着物__2_

連載『オスカルな女たち』

《 女子会 》・・・6


「そう! その橘もえ(:芸名)よ。彼女、あの歌声で今、ミュージカル女優なんかやってるのよ…! だから応戦。実力で押されたらこっちはけちょんけちょんよ…」
「なにおっしゃってるの。フォロワー100万人なのでしょ、自信持ちなさいな」
隣で桜子が肩を叩く。

「私、自分の身の程はわきまえてるつもり。でも負けず嫌いなの、できる限りの悪あがきをするわ…!」
それが個性派女優に甘んじている所以というわけか。

皆それぞれにいい歳の取り方をしてるということだ。


「…それじゃあ。本題に入りますわよ…!」
一通り運ばれてきたところで、襖をぴしゃりと閉める若女将(明日香)が口火を切った。

「ちょ、ちょっと待ってよ、本題って。…まさかお兄様の料理をいただきながら、お兄様の浮気の話をする気?」
天然はどっちよ、と玲(あきら)が制する。

「あら、だから座敷に通したんじゃないですか」
「あら、じゃないわ。そういう問題じゃないでしょう」
ざっと30人は入る座敷に、6人分程度の座卓がひとつ、船盛まで運ばれてきている料理は明らかに5人じゃ余る量…そんな光景を目の前にどんな女子会を繰り広げようというのか。

(秘密にしたいなら、ホームは駄目でしょう…?)


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