切な指導を阻害する要因にしかなりません。

真摯に個々人の成功にコミットするマインドセットが、真のトレーニング効果を引き出し、長期的な健康とパフォーマンス向上に寄与します。

全てのトレーナーの方には、それこそがトレーナーの使命だと言うことを忘れないでほしいと心から願っています。

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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