連載『オスカルな女たち』
《 おとなの階段 》・・・8
「ごめんねぇ、思いのほか車が混んでて…。真実(まこと)早かったね」
小走りにテーブルに駆け寄りショート丈のコートを脱ぐ織瀬(おりせ)。
「だってパトカーで来たんですもの」
今ひとつ気持ちが収まらない玲(あきら)が、再度真実をいじるような発言をする。
「ぱとかー?」
当然の織瀬の返しに、
「話を蒸し返すな!!」
「だって…」
「どうしたの、玲」
たった今たどり着いたばかりの織瀬には状況が呑み込めずにいた。だが、それまでの話を聞いていたつかさとて、それは同じ気持ちで、織瀬に目配せし首を横に振るだけだった。
かんぱ~い!
ひとまず注文が済み、4人の飲み物が届いた。そして先日真実の不在で繰り越しになっていた〈ポッキーとプリッツ〉も人数分、生クリームやディップと一緒に綺麗に盛られて同時に並んだ。
つかさが真実のジョッキにグラスを合わせ、
「まずはマコちゃん、お誕生日おめでとう」
言われて真実は照れ臭そうに返した。
「サンキュー、どうも。みんなにもらった花は受付に飾らせてもらってるよ」
「おめでとう。…これで玲だけだね」
と、織瀬が続いた。
「私は来年だし…」
早生まれは年を重ねるほど優越感を感じる。いつまでたっても一歳下…と、得意げに玲はグラスを空けた。
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