見出し画像

連載『オスカルな女たち』

《 ギフト 》・・・5

 織瀬(おりせ)は腰かけると同時に持っていた段ボールをデスクの上に置き、
「どうしていいか解らなくて…」
 そう言って段ボールを確認するよう示唆した。が、真実(まこと)が手を掛けようとした途端その蓋を抑え込み、いつになく真剣な眼差しで、
「勘違いしないで! あたしのじゃない」
「え? うん…」
 いつもの様子と違う。だいぶ焦っているようで、
「もえもえが送ってきたの、結婚記念のプレゼントだって。でも、まさかこんな…えっととにかく、あたしが欲しがったわけでもないの。だから…」
 目が必死だ。
(なにごと…?)
「わかったから」
 静かに織瀬の手を払う。
確かに、送り状は織瀬宛てで、送り主は〈立花萌絵〉と記されている。織瀬の高校時代の親友で、今やミュージカル女優の〈橘もえ(芸名)〉のことである。
「開けるね…」
そう言って確認すると、なんだかこちらも緊張してしまう。そうっと蓋を広げると、きれいな包装紙で包まれた四角い物が入っており、一度開封してまた同じように包み直したであろう形跡が見て取れた。
「開ける、よ…?」
「うん…」
 再度織瀬に確認し、かわいいピンクの包装紙でラッピングされた長方形の品物を引き上げた。少し重みがある。
(やばいものでも送られてきたのか…?)
 法的になにか引っかかるものでも…と、想像を巡らせるがその重さに思い当たる記憶がない。疑うまま包装紙をめくると、透明なパッケージ…

いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです